アメリカ 1年後のWHO脱退を正式通知

アメリカ 1年後のWHO脱退を正式通知
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新型コロナウイルスの感染が拡大する中、アメリカのトランプ政権はWHO=世界保健機関に対し、脱退を正式に通知しました。

一方、野党・民主党のバイデン前副大統領は、11月の大統領選挙で政権を奪還すれば脱退を即座に撤回する考えを示しました。
トランプ政権は、WHOからの脱退を、国連のグテーレス事務総長に6日、正式に通知し、1年後の来年7月6日に脱退すると表明しました。

WHOをめぐってトランプ大統領は、中国で新型コロナウイルスの感染が広がっていたことを示す情報を当初、世界に共有しなかったと主張してきたほか、「WHOは中国に完全に支配されている」と批判を繰り返してきました。

国連は通知を受け取ったことを認めたうえで、「アメリカが最終的にWHOを脱退するためのすべての条件を満たしているか、検証しているところだ」としています。

またWHOのヤシャレビチ報道官はNHKの取材に対して、「アメリカが脱退を正式に通知したと報告を受けたが、今の段階でそれ以上の情報はない」としています。

国連によりますと、脱退が来年7月6日となるのは、アメリカがWHOに加盟した当時、正式な通知から1年後に脱退できるという条件のもとで加盟したためだということです。

一方、11月のアメリカ大統領選挙で大統領の座を争う野党・民主党のバイデン前副大統領は7日、ツイッターに「大統領としての初日にWHOに戻る」と投稿し、政権を奪還すれば、来年1月に大統領に就任してすぐ、脱退を撤回する考えを示しました。

このためアメリカがWHOから実際に脱退するかどうかは、大統領選挙の結果に左右されることになります。

世界で新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、WHOの最大の資金拠出国であるアメリカが正式に脱退を通知したことで、感染の抑え込みに向けた国際的な協力に影響が出ることが懸念されています。

菅官房長官「引き続きアメリカとも連携」

菅官房長官は、午前の記者会見で、「アメリカによる通知は承知している。ただ、実際のアメリカの脱退は、通知から1年後だと理解している。いずれにしろ、今後の見通しなどについて予断を持ってコメントすることは差し控えたい」と述べました。

そのうえで、「アメリカは、国際保健分野で今後も国際社会と協力していく旨を表明している。わが国としては、新型コロナウイルス対策などで引き続きアメリカともしっかり連携していきたい」と述べました。

また、「今回のような、世界に甚大な影響を与える感染症に対しては、国際社会が一致して対応すべきであり、専門的知見を有するWHOが適切に機能することが重要だ。今後、同様の事態に備えるためにも、WHOの機能については、事態の収束後、速やかに、公平で独立した包括的な検証を行っていきたい」と述べました。