東京都 新たに224人の感染確認 過去最多 新型コロナ

東京都 新たに224人の感染確認 過去最多 新型コロナ
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東京都は9日、都内で新たに224人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。都内で1日に確認される数としては、ことし4月17日の206人を上回り、これまでで最も多くなりました。
東京都は9日、都内で新たに0歳から80代の男女合わせて224人が、新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

都内では8日、感染の確認が7日ぶりに100人を下回りましたが、1日で3桁に戻り、ことし4月17日の206人を上回ってこれまでで最も多くなりました。

224人のうち、最も多いのは20代の109人で、次に多い30代の60人と合わせると169人で、この2つの年代だけで全体のおよそ75%を占めています。

また、224人のうち、120人はこれまでに感染が確認された人の濃厚接触者で、104人は今のところ感染経路がわかっていません。

都によりますと、224人のうち74人はホストクラブやキャバクラ店、それにガールズバーなど近い距離での接待を伴い夜間、営業する飲食店の従業員や客で、このうち、新宿エリアが52人、池袋エリアが4人だということです。

このほか、家庭内の感染が20人、友人や職場の同僚との飲み会を通じての感染が14人いるほか、同じ保育園で5人の園児の感染がわかったケースなどがあるということです。

また、224人の中には重症の人はおらず、症状のない人は24人だということです。

これで都内で感染が確認されたのは合わせて7272人になりました。一方、9日に都内で死亡が確認された人はいませんでした。

小池都知事「感染者数の動向 さらなる警戒が必要」

東京都の小池知事は、都の新型コロナウイルスの対策本部会議で、9日都内でこれまでで最も多い224人の感染を新たに確認したと明らかにしました。

そのうえで、「年代別では、20代、30代の方々が75%を占めている。感染経路別では、いわゆる『夜の街関連』が一定数を占めている」と説明しました。

そして、「さらに最近では、接待を伴う飲食店だけではなく、若年層の友人どうしのパーティーや会食による感染もみられている。新規陽性者の増加は、PCR検査の件数が3400件に上る中での224人の陽性者であり、検査の増加が影響していると考えられるが、感染者数の動向についてはさらなる警戒が必要だ」と述べました。
また、小池知事は記者団に対し、検査数の増加が陽性者の増加につながったという見方を示したうえで、「専門家や臨床の現場にいる先生方からは『ただ検査が増えただけではない。より注意が必要だ』という分析をしていただいた」と述べました。

そのうえで、9日の224人のうち30代以下が80%余りで、若い方の感染が多い傾向に変わりがないとして、「既往症の方や高齢者に感染させないかを考えた取り組みを行っていく。そのことが東京都にとって必要だということを認識し、対応していきたい」と述べました。

また、「東京都は検査体制を1日1万件に増やすための対策を今回の補正予算にも盛り込んでいる。国としても1日に2万件の検査体制を敷いていくと伺っているので、陽性者数だけを見ると、これからも増えていく可能性がある」と述べました。

そして、「きのうの時点では都内で重症者が6人にとどまっている。この2週間、死亡例はない。医療体制をしっかり守っていくことが都民の安心につながる」と述べました。

PCR検査受けた人数 増加傾向 「陽性率」も上昇

東京都内でPCR検査を受けた人の数は日によってばらつきがありますが、増加傾向が続いています。

東京都によりますと、緊急事態宣言が解除された5月25日に都内でPCR検査を受けた人は920人でしたが、先月12日には2118人と、初めて2000人を超えました。

今月3日には過去最多の2715人にのぼりました。9日午前の時点でまとまっている最新のものは7日の人数で、1857人となっています。

また、検査を受けた人のうち感染が確認された人の割合「陽性率」も上昇しています。5月中旬以降は1%前後で推移してきましたが、先月に入ると2%前後となり、先月25日に3.1%、今月1日に4%、5日には5%と上昇が続いています。

現時点でまとまっている最新の7日の陽性率は5.8%に達しています。

都内の入院患者数 先月下旬以降 再び増加

東京都内の入院患者の数は、5月に大幅に減少したあと、ほぼ横ばいで推移していましたが先月下旬以降、再び増加し始めています。

都によりますと、今の形で取りまとめを始めた5月12日に1413人だった入院患者は先月20日には204人と最も少なくなりました。

ところが、その後、再び増加し始めていて、8日は444人となっています。これは、5月末頃と同じ水準です。

一方、入院患者のうち、集中治療室や人工呼吸器での管理が必要な重症患者の数については、減少傾向が続いていて、4月末には100人余りだったのが8日は6人になりました。

