保育現場のマスク着用 子どもに表情伝わりづらいなど課題も

保育現場のマスク着用 子どもに表情伝わりづらいなど課題も
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新型コロナウイルスの感染を長期的に防ぐための新しい生活様式が広がる中、保育の現場でもマスクの着用が定着していますが、子どもに表情が伝わりづらいなど、課題も出ています。専門家は「子どもは表情や口の動きからいろいろなことを読み取っている。安全に配慮しながら表情を伝える工夫が大切だ」と指摘しています。
高知市にある福井保育園では、保育士全員がマスクをつけていますが、0歳児のクラスで、マスクをしたまま子どもたちに離乳食を食べさせていたところ、食べ物をかまずに飲み込む子どもが出てきました。

このため保育士が会話をせずに一時的にマスクを外し、もぐもぐと「かむ」お手本を見せたところ、子どもたちは口元の動きをまねて上手に食べられるようになりました。

また、1歳児のクラスでままごとで遊んでいるとき、保育士がマスクをつけたまま食べるしぐさをしたところ子どもが怒り出すことがありました。

そして一時的にマスクを外したところ、次々とおもちゃの食べ物が口元に運ばれてきたということです。

保育園では、マスクの着用について保育士20人にアンケートを採ったところ、「ことばや歌を口元を見て覚える時期なのに難しくなった」とか「ことばを教える時、口元を見せてまねさせていたができなくなった」といった声があがってきました。

福井保育園の渡辺秀一園長は「保育がしにくいという声が思った以上にあった。みんなで話し合ってどう取り組むか考えたい」と話していました。

こうした状況について新型コロナウイルスによる乳幼児の保育の課題を調べている玉川大学教育学部の大豆生田啓友教授は、子どもは、口の動きをまねしたり大人の表情から気持ちを読み取ったりしているので、表情が見えないと不安になる、安全に配慮しながら状況に応じて表情を見せる工夫が大切だとしています。

大豆生田教授は「いま保育現場では表情を通して子どもに伝わるものがたくさんあることを実感している人が多いと思う。難しいことだが安全への配慮と、子どもの成長を支えるということを同時にやっていかなくてはいけない」と話しています。

マスクしながらの子育ては

マスクをしながらの子育てについては母親からも「保育園の行き帰りに子どもを自転車に乗せて、1日にあったことを話していたが、私の声が聞き取りにくいせいか、会話がなくなってしまった」とか「大人だけでなく、子どももマスクをしている時は、表情が読み取りにくく具合が悪いのではないかと気にかかることがある」などといった声が聞かれ、安全に配慮しながら、より工夫して子育てをしていく必要性を訴える声が聞かれました。