ステイホームでおいしく支援!減らそうコロナの食品ロス

ステイホームでおいしく支援!減らそうコロナの食品ロス
街には人のにぎわいが徐々に戻り、店の営業も再開されてきました。でも、感染者の数が再び増えている地域もあって「まだまだ安心できない」とできるかぎりのステイホームを心がけている人も。自宅にこもりがちな生活が続く中、楽しみの1つが「いつもと違ったおいしいものを注文して食べること」という人もいるのではないでしょうか。そのささやかな楽しみ、実は、コロナ禍で行き場を失ってしまった食品の消費に貢献することもあるようです。(ネットワーク報道部記者 野田綾)

フードロス削減が“最高の娯楽”

家で過ごす時間が長くなる中、インターネットで食材のお取り寄せをしている人は?

SNSを調べてみると、たくさんの書き込みが見つかりました。中には、売れ残った果物や加工品などの食品ロスを意識している人も多くいます。
「コロナのフードロスでメロン6個入りが届いたのでふだんできない食べ方をしてみました」
「北海道に住む友達からお菓子の詰め合わせが届いた。コロナの影響で食品ロスを出さないための詰め合わせ」
「今しか味わえない旬の味、山形のさくらんぼが届いた。コロナの時代の新しい生活は、フードロス削減に協力すること、産直のものをお取り寄せすること。食べることが最高の娯楽である」

引き出物の菓子をネットで

緊急事態宣言の解除、都道府県をまたぐ移動の再開もあって生活が徐々に元に戻る中、かつて余っていた食品の在庫は減っているのでは。販路を失った食品をネットで販売しているという会社に話を聞くと、まだ状況は厳しいままでした。
結婚式の引き出物として用意された高級洋菓子や加工食品をネットで販売している「PIARY」です。この会社は、新郎新婦の依頼を受けて引き出物を準備し、式場に届ける仕事をしていますが、4月の緊急事態宣言以降、予定していた結婚式は軒並みキャンセル。納入できなくなった引き出物は、メーカーに返品していました。

メーカーには返品された食材が山のように届き、賞味期限も迫る中、廃棄せざるをえない状況に。販路を失い困ったメーカーは、この会社にネットで安く販売してもらえないか相談し、格安での販売を始めたといいます。
PIARY 鵜飼雪姫さん
「食べ物は賞味期限もあり、廃棄処分せざるをえない状況で、皆に喜んでもらうために用意されたものがただ捨てられてしまうのは、とても悲しいと思って始めました」
当初、メーカーが抱えていた在庫は600万個。ネット販売を始めたことでずいぶん販売できましたが、それでもまだ400万個が残っている状態です。延期になった結婚式のほとんどはいつ行われるか見通しが立たず、今も取引先のメーカーのおよそ9割は収入がほとんどない状況だということで、支援を呼びかけています。
PIARY 鵜飼雪姫さん
「ふだんなかなか食べることがないスイーツを、安い価格で購入しておうちで食べられます。まだまだ困っている業者が多いので、支援してほしいと思います」

#鯛たべよう SNSで広がる支援

コロナの影響で行き場を失ってしまった、地元の魚の販路拡大に乗り出した自治体もあります。マダイの養殖が盛んな愛媛県宇和島市。緊急事態宣言が出された4月以降、出荷の時期を迎えた数十万匹ものマダイをホテルや外食産業などに出せなくなりました。

養殖を続けるにも多額の餌代がかかるうえ、大きくなりすぎたマダイは単価が下がってしまうため、市には、養殖業者から「なんとか出荷できないか」という声が多く集まったといいます。

そこで5月中旬、市が始めたのが、SNSを活用し鯛の消費を呼びかけたキャンペーン。お刺身や地元の郷土料理のたい飯など、一般の人にマダイを活用した料理の写真をSNSに投稿してもらい、「#鯛たべよう」と記載してもらうようにしたのです。
市が立ち上げたSNSのサイトのフォロワーはおよそ1000人に上り、多くの人が投稿を寄せました。市がまず協力を呼びかけたのは、県内のスーパー。出荷時期をすぎ始めている大きめのマダイを中心に仕入れてもらいました。

さらに、地元の水産業者と協力して全国の取引先にも呼びかけた結果、外食寿司チェーン大手の「くら寿司」が200トン購入してくれることになりました。
宇和島市 市長公室 谷本英樹さん
「地域がピンチならと、大手の取引先が支援してくれ、生産者はとても助かりました。しかし、緊急事態宣言の解除のあとも外食産業には客足が戻らず、出荷は限定的です。地元の冷凍庫もほぼ余裕がなくなり、在庫過多の状況が続いています」

自宅ですこしぜいたくを

外食産業に頼ってきたマダイの養殖業界。宇和島市は新たな活路を見いだす必要があるとして、市内の加工業者7社と連携し、マダイを加工したたい飯や茶漬けなどをセットにした「#鯛たべようBOX」の販売を9日からネットなどで始めました。

外食が控えられる状況を逆手に取って、自宅で少しぜいたくなものを食べてもらおうというねらいです。
宇和島市 市長公室 谷本英樹さん
「出荷しないと次の稚魚を育てられない。何もしないでいると、産地が消えてしまいます。現状を知ってもらって買ってもらい、産地を生かしてもらう。消費者の理解を得ながら進めていかなくてはいけないと考えています」

生産者への感謝と思いやり

コロナの影響で広がる食品ロス。食品廃棄物を飼料などにリサイクルする企業「日本フードエコロジーセンター」の高橋巧一さんは、行き場を失った食品があふれた状態は今後もしばらく続くと見ています。
高橋さん
「外出自粛の中、スーパーからモノがなくなる状況があった一方、外食産業の休業で、牛肉や海産物などの高級食材を中心に行き場を失った食品が多く出ました。野菜などをまとめて販売するなどの動きも各地で見られましたが、一部にとどまり、多くのところでは、食品を廃棄して泣き寝入りしている状況です。この機会に国産の食材や加工品を食べてもらい、生産者やメーカーを支えることを考えてほしいと思います」
いつもより、少しお得でおいしいもの。調べてみると、苦境の中で懸命につくり、販売している人たちの姿が見えてきました。うちで過ごす時間が少し長い今、全国の生産者への感謝と思いやりの気持ちを大切にしながら、食を楽しんでみたいと感じています。