新型コロナ感染の母親の母乳 PCR検査で陽性の結果 和歌山県

新型コロナ感染の母親の母乳 PCR検査で陽性の結果 和歌山県
ことし4月、新型コロナウイルスに感染した母親の母乳を和歌山県がPCR検査で調べたところ、陽性の結果が出ていたことが分かりました。県は母親が感染した場合、念のため子どもに母乳を与えるのを控えるよう、近く県内の病院などに通知することにしています。
和歌山県によりますと、ことし4月、新型コロナウイルスで20代の母親が入院した際に子どもに母乳を与えてもいいか相談があり、母乳のPCR検査を行ったところ、陽性の結果が出たということです。

母親は乳腺炎を起こしていたということで、2日後に再度、母乳の検査した際には陰性でした。また、この母親の子どもを含む家族も感染が確認されましたが、子どもが母乳から感染したかどうかは分からないということです。

県では今回の結果を踏まえ、乳腺炎を起こしていると母乳にウイルスが含まれるおそれがあるとしていますが、検査のため母乳をとった際にウイルスが混入した可能性もあるということです。

このため県は感染が分かった場合は念のため医師などが問題ないと判断するまでは子どもに母乳を与えることは控えるよう、近く、県内の病院などに通知することにしています。

専門家「今後の研究 知見を注視」

日本感染症学会の理事長で東邦大学の舘田一博教授は「母乳がPCR検査で陽性になったとしても感染力のあるウイルスが含まれているかどうかは判断できず、母乳を介して子どもが感染するかどうかも分かっていない。今回の事例は母乳をとる際にウイルスが混入した可能性もあり、冷静に受け止めるべきだ。感染した母親からの授乳についてはこれまでどおり続けても問題はないと考えられるが、今後の研究や知見を注視していく必要がある」と話しています。

WHO 母親感染でも母乳を推奨

母乳をめぐっては、WHO=世界保健機関は6月に公表した文書で、PCR検査で母乳が陽性となった事例があると報告していますが、乳児が母乳から感染すると結論づけるのはデータが不十分だとしています。そのうえで、母乳は乳児にとって健康や成長の面でメリットが大きいとして、母親が感染した場合でも継続して母乳を与えるよう勧めています。