「いきなり!ステーキ」立て直しで「ペッパーランチ」売却へ

「いきなり!ステーキ」立て直しで「ペッパーランチ」売却へ
「いきなり!ステーキ」などを展開する外食チェーンのペッパーフードサービスは、比較的業績が堅調な「ペッパーランチ」事業を売却するとともに、国内の114店舗の閉鎖を決めました。売却で得る資金などを使って事業の立て直しを急ぐことにしています。
発表によりますと、ペッパーフードサービスは「ペッパーランチ」の事業を東京の投資ファンド「JーSTAR」におよそ85億円で売却します。

また、国内で展開する「いきなり!ステーキ」と「ペッパーランチ」の合わせて114店舗を閉鎖し、200人程度の希望退職も募集するとしています。

さらに会社では、現在、4つの店舗を展開するアメリカのニューヨークから完全に撤退することも決めました。

ペッパーフードサービスは、立ったまま手軽にステーキを食べられる「いきなり!ステーキ」を平成25年にオープンし、全国に事業を拡大しました。

しかし、急速な出店で近隣の店どうしが競合するなどして次第に収益が悪化し、その後、新型コロナウイルスの感染拡大で多くの店舗が休業に追い込まれ、業績不振に拍車がかかっていました。

会社では、事業を売却して得る資金などを使って、「いきなり!ステーキ」の事業の立て直しを急ぐことにしています。

ペッパーフードサービスとは

ペッパーフードサービスはステーキチェーンの「いきなり!ステーキ」や「ペッパーランチ」などを展開する外食チェーンで、去年12月期のグループ全体の売り上げは675億円余りです。

このうち、「いきなり!ステーキ」は平成25年に東京 銀座に1号店をオープン。アメリカ産牛肉のステーキを立ったまま手軽に食べられるスタイルが話題となり、その後わずか6年で全国におよそ500店舗を展開しました。

平成29年には、ステーキの本場、アメリカのニューヨークにも進出し、翌年には日本の外食産業として初めて、アメリカの新興市場、ナスダックの上場を果たしました。

しかし、急速な出店が裏目に出て、地域によっては店舗間で客を奪い合うなど、売り上げは伸び悩むようになり、アメリカでも、立ったままステーキを食べるスタイルが消費者の支持を得られず、1年足らずでナスダックの上場を廃止しました。

一方、「ペッパーランチ」は、鉄板で牛肉とライスを独特のスパイスで調理した看板メニューを中心に、低価格でステーキを提供する外食チェーンです。

「ペッパーランチ」事業がグループの売り上げに占める割合は13%ほどですが、収益が比較的安定していて利益率は客離れが進む「いきなり!ステーキ」のほぼ2倍です。

海外でも東南アジアを中心に300店舗余りを展開していてグループの中では安定した収益が見込めるいわば「虎の子」ともいえる事業ですが「いきなり!ステーキ」を立て直すため、今回、売却を余儀なくされました。