移動の自粛緩和 観光地など営業再開の動き

移動の自粛緩和 観光地など営業再開の動き
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全国的に移動の自粛が緩和されたことを受けて松山市の観光名所、道後温泉本館が、およそ2か月ぶりに19日営業を再開し、待ちわびた県内外の観光客らが早速、訪れました。
道後温泉本館は、明治時代に建てられ国の重要文化財に指定されている公衆浴場ですが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ことし4月18日から臨時休館を続けてきました。

営業再開は全国的に移動の自粛が緩和され、愛媛県が独自に設ける警戒レベルが引き下げられたことを受けたもので、19日は早朝から県内外の観光客らが訪れました。

客は受付での検温や連絡先の記入といった感染防止対策に応じながら、早速、入浴していました。

東京から訪れた40代の男性は「再開すると聞き、旅行の予定を急きょ変更して来ました。安心して気持ちよく入ることができました」と話していました。

道後温泉の旅館やホテルでは、ことし4月の宿泊客数が去年より9割以上減少し、一時は臨時休業が相次ぐなど厳しい状況が続いていました。しかし、観光名所の道後温泉本館が営業を再開したことで、大半の宿泊施設や商店街の店も足並みをそろえる形で、19日までに営業を再開し、観光客の回復に期待が高まっています。

松山市道後温泉事務所の白川剛士副主幹は「本館が無事、再開できてほっとしています。安心して利用できるよう感染予防を徹底しているので、多くの方にお越しいただきたい」と話していました。

「立山黒部アルペンルート」2か月ぶり再開

新型コロナウイルスの影響で営業を見合わせていた、富山県と長野県を結ぶ北アルプスの山岳観光ルート「立山黒部アルペンルート」が、およそ2か月ぶりに再開しました。

富山県立山町と長野県大町市をバスやロープウエーなどで結ぶ、立山黒部アルペンルートは、ことし4月に全線開通しましたが、感染拡大を受けてその3日後に営業を休止しました。

その後、移動の自粛が緩和されたことから人の密集を避けるなどの対策を取ったうえで、19日、およそ2か月ぶりに営業を再開しました。

富山県側の起点となる立山駅では午前7時半ごろケーブルカーの切符売り場が開き、訪れた人たちが早速、買い求めていました。

また、標高2450メートルの室堂ターミナルでは午前9時40分ごろにバスが到着し、10人ほどが降り立ちました。感染拡大を防ぐためバスなどの定員を通常より減らし、便数も少なくなっています。

愛媛県から来た70代の男性は「長野県の観光に来たらアルペンルートに、ぜひ来たいと思っていたので来られてよかったです」と話していました。

また、大阪府から訪れた50代の男性は「きょうはあいにくの雨でしたが、あしたとあさっては晴れると聞いているので、スキーを楽しみたいです」と話していました。

立山黒部アルペンルートは例年は11月末まで営業しますが、今シーズンの営業期間はまだ決まっていないということです。

乗鞍スカイライン 1か月遅れで全面開通

都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和されたことを受けて、岐阜県が管理する、北アルプスの乗鞍岳の観光道路、「乗鞍スカイライン」が、19日例年よりおよそ1か月遅れで全面的に開通しました。

岐阜県の乗鞍スカイラインは、毎年5月15日に全線で開通しますが、ことしは、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和された19日、全面的に開通しました。

雄大な自然を楽しめる乗鞍岳は登山者に人気で、頂上に近い標高2700メートルの畳平では県の担当者などが、ほかの登山者と十分な間隔を空けることなどを呼びかけていました。

また、畳平のバスターミナルでは、フェイスシールドを着けた土産物店のスタッフが、入り口に消毒液を置くなどして営業再開の準備にあたっていました。

乗鞍バスターミナルの川上達也支配人は「こんなに静かなオープンを迎えたのは初めてです。例年のように多くの人が来ても安心して楽しんでもらえるよう頑張りたいです」と話していました。

伊勢神宮 参拝時間を3時間延長

三重県伊勢市の伊勢神宮は、都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和されたことなどから、短縮していた参拝時間を19日から3時間延長しました。

伊勢神宮は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、4月下旬から参拝時間を午前6時から午後3時までに短縮していました。

都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和されたことなどから19日、参拝時間を3時間延長し、午前5時から午後5時までに変更しました。

19日、朝の伊勢神宮の内宮周辺には、雨が降る中、県内外から観光客が参拝に訪れていました。伊勢市によりますと、4月下旬に9割以上が休業していた内宮近くの商店も、およそ8割の店が営業を再開したということです。

