NAFTAに代わる新協定 1日に発効 コロナ影響で効果は不透明

NAFTA=北米自由貿易協定に代わる新たな協定が1日、発効します。トランプ大統領は、製造業の国内回帰を目指すとした、前回の大統領選挙の公約実現をアピールしていますが、新型コロナウイルスの影響が直撃する中、思惑どおりの効果があらわれるかは不透明です。
1994年にアメリカ、カナダ、メキシコの3か国の間で発効したNAFTAは、四半世紀にわたって域内の自由貿易を推進してきましたが、トランプ大統領は前回の選挙で「アメリカの製造業を衰退させた史上最悪の貿易協定だ」と痛烈に批判し、見直しを公約に掲げました。

そして、見直し交渉を行った結果、新たな協定、「USMCA」=「アメリカ・メキシコ・カナダ協定」が1日、発効します。

新たな協定で、自動車の関税をこれまでどおりゼロにするためには、部品の域内調達を増やす必要があるほか、時給が16ドル以上の工場で生産することが必要で、主に、メキシコに流出した工場をアメリカに戻すねらいがあります。

日本のメーカーも、自動車関連を中心に、アメリカへの輸出拠点として、メキシコに進出してきましたが、戦略の練り直しを迫られています。

トランプ大統領は、秋の大統領選挙まで4か月となる中、製造業の国内回帰を目指すとした、前回の選挙公約の実現をアピールしていますが、新型コロナウイルスによる生産停止などの影響が中西部の製造業を直撃していて、思惑どおりの効果があらわれるかは不透明です。

メキシコ進出の日本メーカーに影響

アメリカへの生産回帰を促す新たな協定の発効で、NAFTAを前提にメキシコに拠点を増やしてきた日本のメーカーも自動車関連を中心に、戦略の練り直しを迫られています。

JETRO=日本貿易振興機構の2月時点の調査によりますと、メキシコに進出する製造業の155社のうち、事業にマイナスの影響があると回答したのは24%でした。

このうち新協定への対応策として挙げられたのは、素材や部品の調達先の変更やアメリカの拠点への生産移管だったということです。