子どもの目が「オンライン疲れ」休校の長期化で不調訴える例も

子どもの目が「オンライン疲れ」休校の長期化で不調訴える例も
新型コロナウイルスの影響で休校が長期化したことで、子どもたちがオンライン授業でパソコンやスマートフォンなどを長時間見続けることで目の不調を訴えるケースが増えています。こうした子どもを診療している眼科医は、国などが目を疲れさせないオンライン授業の形を示す必要があると訴えています。
東京の世田谷区眼科医会は、若い世代の患者が増えていないか、会員の医師に対してアンケートを行い、48人から回答を得ました。

この中で、緊急事態宣言が解除されたあとで小学生から大学生までの患者の数が変化したかどうか尋ねたところ、3分の1に当たる16人は感染拡大の影響などで「減った」か「どちらかといえば減った」とした一方、4割余りの20人が「増えた」か「どちらかといえば増えた」と回答しました。

患者から相談があった症状について複数回答で聞いたところ、16人が長時間にわたってスマートフォンの使用やゲームをしたことによる目の疲労や異常、そして、11人がオンライン授業でパソコンなどを長時間使ったことによる目の疲労や異常を挙げていて、具体的には「7歳の子どもが1日6時間パソコンを見たことで目を痛めた」とか「大学生が講義を一日中見ていたら痛くて目を開いていられなくなった」といった相談があったということです。

子どもの目の状況について、日本小児眼科学会などはことし4月、緊急の提言を出し、距離をとるとともに、長時間使い続けないよう注意を促しています。

多くの学校は再開されましたが、今後、感染の第2波が来ると、再び、オンライン授業が増える可能性もあり、眼科医は子どもの目を守る対策が必要だとしています。
子どもの患者を診察してきた世田谷区の眼科医、中山百合医師は「真剣に画面を見続けている子どもほど疲れがひどく、疲れを通り越してやる気を失っている子もいる。授業の合間に目を閉じたり、遠くを見て目を休めたりするための時間を設けるなど、オンライン授業の形を国が示す必要がある」と話しています。

「オンライン疲れ」感じる高校生は

東京都内の高校に通う高校2年生の宮本紀子さんは、休校となったことし4月以降、学校が配信するオンライン授業を自宅で受けています。

宮本さんは、授業のほか、課題の制作や提出も含め、1日平均およそ5時間パソコンを使うようになりました。宮本さんは1人で集中して勉強でき、移動による感染の不安もないというメリットも感じていましたが、オンライン授業が始まってから2週間ほどたったころから目の疲れや痛みが出るようになったといいます。

そこで、先月上旬に眼科を受診したところ、目の疲れで乾燥してぼやけるようになり、視力検査では以前はメガネをかけた状態で1.2まで見えていたのが0.8までしか見えなくなっていたということです。

その後、宮本さんは、パソコンを使うのは勉強するときだけにしたり、授業の合間には観葉植物を眺めるなどして目を休めるようにしたところ、目の疲れは軽くなったということです。

宮本さんは、今週から学校に登校して受ける授業も始まりましたが、そこでも教室の密を避けるためにオンラインの授業があり、目が疲れないように注意しているということです。

宮本さんは「オンライン授業が始まって外にも出歩かなくなって、パソコンを触る時間も倍増したので、目の疲れが一気に来ました。最初はオンラインで友達とお昼ごはんを一緒に食べていましたが、目が痛くなって以降、最近は授業以外でパソコンを触らなくなりました。みんなと話す形の授業もたくさん受けたいですし、体育の授業ももっと受けたいです」と話しています。

専門家「適度に休息を」

教育現場での情報通信技術の活用について研究している、東京福祉大学の柴田隆史教授は「近視は学童期に発症したり、進行しやすいことが知られていて、近くを見続ける作業が長い時間続くことが近視と関係しているとされる。成長過程にある子どものパソコンやタブレット端末などの使用に関しては十分に配慮する必要があり、適度に休憩を取ることが大切だ」と指摘しています。

柴田教授によりますと、具体的な対策として、アメリカでは20分間画面を見たあとは20フィート、およそ6メートル以上離れた物を20秒間眺めるというルールがあるということです。

そのうえで「授業中ずっと画面を見続けるような状況を作らないように、たとえば、15分ごとなど区切りを設けて、画面から少し目を離すようなことが大切だ」と話しています。