在宅勤務の光熱費 企業と個人 どっちが負担?

在宅勤務の光熱費 企業と個人 どっちが負担?
新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広まるに伴い、エアコンなど社員の自宅の光熱費などを補助する企業も出始めています。テレワークの普及啓発を行っている団体では「原則会社が負担すべきだが、私生活との線引きができないため、労使間で取り決めておくことが大切だ」と指摘しています。

暑さに伴い 光熱費の負担増を心配する声

このところの暑さに伴いSNS上では、在宅勤務を行う人たちからエアコンの電気代など自宅の光熱費の負担増を心配する声が目立っています。

「電気代が昨年よりどれだけかかるか気になる」
「扇風機買いました。一日中ずっとエアコンだとお給料に響きそうなので」
「会社が負担してくれないかな」

東京 千代田区にある電力小売り会社「アイ・グリッド・ソリューションズ」が、契約者6000人余りを対象に行った調査で「テレワークを始めた」と回答した人のうち59%で、ことし3月中旬から1か月の電気代が平均で1700円ほど増えたと推計されたということです。

月2万円の「在宅勤務手当」支給の企業も

こうした中、光熱費などを補助する企業も出てきています。

東京 新宿区に本社があるIT関連企業の「サーバーワークス」は新型コロナウイルスの影響で、ことし1月から在宅勤務を勧めてきましたが、4月以降は原則として在宅勤務としました。そのうえで、この会社では週の労働時間が20時間を超える社員に対し、「在宅勤務手当」として月2万円を支給することにしました。

この手当は光熱費のほか、机の買い替えなどに充ててもよいということです。
太田奈津希総務人事部長は「半ば強制的に在宅勤務を余儀なくされている中で、社員一人一人が選択でき、かつ生産性を高くして仕事をするために会社として手当を支給しています」と話しています。

“私生活の使用分との線引き困難 事前に取り決めを”

また、テレワークの普及・啓発や調査研究を行っている一般社団法人「日本テレワーク協会」には、ことし4月以降、経営者などから「在宅勤務中の電気代は会社が負担すべきなのか?」という相談が数十件寄せられています。

協会の担当者は「これまで多くの人が在宅で一日中仕事をすることがなかったので、光熱費負担に関するちゃんとした基準がない」と現状を説明します。そのうえで、「通信費や電気代などの経費は原則会社が負担するべきものと考えますが、私生活の使用分と正確に線引きをすることができないので、労使間であらかじめ取り決めをしておくことが重要だと思います」と指摘しています。

「エアコン つけっぱなしが電気代を抑えられる」

また、電気代をできるだけ節約する方法について大手空調機器メーカーのダイキン工業の広報担当高木旭さんは「エアコンは起動しはじめるときと、設定と室内の気温差が大きいときに電力を大きく消費するため、日中はこまめに電源をオンオフせずに、つけっぱなしにしておくほうが電気代が抑えられる」とアドバイスします。

また、ウイルスや汚染物質が部屋にこもらないようにするために、できれば1時間ごとに5分から10分の換気をしてほしいと呼びかけています。

この際もエアコンをつけっぱなしで換気したほうが電気代はかさまないということです。

ただし、エアコンからなるべく離れた窓を開けて、外気がエアコンに当たらないようにすることや換気中は設定温度を少し上げるといった工夫をしてほしいとしています。