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合言葉は“できるしこ”~豪雨被災地に行けなくてもできること

豪雨が各地に大きな被害をもたらしています。特に熊本県は被害が甚大です。ただ、なにか手伝いたくても、新型コロナウイルスが邪魔をします。感染のおそれからボランティアは基本、熊本県内の人しか受け付けていません。だから、被災地に行かなくても、いま、私たちの身の回りの範囲でできる支援を探してみました。

合言葉は“できることば、できるしこ”または“でくっこつば、でくっしこ”。熊本のことばで「できることをできる範囲で」という意味です。(ネットワーク報道部記者 成田大輔・井手上洋子・目見田健)

被災地に行けない

新型コロナウイルスへの感染対策に取り組む中で起きた今回の豪雨被害。熊本県では基本的にボランティアは県内の人に限っています。「県外にいる人間はボランティアに参加できない。仕方がないが地元を助けたいジレンマ」といったツイッターの声もありました。

“できることば、できるしこ”

そんな中いま、ネット上で熊本県など被災地を支援しようという人たちが呼びかけていることばが“できることば、できるしこ”または“でくっこつば、でくっしこ”。

4年前の熊本地震の際にも合言葉になったとも言われています。「(支援のために)自分がいまできることを、できる範囲でやろう」という意味です。そこでまず、いま離れていても“できることば”ってなんなのか、それを考えてみました。

被災者に届け、被災自治体に届け

1つが寄付という形で支援する方法です。まず被災者に届けようという寄付・“義援金”。
熊本県のHP
被災した県や日本赤十字社、共同募金会などが設けた専用口座に振り込むと被災者に配分されます。受け取る金額は、人的被害や建物被害などにもとづいて決まります。熊本県に聞いたところ熊本地震の時は、地震から1か月後に最初の配分が行われ、今も配分が続いているそうです。
一方で、支援したい自治体に寄付をする方法もあります。その1つがふるさと納税です。例えば大手の仲介サイト「ふるさとチョイス」では、今月4日から被災した自治体向けの寄付の専用ページを設けていて、これまでに2億円近い寄付が寄せられています。

寄付の使いみちはそれぞれの自治体に委ねられこれまでの災害では被災した施設の修理費や、避難所の運営費用、自治体独自の被災者への見舞金などにあてられてきたそうです。

ちなみに被災した自治体は災害に関わる業務に追われているため、各地の自治体が「ふるさと納税に関わる業務を肩代わりする支援」も行っています。例えば神奈川県鎌倉市。
ふるさとチョイスのサイト
熊本県人吉市へのふるさと納税を、今月4日から代理で受け付けています。さらに翌5日は、芦北町や球磨村など周辺の11町村分を受け付けることも決めました。寄付の証明書を発行したり、寄付金を被災自治体へ送ったりして事務処理の負担を減らす支援をしています。
寄付した人たちのメッセージ
寄付した人の中には「地元人吉の為にありがとうございます。コロナですぐに帰ることが出来ず、少額ですが、今出来ることをさせて頂きました。」とメッセージを寄せる人もいたそうです。

準備するという心の支援

状況が落ち着いてからのボランティアに備えて、いまは準備をしておくという支援を勧めているのが、全国社会福祉協議会。各地の協議会と連携して、全国規模でボランティア活動を行っています。ボランティアを考えている人に向けて「被災地からの発信があるまでは被災地に向かわないでください」とホームページで呼びかけています。
全国社会福祉協議会のHP
被災地域は、高齢者の割合も高く、新型コロナウイルスの感染の広がりが命を脅かす事態になりかねないというのも理由の1つです。そして現地に向かい、地元の人たちからどのような支援を求めているのか聞き取りをして、ニーズに合わせた今後のボランティア活動を考えています。
全国社会福祉協議会 全国ボランティア・市民活動振興センター長 高橋良太さん
「現地に行って支援したいと思っている方も多いので、私ももどかしい思いです。どうか被災地のことを思い続けて、いざ支援活動という時に備えて準備をしてほしいです」

何度でん立ち上がるばい

被災地を支援する団体のクラウドファンディングを利用するという支援もあります。例えば首都圏を中心に2700人を超えるメンバーがいる「熊本弁ネイティブの会」ではクラウドファンディング「STILL STANDING-KUMAMOTO」を今月6日から8月9日まで行っています。