土産物店を営む外村晃一さんは「まだ東京からのお客さまに来てもらうのは葛藤がありますが、少しずつ客足が回復したらと思います」と話していました。

愛知県から訪れた30代の女性は「やっと来ることができました。少しずつ日常に戻っていけるといいなと思います」と話していました。

大分 別府温泉 早速予約の問い合わせ

都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和されたことを受けて、観光客が激減している全国有数の温泉地、大分県別府市のホテルでは早速、予約の問い合わせが相次いでいます。

別府市にあるホテル「両築別邸」では、今月1日から営業を再開しましたが、宿泊客の数は例年の1割以下にまで落ち込んでいます。

こうした中、都道府県をまたぐ移動の自粛が19日に全国で緩和されたのを受けて、ホテルには早速、予約の問い合わせが相次ぎました。

ホテルでは、大勢の客が利用すると感染のリスクが高まるとして客室を半分に制限していて、従業員らが客室の鍵の消毒や検温に使う機器の調整など宿泊客の受け入れ準備に追われていました。このホテルの浴室には人の出入りを感知するセンサーも設置され、宿泊客が客室のモニターで混雑がないのを確認してから、温泉を楽しめるようにしてあるということです。

両築別邸の緒方真美専務は「県外からのお客様にたくさん来てもらえるよう、安心して宿泊してもらうための感染対策をしっかり行っていきたい」と話していました。

岩手名物「わんこそば」も再開

おわんにそばを次々と入れて食べてもらう岩手県の名物「わんこそば」は、新型コロナウイルスの影響で提供が休止となっていましたが、感染対策が取られたうえで19日、一部の店舗で再開されました。

おわんにそばを次々と入れて食べてもらう岩手県の名物「わんこそば」を提供している7つのそば店は、そばを入れる「給仕」と客との距離が近いことなどから、4月から提供を休止していました。

しかし、都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和されたことを受け19日、5つの店が再開しました。

このうち盛岡市の東家本店には19日に8組25人からの予約が入っていて、午前中から「わんこそば」が提供されていました。

各店共通の感染防止ガイドラインに沿って、マスクを着用した給仕が以前より距離を取ってそばを提供していたほか、独特の掛け声も声量を控えめにして行われていました。また、座席を横並びに変更するなどの対策も取られていました。

初挑戦で180杯を食べた秋田県出身の30歳の男性は「以前から体験したかったので、きょう再開する店を探し予約しました。給仕さんは優しくて、おなかも満足です」と話していました。

給仕の久保沙織さんは「新しいやり方で不慣れな部分もありますが、久しぶりにお客様の笑顔が見られてよかったです」と話していました。

北海道 ラベンダー農園など歓迎の声

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う往来の制限が19日に解除されたことについて、道内の観光施設などからは歓迎する声が上がっています。

このうち、例年およそ100万人が訪れる上川の中富良野町の観光農園「ファーム富田」では現在、早咲きのラベンダーが一面に咲き誇り、見頃を迎えています。

しかし、新型コロナウイルスの影響で1日の来園者は50人程度にまで落ち込んでいて、農園では、敷地内にある土産物店やカフェ12店舗のうち、10店舗を閉めるなどして経費の削減に努めています。

こうした中、19日、道内とほかの都府県との往来の制限が解除され、農園は今後来園者が増加すれば、臨時の従業員を採用するなど店舗を開く準備を進めることにしています。

ファーム富田の営業責任者の辻暁さんは「ラベンダーにはリラックス効果があると言われているので、香りや景色でリフレッシュしに来てほしいです」と話していました。

大阪 笑いの発信地も営業再開

大阪のお笑いの発信地、吉本興業の「なんばグランド花月」が、新型コロナウイルスの感染防止対策を徹底し、およそ3か月ぶりに再開されました。

営業が再開された「なんばグランド花月」では、感染防止対策として、入場の際、消毒や検温のほかマスクの着用が義務づけられ、およそ860ある客席の使用も2割以下の112席に制限されました。

19日は冒頭、桂文枝さんや西川きよしさんなど吉本興業の大御所4人がアクリル板で隔てられた状態で舞台に登場しました。

そして「大変な世の中ですが、一緒に笑いましょう」と呼びかけたあと、文枝さんが『このアクリル板は横山やすしさんと面会したあの時と同じですか』と突っ込むと、きよしさんが「あそこでは中央に穴がたくさん付いていました」と切り返していました。

このあと、人気漫才コンビ「ミルクボーイ」など10組が出演し、1本ずつ用意されたマイクなど従来とは違う環境のなかで漫才を披露し、笑いを誘っていました。

公演を見終えた女性は、「再開初日に行こうと決めていました。笑おうと思っていたけれどやっと来られた感動で泣いてしまい、自分でもびっくりしました」と話していました。

公演を終えた漫才コンビ「テンダラー」は「相方と距離があることがこんなにやりにくいんやなと思いました。『このコンビには心の中にアクリル板があるな』とか、これまでと違った楽しみ方もしてほしい」と話していました。