NY市で経済活動さらに緩和 12州では1日の感染者数が最多に

NY市で経済活動さらに緩和 12州では1日の感染者数が最多に
新型コロナウイルスの感染拡大がもっとも深刻だったアメリカ・ニューヨーク市で、22日、経済活動がさらに緩和され、屋外の座席を利用したレストランでの飲食などがほぼ3か月ぶりに再開しました。ただ、感染の予防策をとるのに時間が必要だなどとして、休業を続けている店もあり、本格的な経済活動に戻るにはまだ時間がかかるものとみられます。
22日、ニューヨーク中心部マンハッタンにあるレストランでは、店の前の歩道におよそ1.8メートルの間隔をあけてテーブルなどを設け、ランチを楽しむ人でにぎわっていました。

訪れた女性客は、「大好きなレストランで久しぶりに食事ができて、とてもうれしいです」と話していました。

また、公園の遊具の使用も認められ、マンハッタンのセントラルパークにはマスクをした親子連れの姿がありました。

ニューヨーク市は、今回の経済活動の再開で、最大で30万人が職場に復帰できるとの見通しを示していて、今後、感染の状況を見極めながら、店内を利用した飲食店の営業や、映画館の再開などを目指す方針です。

ただ、客や従業員の感染予防策を取るのに時間が必要だなどとして、休業を続けている店もあり、本格的な経済活動の再開には、まだ時間がかかるものとみられています。

再開申請店舗は市の見通しの6割ほど

今回の経済活動の再開で、ニューヨーク市は、およそ5000店のレストランが営業を始めるとの見通しを示していましたが、22日の記者会見でデブラシオ市長は、再開を申請した店舗は先週末の時点で3100店余りにとどまったことを明らかにしています。

営業再開に当たっては、客や従業員の感染防止対策に加えて、利用できる人数が制限されることなどから、経費がかさむうえ、大幅な売り上げの回復も見込めないのではという指摘も出ていました。

このため、休業期間が長引いたこともあってすでに閉店や廃業を決めた飲食店も多くあると見られ、観光客も当面見込めないことからニューヨーク市経済は、依然、深刻な状態が続きそうです。

22日の記者会見で、デブラシオ市長は、「前進しなくてはならないが、以前のような状態に戻ることはないだろう」と述べています。

日本人が経営するヘアサロンでは

ニューヨーク市では、理髪店やヘアサロンもこの日から営業を再開しましたが、仕切りを設けたり客席を減らすなど、多くの感染対策を講じています。

このうち、ニューヨーク市南部、ブルックリンにある日本人が経営するヘアサロンでは、開店と同時に多くの客が訪れていました。

店では、客どうしの距離をとるため、座席を7席から4席に減らしたほか、座席の間には仕切りを設け、感染対策を強化しました。

さらに、来店した客の検温や、消毒液を常備して客が代わるごとに座席を消毒したり、従業員も午前と午後で入れ替えることにしているということです。

6年前からこのヘアサロンを経営する渡瀬弘也さんは、「3か月ぶりの再開が嬉しくて、きのうは寝られませんでした。お客様の笑顔を見て話をしながら営業することができて幸せです」と話していました。

最初の客として訪れた60代の女性は、「再開の知らせを受けて、すぐに予約をしました。外出制限の中で何をして過ごしていたのかを聞くのも楽しいですし、ヘアカットしてもらえて嬉しいです」と話していました。

再開にあたって店側では、座席の減少や感染対策の経費などのため、カットなどすべてのメニューを一律5ドル、500円ほど値上げしたということですが、到底、まかない切れていないということです。

12州で1日の感染者数が最多に 経済再開との関係指摘も

アメリカでは、この週末に、1日あたりの感染者の数が最多を記録した州が南部や西部を中心に12にのぼり、これらの州の多くが比較的早い時期に経済活動を再開していることから因果関係を指摘する声も出ています。

ABCテレビによりますと、今月19日から21日の3日間に、テキサス州やフロリダ州、アリゾナ州など12の州で1日あたりの感染者数が最も多くなりました。

この中では、比較的早い時期に経済活動を再開した州も多く、先月1日から再開したテキサス州では、1日あたりの新たな感染者がその後、急激に増え、今月16日以降は、連日3000人を超える状況が続いています。

特に、ヒューストンやダラスなどの都市部で多く、感染症の専門家は「早すぎた経済再開が原因のひとつだ」と分析しています。

こうした状況について、トランプ政権で新型コロナウイルスの感染対策に携わるファウチ博士はアメリカメディアのインタビューに対し、「第2波を懸念する人がいるが、まだ第1波は終わっていない」と述べ、懸念を示しています。

これに対して、テキサス州の知事は、経済活動の中断は「最後の手段だ」と述べているほか、同じく感染者が急増しているフロリダ州の知事は、多くの感染者が症状のない若い世代で、「4月の上旬より深刻ではない」と述べるなど、さらなる感染防止対策には、消極的な姿勢を示しています。

《1日あたりの感染者数が最も多くなった12州》
フロリダ州、テキサス州、ユタ州、サウスカロライナ州、ネバダ州、ジョージア州、ミズーリ州、モンタナ州、アリゾナ州、カリフォルニア州、テネシー州、オクラホマ州