新型コロナ 空港検疫での感染確認 4倍に増加 解除前に比べて

新型コロナ 空港検疫での感染確認 4倍に増加 解除前に比べて
先月、緊急事態宣言が解除されて以降、国内の多くの地域で新型コロナウイルスの感染が収まっている中、逆に増加しているのが空港の検疫です。宣言がすべて解除された後のおよそ1か月間で、空港の検疫で感染が確認された人は、24日までに合わせて131人にのぼり、解除前の1か月間と比べておよそ4倍に増えていることがわかりました。
検疫をめぐっては、現在、感染症危険情報がレベル3に引き上げられているアメリカやヨーロッパなど111の国と地域からの入国者に対して、全員にPCR検査を実施しています。

厚生労働省によりますと、すべての都道府県で緊急事態宣言が解除された先月25日から、今月24日までのおよそ1か月間に空港の検疫で感染が確認された人は131人にのぼっています。

先月25日に宣言が解除される前の1か月間と比べると、空港の検疫で感染が確認された人はおよそ4倍に増加しています。

感染者のうち70%以上は外国籍の人です。

専門家によりますと、空港の検疫で感染者が相次いで確認されている背景には、緊急事態宣言が解除されたことや、外国での感染拡大に伴って、日本に在留資格のある人などが入国するケースが増えているからではないかとしています。

政府は感染状況が落ち着いている国のビジネス関係者らに限って入国制限を緩和する方針を打ち出していますが、多くの感染者が国内に流入してしまうと再び感染の拡大を引き起こすおそれもあり、専門家などからは慎重な検討を求める声があがっています。

専門家「再び感染広がるきっかけになる可能性」

公衆衛生学が専門の国際医療福祉大学の和田耕治教授は、海外からの入国者について「ことし3月、海外から多くの人が帰国したことが原因で国内の感染が拡大した。今の状態で開国して海外から一定数の感染者が国内に入ってきた場合、再び国内で感染が広がるきっかけになる可能性がある」と述べています。

また、海外の状況については「経済への影響が大きいため、一定数の感染者がいるのに、国どうしの行き来の再開に向けて動いている国もある。中には検査体制などが不十分なケースもあり、その場合は流行状況を正確に把握することは非常に難しい」と指摘し、入国制限の緩和は慎重に検討するよう求めています。

そのうえで「不正確な状況をもとに判断してしまうと、感染者が国内に入ってしまう可能性があり、入国制限は規制をかけるよりも緩めていくほうが難しい。日本がこれからどの程度、リスクを負って制限を緩和すべきか広く議論する必要がある」としています。