新型コロナ院内感染で深刻な中傷や不当な扱い 京都市の病院

新型コロナ院内感染で深刻な中傷や不当な扱い 京都市の病院
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新型コロナウイルスの院内感染が発生した京都市の病院が医療スタッフなどにアンケート調査を行ったところ、「家族が勤務先から出勤停止を命じられた」など、およそ6割が深刻な中傷や不当な扱いを受けていたことが分かりました。
京都市上京区の堀川病院では、ことし4月以降、入院患者や看護師など合わせて34人の新型コロナウイルスへの感染が確認されました。

病院には非難の電話などが寄せられたことから、実態を把握をするため医療スタッフや職員にアンケート調査を行ったところ、回答があった146人のうち、およそ6割にあたる84人が深刻な中傷や不当な扱いを受けていたことが分かりました。

具体的には「家族が勤務先から出勤停止を命じられた」が10人、「保育所に子どもの預かりを拒否された」が4人、「別で働く勤務先から解雇された」が3人などとなっています。

また、「死ね」「火をつける」などの脅迫の電話を受けたり、「緊急事態宣言が解除されないのは病院のせいだ」「うちの店に来ないで、汚らわしい」などの中傷を受けたケースもあったということです。

病院では医療スタッフなどへのカウンセリングを強化し、中傷などの被害も徐々に収まってきているということです。

堀川病院の山田正明事務長は「職員が受けた精神的なダメージは相当なものだったと感じた。正しい知識を広く国民に持ってもらうことで医療従事者へのハラスメントは減るのではないかと思う」と話していました。

「来なくていい」一方的に通告

堀川病院に勤務する医療従事者の女性は、京都市内の別の診療所でも働いていますが、新型コロナウイルスの最初の感染者が確認されたあと、診療所から電話があり、「来なくていい」と一方的に通告されたということです。

女性は、感染者の濃厚接触者ではありませんでしたが、20年以上勤務する診療所との信頼関係が一変したことに強いショックを受けたといいます。

女性は「長いつきあいなのに、こういう扱いを受けるのかと思いました。同じ医療従事者なのに、理解がなかったことにもショックを覚えました」と話していました。

そのうえで、「世界的に未経験のことで知識を持ってどのように対応するかが課題なので、一人一人が知識を深め、助け合うことが大切だと思います」と話していました。