EU 中国と新型コロナで協力確認 一方で市場開放などで不満も

EU 中国と新型コロナで協力確認 一方で市場開放などで不満も
EU=ヨーロッパ連合は中国とオンライン上で首脳会議を開き、新型コロナウイルスへの対応などでさらなる協力が必要だとの認識で一致しました。ただEUは、中国政府による企業への補助金や市場の開放などをめぐって不満を強めていて、中国に改善を求めました。
EUのミシェル大統領とフォンデアライエン委員長は22日、中国の習近平国家主席、李克強首相とそれぞれオンライン上で首脳会議を開きました。

その結果、双方は新型コロナウイルスへの対応や世界経済の回復に向けてさらなる連携が必要だとの認識で一致しました。

その一方、EUのフォンデアライエン委員長は会議後の記者会見で「関係を発展させるには中国がよりルールに基づき、相互主義にのっとらなければならない」と述べました。

EU側は、政府から補助金を受けた中国の企業がEU域内に進出し市場をゆがめているほか、中国は十分に市場を開放していないなどとして不満を強めていて、改めて中国側に改善を求めた形です。

これに対して、国営の中国中央テレビによりますと李克強首相は会議の中で「双方の間には競争よりも協力が多く、意見の相違よりも共通認識のほうが多い」と述べて、EUに協力する姿勢をアピールしたということで、状況の改善を迫るEUと良好な関係を強調する中国との温度差が改めて浮き彫りとなりました。

中国の影響力拡大に警戒強めるEU

EUは中国を「戦略的なパートナー」だとする一方、ヨーロッパでの影響力が強まっていることなどから一層、警戒を強めています。

EUの執行機関、ヨーロッパ委員会は、以前より多くの中国企業がヨーロッパに進出し、域内企業の買収への懸念が高まっていることなどを受けて、先週、政府から一定規模以上の補助金を受けた外国企業による域内企業の買収を規制することを各国に提案しました。

また今月には、中国が新型コロナウイルスの感染源や治療方法に関して偽の情報を大量に流しているなどとする報告書をまとめ、名指しで非難しました。

さらに、香港での反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法案についても「深刻な懸念」を繰り返し表明しているほか、チベットやウイグルなどの人権状況を改善するよう継続的に求めています。

一方で、EUにとって中国は世界2位の貿易相手で、とりわけ新型コロナウイルスの影響で傷んだ経済の立て直しのほか、気候変動などでも協力は不可欠だとの立場で、中国との対立を深めるアメリカとは一線を画しています。