在宅勤務定着で採用段階の“居住地条件なし”の企業も コロナ

在宅勤務定着で採用段階の“居住地条件なし”の企業も コロナ
新型コロナウイルス対策として始めた在宅勤務を今後も定着させる企業が増える中、採用の段階から居住地の条件をなくし、どこに住んでいても働けるようにする企業が出ています。
東京 渋谷区に本社があるインターネット関連企業、GMOペパボは、ことし1月末から始めた原則、在宅勤務の試みを今後も続けることを決めました。

これに伴って採用も見直し、これまでは東京と福岡、それに鹿児島にある3か所の拠点のどこかに通勤できることを条件にしていましたが、今月からこの条件をなくしました。

面接はすべてオンラインで行い、年に4回程度開かれる社内の催しなどの際に出社できれば、国内のどこに住んでもよいということです。

出社の際の交通費は上限を設けるものの、会社が支給します。今の社員にも適用されるということで、男性社員の1人は、「自宅でも業務上は問題ありません。今後、介護の問題などが出てきた時に自由に引っ越せるのはありがたいです」と話していました。
GMOペパボの人事担当、船橋恵さんは「住む場所の選択肢を広げることで、より優秀な人材を採用できると期待しています。コミュニケーションが希薄化してしまう可能性はあるので、会社として交流の機会をしっかり設けていきたい」と話していました。

専門家「場所の制約 開放にも」

「リクルート住まいカンパニー」が首都圏などに住むおよそ1400人を対象にことし4月に実施した調査では、今後もテレワークを行う場合、全体の24%が住み替えを検討したいと答えました。

住み替えの希望を複数回答で尋ねたところ、「部屋数の多い家にしたい」という答えが40%と最も多かったほか、「通勤の利便性より周辺の環境を重視したい」という答えが26%、「自然が身近なところに住み替えたい」という答えも8%ありました。
リクルートワークス研究所の中村天江主任研究員は「これまでも地域限定社員などの制度はあったが、移動や場所の制約を乗り越えることはできなかった。しかし、このままテレワークが根付けば場所の制約が解放され、働く人にとっても、優秀な人材に来てほしい企業にとっても、大事な変化になるだろう」と話していました。

そのうえで「こうした制度をうまく生かすには、オンラインでのコミュニケーションや、成果を適正に評価する人材マネジメントが不可欠だ」として、それぞれの会社にあった働き方や人事制度づくりを考えていく必要があると指摘しました。