ネイティブの会は熊本県出身の人がほとんどで、熊本弁だけで話すことがルールです。懇親会を開いたり、熊本地震では、現地の復旧活動や被災地の物品販売などを行ったりしてきました。今回は被災地に入れない中、初めてクラウドファンディングを立ち上げ、10日の午後までに400万円以上を集めました。集まった支援のお金は熊本県の自治体や地元の団体などに直接的に届けられます。
熊本弁ネイティブの会 平野洋一郎会長
平野会長
「熊本地震に続き今度は豪雨が襲い『またこんなことが…』とみんながっくりきています。けれど、負けるわけにはいきません。熊本には何があっても何度でも立ち上がる強さがあります。支援をしたいと思います」

買うという支援、魅力を知る支援

「熊本県を支援しようと、買い物をしてくれる人がこんなにいると知り、心強いですし感謝でいっぱいです」。中央区銀座にある熊本県のアンテナショップ「銀座熊本館」で聞いたことばです。店によると、豪雨のあと初めての営業日となった今月7日から訪れる人が増え、新型コロナウイルスの影響でいつもの2割ほどに落ち込んでいた客足が通常の1.5倍ほどまで増えているそうです。
物産館では被害が大きい自治体の商品を店舗の入り口付近の目立つ場所に集めていました。訪れた人たちが人吉市の焼酎などを買い求めすでに品切れとなっているものも目立ちます。

「被災地の商品はどれですか?何を買えばいいですか?」

「ふだんはお酒を飲まないのですが、球磨焼酎を買いに来ました」

店員にそんな声をかけてくる客もいたそうです。さらにSNSやニュースで被害を知った酒蔵の焼酎を指定して買った人、熊本県出身で今は東京に住んでいるが“ふるさと”を思い出して地元のしょうゆを箱ごと買い求めたいという人もいたそうです。
訪れた時、レジ横を見ると募金箱がありました。その箱はほぼ毎日、午前中でいっぱいになるといいます。熊本県出身の40代の女性客は、「東京からの支援は限りがあると思いますが、熊本のものを買うことで自分ができる支援が少しでもできればと思います」と話していました。
アンテナショップの運営担当・熊本県東京事務所の村崎美由紀さん
「私は人吉市に3年間住んでいて土地勘がある分、被害のニュースを見るとより心が痛みます。ただ今、東京でできることは悲しむだけでなく特産品などを通じて被災地の魅力を知ってもらうきっかけを作ることだと思っています」
来週以降は、被災地の特産品を集めたブースを拡充することにしています。

被災地を知る支援

東京渋谷区にある熊本県の郷土料理を提供する居酒屋「新市街」では、被害が大きかった地域で作られている球磨焼酎を全面に出したお酒のメニューを新たに作ることにしています。店長の千々波伸之介さんも熊本出身です。
居酒屋「新市街」千々波 伸之介店長
千々波店長
「お客さんは『熊本、大変だね』などと声をかけてくれるのですが、きっと被災地となった人吉市などは知らない人が多いと思います。焼酎でその土地を知ってもらおうと思いました」
店では、焼酎の売り上げの一部を寄付することを検討しています。
千々波店長
「何ができるのかと考えたとき、被害が出た場所はこんなすばらしい酒を造る場所なんだと知ってもらう窓口になることが私たちにできることではないかと思いました」

離れていても

荒木健太郎さんのツイート
離れていてもできることを考える中で一つのツイートが目にとまりました。

「私たちはいま、歴史に残る豪雨の真っ只中にいます。お願いです、どうか水害に備えてください」

雲の研究者として知られる気象庁の荒木健太郎さんのツイートです。ふだんはキレイな雲の写真などを投稿していますが、今は連日、みずからのツイッターで水害への備えを呼びかけ続けています。きっかけは2015年の関東・東北豪雨でした。防災講演を行った中学校が浸水し、参加者から「こんなことが本当に起きるなんて」という声を聞いたそうです。
荒木さんも協力してつくった避難の注意点
防災情報を活用してもらいたい。その思いから自分の立場でできる支援を考え、想定外の事態に備えてもらう発信を続けているそうです。

寄付だったり、買うことだったり、思い続けることだったり、知ることだったり、発信することだったり。

足を運べない中でもできる支援がきっと、たくさん、あります。

そんな小さなみんなの支援が積み重なって被災した地域の励みになればと思います。

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