これに対して、東京都は、新型コロナウイルスの入院患者を受け入れる病床としておよそ3000床を準備しておくことで医療機関と合意できていて、このうちおよそ1000床はすでに患者を受け入れられる状態になっています。

保健所長「明らかに第二波」

都内で感染者が急増していることをうけて、保健所でも危機感が高まっています。

北区保健所でも、9日午後2時の時点で6人の感染が確認され、職員は電話への対応や患者の医療機関の確保などに追われていました。

前田秀雄所長は「区内でも、先週から連日5人から6人の感染者が出ていて、4月の感染ピーク時と同じような状況です。現場では非常に緊張が走っていて、明らかに第二波が来ているのではないかと懸念しています。先週までは、いわゆる特定の分野の飲食店で働く人たちが感染者の多くを占め、感染経路も明確でしたが、今週はそうした人たちは少なくなり、企業や施設などに勤める人たちが、感染者の大半を占めている状況です。このまま市中感染が広がると重症化しやすい高齢者に拡大するおそれがあるので、何とかここで感染を食い止めなければならないと思っています」と話していました。

加藤厚労相「医療提供体制は対応可能」

加藤厚生労働大臣は午後2時すぎ、記者団に対し「まだ東京都から正式な発表がないので、発表をよく聞いてしっかり分析したい。東京都の医療提供体制は、3000床のベッドの確保に向けて準備が進んでいるので、200人を超える水準でも対応できる状況だと思う」と述べました。

また、緊急事態宣言を再び出すかどうかについては、「全体として判断することなので申し上げられないが、東京都の医療提供体制の現状という意味では、直ちにひっ迫する状況にはないと認識している」と述べました。

立民 枝野代表「国も都も手打たず傍観」

立憲民主党の枝野代表は党の会合で、新型コロナウイルスの感染者の確認が相次いでいることについて、「危機感を持つ必要があるが、国も東京都も、事実上、何の手も打たず傍観していると受け止めざるを得ず、大きな責任問題だ」と政府や東京都の対応を批判しました。

そのうえで、「東京でのPCR検査の件数は大幅に増えているという状況ではなく、週に110万件の検査を行っているドイツと比べれば、3つ4つ桁が違う。幅広く検査を行うことで感染拡大を防ぐことが必要だ」と述べ、政府に対し検査の拡充を求める考えを強調しました。

共産 志位委員長「営業自粛要請を検討を」

東京都で一日の数としては最も多い新型コロナウイルスの感染者が確認されたことについて、共産党の志位委員長は憂慮すべき事態だとして、補償を行うことを前提に、地域や業種を限った営業の自粛要請を検討すべきだという考えを示しました。

新型コロナウイルスの感染者の確認が各地で相次ぐな中、東京都では9日、一日に確認された数としては最も多い224人の感染が確認されました。

これについて、共産党の志位委員長は「憂慮すべき事態で、政府には直ちに東京都と現状を分析し、感染防止の措置を取るよう強く求めたい」と述べました。

そのうえで「地域や業種を限定し、徹底した補償と一体にした自粛要請を検討すべき段階だ」と述べ、補償を行うことを前提に、地域や業種を限った営業の自粛要請を検討すべきだという考えを示しました。

一方、九州などの豪雨被害について「熊本や大分の温泉地は、新型コロナウイルスによる休業要請が解除されたやさきに豪雨で打撃を受けた。複数の中小企業で作るグループに設備の復旧費用を補助する『グループ補助金』の適用などの支援が必要だ」と述べました。

埼玉県大野知事「極めて憂慮すべき」

埼玉県の大野知事は、訪問先の東京都内で記者団の取材に応じ、9日、新たに都内で224人の感染が確認されたことについて、「密接な人の往来に鑑みれば、東京がここまで増えたのは極めて憂慮すべきで、大変心配して見ている。埼玉は無関係とはもちろん言えない。大変心配してみている」と述べ改めて懸念を示しました。

そして、今後の対策の方針については「外出自粛や休業要請など、すべての行動を抑制する対策がよいのかもしれないが、社会的な影響が大きいので、バランスをとりながら対策をうち、きのう『夜の街』にターゲットを絞った弱い要請を行ったところで、まずはその効果を見極めたい」と述べました。

そのうえで「対策の効果が出ない場合は全体で取り組まなければならないので、埼玉県として緊急事態宣言の発出を政府に再要請する可能性は否定できない」と述べ、今後感染者がさらに増加した場合は、再び緊急事態宣言を出すよう国に求める考えを改めて示しました。