コロナでボーナスカット “ローンが払えない” どうすれば?

コロナでボーナスカット “ローンが払えない” どうすれば?
新型コロナウイルスの感染拡大は家計にも大きな影響を及ぼしています。ボーナス支給の時期になり「ローン返済が難しい」という相談が相次いでいます。コロナ禍の返済計画で気をつけたいことは?避けたいことは?
(ネットワーク報道部 記者 管野彰彦・井手上洋子・國仲真一郎)

ボーナスカット 働く気力が…

新型コロナウイルスの感染拡大によって企業の業績が悪化し、夏のボーナスにも影響が出ています。ネット上にはさまざまな声があがっています。

「きょうはボーナスの支給日。減っていたけれどもらえただけありがたい」など安心する声がある一方で「住宅ローン、車ローンのボーナス払いが出来なくなる」など不安の声も投稿されています。

お先真っ暗

実際に投稿をした人にも話を聞くことができました。
広島県に住む、なづきさん(50代)。今月15日、ツイッターに「夫のボーナス全面カット。どうやって生活したら良いのよ」と投稿していました。
なづきさんのご主人(50代)は鉄工所に勤務。7月にボーナスが支給されるはずでしたが、投稿したまさにその日、会社側からボーナスの全額カットを通知されたといいます。
なづきさん
「多少はカットされるかもという話は夫ともしていましたが、まさか全額カットになるとは思ってもいませんでした。夫から話を聞いた時はお先が真っ暗になりました」
なづきさんによると、ご主人の会社は月々の給料は少ないもののボーナスは比較的多く支給されるため、車のローンや車検の費用などはボーナスを当てにしていたといいます。

さらに、なづきさん自身も新型コロナウイルスの影響でパートの収入が減っているということで、今後の金策に頭を悩ませています。
なづきさん
「ふだんから節約して生活しているので、これ以上の節約は難しいです。このままでは借金をせざるをえないかもしれません。一生懸命働いてきたのにという怒りもありますし、とてもショックです」

どうする「人生最大の買い物」

影響が大きいのが、「人生最大の買い物」ともいわれる住宅ローンの返済です。住宅ローンを扱う住宅金融支援機構には「新型コロナウイルスの影響で返済を待ってほしい」「ボーナスが減りそうなので、ボーナス返済を取りやめたい」といった相談が相次いで寄せられています。

相談件数は、感染拡大が本格化する前のことし2月には15件でした。それが3月には214件、4月には1158件、5月には878件、さらに今月は14日までで259件と、多い状態が続いています。

返済方法の変更メニューを3つホームページで公開していて、実際にローンの返済方法を変えたというケースも、この数か月で一気に増え、5月には1000件、今月は12日までで724件に上っています。
ボーナスの減収を含む経済事情や病気などで返済が困難になっているといった3つの項目にあてはまる人などが対象で、機構によると9割ほどが「中ゆとり」とよばれる、返済額を一定の期間減らす方法をとっていて、ほかには、返済期間を延長することで月々の返済額を減らしたり、ボーナスでの支払いを取りやめたりといった方法があります。

最も大事なのは…

担当者が強調したのが事前に相談することの重要性です。その理由を詳しく聞いてみました。
Q:相談なしに支払いを滞らせてしまうとどうなる?
A:6か月延滞してしまうと「期限の利益の喪失」といって、毎月いくらずつという形式での返済ができなくなり、一括しての返済をお願いすることになります。それもできない場合は、物件の処分など法的な手続きに入る可能性もあります。
Q:その「6か月」には、返済方法を変更した期間も含まれるの?
A:相談のうえで変更した分は「延滞」にはなりません。ただし、事前に何の連絡や変更もないまま「今月は厳しいからほんとは10万円のところを8万円だけ返そう」ということはできません。この場合は「延滞」となります。
担当者は「高金利の借り入れをするような無理を重ねてからではなく、早めに相談をして、状況にあった返済方法への変更を検討してほしい」と話していました。

住宅以外の返済苦も

消費に関する相談などを受け付けている国民生活センターにも、今月に入ってボーナスに関する相談が寄せられています。
「新型コロナウイルスの影響で給与もボーナスも減ってしまい自動車ローンやキャッシングの返済が難しい」

「去年カードローンで借り入れをして月々数万円を返していたが返済ができない」


センターでは、こうしたボーナスの減額に関する相談は今後も増えるおそれがあるとみています。

こうした相談について国民生活センターでは、「自治体が設置している多重債務相談窓口に相談をするほか、カード関連の返済ではカード会社に自分の状況を伝え、返済の先延ばしなどについて相談をしてほしい」などと応じているということです。

「支払い見直したい」相談急増

ファイナンシャルプランナーで社会保険労務士の井戸美枝さんのもとにも「ボーナスがカットされるので、支払い方法を見直したい」という相談が多く寄せられているといいます。
そして、その多くが住宅ローンに関する相談。4月ごろから増え始め、例年の2~3割ほど多くなっているそうです。なかには「リモートワークになって、ボーナスの査定がどうなるか分からず不安だ」といった相談もあるといいます。

どうすればいいの?

では、どうすればいいのか、聞きました。井戸さんによると、そもそもボーナスは企業の業績を反映するので、支払いの当てにすることは避けた方がいいといいます。

とはいえ、現に利用している人も多いので、次の2点をアドバイスしているといいます。

方法1 支払い月の変更

1つは、ボーナスの支払い月を変更する。例えば6月を9月など後ろにずらします。

支払額が減る訳ではありませんが、その間に家計を見直すなどして、そのほかの支出に充てていた金額をローンに回す方法です。

方法2 内訳変更

もう1つは、ボーナス払いの金額を減らして月々の支払額を増やす方法です。毎月の負担は大きくなりますが、ボーナス払いを利用しなくてもローンを支払えるくらいが適正な借入金額だそうです。

これを機に家計の見直しも

いずれも家計の見直しが必要になりそうですが、井戸さんいわく、ほとんど行かないスポーツジムの費用や、あまり使っていないクレジットカードの年会費、それに保険料や携帯電話代などを見直すことで、多くの家庭で月に2万円くらいは出費を抑えられるそうです。

一方で、できれば避けたいのは返済期間の延長だそうです。理由はその分、利息の負担額が増加し、支払いの総額が増えてしまうからです。
井戸さん
「金融機関にとっても支払いがなくなってしまうのは避けたいので、今は多くのところが相談に乗ってくれるはずです。1人で悩んでいても解決はしないので、まずは電話をして相談することが大切だと思います」

税金やカードローンは?

このほか4~6月は固定資産税や自動車税といった税金の支払いやカードローンなど、ボーナスを当て込んで支払おうと考えていた人も多いと思います。

所得が一定程度減少した場合などは、税金の納付や徴収を猶予して延滞税や延滞金を免除する制度を活用したり、カード会社に支払いの相談をしたりすることも有効だとしています。