レジ袋 欧米は再び無料化の動き 新型コロナ感染対策で

レジ袋 欧米は再び無料化の動き 新型コロナ感染対策で
欧米では日本に先立ってレジ袋を有料化する取り組みが始まりましたが、同じ袋を使い回すと新型コロナウイルスの感染リスクが高まるなどとして、無料で提供する動きが再び広がっています。
アメリカ西部のカリフォルニア州は、2016年、全米で最も早く小売店などでのプラスチック製レジ袋の提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋を10セント、日本円で10円余りで販売する法律を導入しました。

しかし、州内での感染の拡大を受け、客が再利用できる袋を持ち込むと店員が感染するおそれが高まるなどとして、ことし4月、一転してレジ袋などを無料としました。

また、州内のサンフランシスコでは、客が再利用できるバッグやマグカップなどを店に持ち込むことを禁じる行政命令を出しました。

東部メーン州ではことし4月から、レジ袋の提供を禁止し、再利用可能な袋や紙袋に5セント以上、日本円で5円余りで販売する法律が施行される予定でしたが、やはり感染リスクを考慮して来年1月まで延期されることになりました。

また、イギリスのイングランドではゴミを減らすため、2015年からレジ袋を1枚5ペンス、日本円で6円余りで販売してきましたが、感染の拡大を受けネットスーパーを利用する人が増えたことから、配送作業に遅れが出たりしないよう、レジ袋を一時的に無料で提供することになりました。

イギリスの環境団体「逆行は残念」

新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、レジ袋の有料化が延期されるなど環境対策と逆行する動きが出ている現状について、イギリスの環境団体の共同創始者、シアン・サザーランドさんは、「プラスチックの利用を減らすべきだという考えがせっかく根づいてきたのに、感染対策を理由に使用量が再び増えているのはとても残念だ。プラスチックの利用を減らす政策を取り消すことは理解できない」と話していました。

また、「プラスチックや石油の業界団体がこれを機にロビー活動を活発化させている。石油の値段も安くなっていることから、プラスチックを大量生産するための新たな投資も始めている」と指摘しました。

そのうえで、「私たちはウイルスへの恐怖とパニックから元に戻ってしまったが、すぐに目を覚ます必要がある。プラスチックの生産量は劇的に増えていて、それは将来、別の大きな問題につながることに気付かなくてはいけない」と述べ、将来にわたる環境への影響を十分に考慮して政策を決めるべきだとしています。