緩和ケア病棟 約20%で面会禁止 新型コロナの感染予防

緩和ケア病棟 約20%で面会禁止 新型コロナの感染予防
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がんなどによる痛みや精神的な苦痛を和らげる緩和ケアで、入院している患者との面会について専門の学会が5月、新型コロナウイルスで影響が出ているか調べたところ、全国の20%近くの施設で感染を予防するため家族の面会が禁止されていたことが分かりました。進行したがんなどの患者にとって家族との面会は重要だとして、学会はどのような場合に制限を緩和できるか今後考え方を示したいとしています。
日本緩和医療学会は5月、緩和ケアの病棟がある全国の医療機関を対象に新型コロナウイルスの影響について調査を行い、295の施設から回答を得ました。

こうした施設では重症化するリスクが高い患者が多いため、ウイルスを持ち込まない対策が取られ、
▽98%に当たる289の施設が、面会で病室に入る人数や時間を制限していたほか、
▽18%に当たる52の施設では、親や子どもなど家族との面会も禁止していると回答しました。
一方で、
▽55%に当たる163の施設はオンラインで面会できる環境を整えているほか、
▽98%に当たる289の施設は、患者が亡くなる直前に限って、感染対策をして近い家族に限るなどといった形で面会できるようにしていると回答しています。

学会の木澤義之理事長は「患者にとって家族と触れ合うことは非常に重要だ。感染が落ち着いた地域では必要な対策を行えば制限を緩和できるなど学会として今後考え方を示したい」と話しています。

スマホで面会「顔見て話せるのはうれしい」

多くの緩和ケア病棟では感染予防のために面会制限が行われていますが、スマートフォンやタブレット端末を使ったオンラインでの面会を行う施設も出てきています。

千葉県印西市に住む近藤克之さん(66)の母親、元子さん(92)は東京 台東区の永寿総合病院で緩和ケアを受けています。
元子さんは大腸がんで自宅での療養を続けてきましたが、がんが進行して体が思うように動かせなくなり、食事などもままならなくなってきたため、5月から永寿総合病院の緩和ケア病棟に入院しています。

永寿総合病院はことし3月、院内で新型コロナウイルスの集団感染が確認され、先月診療を再開してからも緩和ケアを含めて病棟での面会が禁止になっていますが、6月に入ってからは、病院側がスマートフォンを用意して母親と会話ができるようになりました。
近藤さんは週に数回、ビデオ通話で母親の様子を確認し、「体調はどう?」などと声をかけながら、元子さんが自宅で育てていた花をカメラで写しながら見せていました。


近藤さんは「直接会うことには及びませんが、スマートフォン越しでも顔色や表情が見えて、体調がいいなとか、眠そうだなとか、様子が分かります。入院する時にはもう会うことができないかもしれないと思っていたので、母の顔を見ながら話ができるのはとてもうれしいです」と話していました。