「集中的にメリハリある対策を」専門家指摘 新型コロナ対策

「集中的にメリハリある対策を」専門家指摘 新型コロナ対策
新型コロナウイルスの感染者数は東京で12日までに4日連続で200人を超えていますが、前回、感染が拡大した4月とは異なり、休業要請や外出自粛の呼びかけは行われていません。専門家は「強い措置を繰り返すのは限界があり、感染拡大のもとになる場所に集中的にメリハリのついた対策を行うことが必要だ」と指摘しています。
東京都では先週、感染者の数が2日連続で過去最多を更新したあと、12日まで4日続けて200人を超え、神奈川県でも11日には、5月下旬に緊急事態宣言が解除されて以降最多となる34人の感染が確認されました。

しかし、大規模な休業要請や外出自粛の呼びかけはされず、今月10日にはイベント開催時の人数制限も緩和されました。

当時と対応が異なる理由について国や東京都は都内でPCR検査を受ける人は5月には1日1000人から1500人程度だったのが、現在は感染リスクが高い接待を伴う飲食店に関わる人たちに対する積極的な検査などで、3400人になる日もあるなど、大幅に増え、症状が出ていない人も見つけられているなどとしています。

また、発表の時点で感染経路が不明な人の割合は、4月上旬には8割余りに上る日もありましたが、先月下旬からはおおむね3割から5割となっています。

さらに、医療体制については東京都で確保されている病床が1000床あるのに対し、重症患者は10人以下と、ひっ迫していないなどと説明しています。

その一方で、検査を受けた人のうち、感染が確認された割合、「陽性率」は1%前後だった5月下旬以降上昇を続け、およそ6%に達しているほか、埼玉県や千葉県、神奈川県などでも徐々に感染者が増え、専門家は、感染の第一波のあと、おさえられてきた地域での感染が、拡大し始めていると指摘しています。

さらに、入院患者数も、東京都では5月上旬に3000人近くに達したあと、先月下旬には200人程度まで減少しましたが現在は580人と再び増加傾向に転じていて、医療体制の整備も課題になってきています。

こうした状況について、日本感染症学会の理事長で、東邦大学の舘田一博教授は「東京の歓楽街を中心とした感染が周辺に飛び火し始めている非常に厳しい状況で、すでに感染の第2波が起きているおそれもある。これから何度もこうした感染の波がやってくることは、ほぼ確実とみられる。そのたびに社会や経済、文化に大きなダメージを与える措置を繰り返すのは限界がある」と指摘しました。

そのうえで「多くの人たちに3密の回避やマスクの着用など基本的な対策を続けてもらいながら、接待を伴う飲食店などで集中的に検査し、保健所の体制を拡充するなどメリハリのある対策を行うことが必要だ」と話しています。