米 WHO脱退を国連に正式通知 新型コロナ対策で中国寄りと批判

米 WHO脱退を国連に正式通知 新型コロナ対策で中国寄りと批判
アメリカのトランプ政権は、新型コロナウイルスへの対応が中国寄りだとして批判してきたWHO=世界保健機関から、来年7月に脱退すると国連に正式に通知しました。
アメリカ政府高官は、NHKの取材に対して、トランプ政権がWHOからの脱退を国連のグテーレス事務総長に正式に通知したことを明らかにしました。アメリカは、1年後の来年7月6日に脱退するということです。

トランプ大統領は、新型コロナウイルスに対するWHOの対応について、中国でヒトからヒトへの感染を示す情報があったのに、世界に共有しなかったと主張したほか、アメリカが中国からの入国を禁じた措置に反対するなど、「中国寄りの対応を取った」と批判してきました。

そして、ことし5月の会見では、「WHOは中国に完全に支配されている。WHOとの関係を終わらせる」と述べて脱退の意向を示し、WHOに拠出している資金を別の目的にあてる考えを示しました。

アメリカで新型コロナウイルスの感染者が300万人に迫る中、トランプ大統領は6日も、新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んで中国の対応を批判していて、WHOからの脱退は、みずからへの批判をかわすねらいもあるとみられます。

アメリカは、WHOに年間で日本円で400億円以上の資金を拠出してきた最大の資金拠出国で、正式に脱退を通知したことで、世界の感染症対策などに大きな影響を及ぼすことが懸念されています。

国連「脱退条件満たすか検証中」

国連は、グテーレス事務総長が今月6日にアメリカ政府からWHO=世界保健機関から脱退するという正式な通知を受け取ったことを認めました。

そのうえで、「事務総長は、アメリカが最終的にWHOを脱退するためのすべての条件を満たしているかどうか検証しているところだ」としています。

国連のグテーレス事務総長は、トランプ政権がこれまで新型コロナウイルスへの対応を問題視してWHOからの脱退と資金拠出の停止を表明した際には、「今はウイルス対策で国際社会が団結する時だ」として、WHOを支持するとともに、トランプ政権に撤回を求めてきました。

WHO報道官「脱退の正式通知 報告受けた」

WHO=世界保健機関のヤシャレビチ報道官は7日、NHKの取材に対して「アメリカが国連のグテーレス事務総長に対して、WHOから来年7月6日に脱退すると正式に通知したと報告を受けたが、今の段階でそれ以上の情報はない」とコメントしています。

バイデン氏 米大統領に就任すれば再加盟の考え表明

アメリカのトランプ政権がWHO=世界保健機関から脱退すると国連に正式に通知したことについて、11月のアメリカ大統領選挙で野党・民主党の候補者指名を確定させているバイデン前副大統領はツイッターに「アメリカが世界の人々の健康の増進に従事してこそ、アメリカ国民はより安全に暮らせる」と書き込み、批判しました。

そのうえで「大統領としての初日に、私はWHOに再加盟し、世界の舞台でのリーダーシップを回復させる」と書き込み、11月の選挙で勝利して大統領に就任すれば、WHOからの脱退を撤回する考えを表明しました。