駅の伝言板 コロナで復活 つづられた“不自由な生活”への思い

駅の伝言板 コロナで復活 つづられた“不自由な生活”への思い
新型コロナウイルスの影響で外出自粛が続いていましたが、神奈川県の駅では、携帯電話が普及していなかった時代に活躍した「手書きの伝言板」が復活し、不自由な生活で感じた寂しさや苦しさ、励まし合う声などがつづられています。
神奈川県のJR東神奈川駅では、新型コロナウイルスで外出自粛が続いていた4月、少しでも利用者が交流できる場を作ろうと約20年ぶりに伝言板を復活させました。
その後1か月余りで、延べ1000人以上が伝言板に思いをつづっています。

改札口のすぐ脇に設置されている幅3メートルを超える大きな伝言板には、連日利用客らがメッセージなどを書き込んでいます。

しかし、かつてのような待ち合わせの約束などではありません。

「在宅勤務はもうたくさん。早く会社に行きたい」
「早く平穏な日々が訪れますように」

新型コロナウイルスの影響で不自由な生活を強いられている人々の率直な思いです。

(通勤途中の女性)
「これを見ると、なんかちょっと他にも人がいるっていうか、つながりを感じられるので、すごくいいなって」

伝言板に 感謝の思いを

伝言板の前でじっとたたずむ女性がいました。横浜市の会社員、井上麻衣子さんです。

「『大変なときにインフラを守ってくれてありがとう』って書かせてもらいました。私は会社員なので在宅勤務ができているんですけど、1か月ぶりに病院に来なくちゃいけなくて、(鉄道を)守ってくれてる人がいるっていうのがありがたいなって思って」

こう話してくれたあと、
「ちょっと、もう限界。3か月引きこもっているので。ごめんなさい」。

今の生活は想像以上につらいと、涙ながらに話してくれました。

復活の中心は 入社3年目の駅員

伝言板を設置した場所にはもともと旅行のポスターが貼られていました。新型コロナの影響で撤去されたあと、人々が思いを伝え合う場所にできないかと、若手駅員たちが伝言板の設置を発案しました。

中心になったのは入社3年目の本間美咲さんです。

本間さん自身も故郷の新潟に帰れず、家族に会えないさびしさを感じていました。
手書きの文字で交流する伝言板のあたたかさが、自分と同じ思いをしている人々の励みになると考えました。

(本間さん)
「お客さんの人数が減ってしまって、なんとなくですけれども閉塞(へいそく)した雰囲気が漂ってまして。私たちがいま何もしないよりは、何かすることによって、お客様に勇気づけられることができるのではないかと」

JR東日本によりますと、この伝言板は新型コロナウイルスの感染状況や駅の利用客の声を聞きながら、可能なかぎり続けていきたいということです。