コロナでゴルフが変わる 新たなプレースタイルとは

コロナでゴルフが変わる 新たなプレースタイルとは
新型コロナウイルスは私たちの生活を変え、さまざまな業界で感染への警戒が続いています。屋外で緑あふれる広大なコースを回り、感染リスクが低いイメージがあるゴルフ場でも“新たなプレー様式”を模索する動きが出ていて、評判が上々な取り組みもあります。
広がりつつある新たな様式は、プレー人口がピーク時から半減するというただでさえ苦しい状況で新型コロナウイルスの大打撃を受けた日本のゴルフ界の救世主になれるのでしょうか?
(スポーツニュース部 記者 保坂勇気)

“ニュースタイル”

6月上旬に取材で訪れた千葉県四街道市の「四街道ゴルフ倶楽部」。
コースにこれまで必ずあった、あるものがなくなっていました。
バンカーで打った後、砂をならすためのレーキです。
多くの人が使いウイルスの感染リスクがあるため、このゴルフ場では4月下旬にコース内のすべてのバンカーのレーキを撤去しました。
プレーした人は、乱れた砂を足やクラブでならします。
グリーン上にも新しいスタイルがありました。
ピンは抜かずに立てたままプレー。
カップから50センチ以内ならパットせずに入ったとみなしてOK。
ピンやカップに複数の人が触ってウイルスが感染するリスクを避けようというのです。
クラブハウスにも変化がありました。
スタッフは全員がマスクを着用。受付には飛まつを防ぐための透明なシートが設置されています。
用具売り場に試着用の手袋がないのも、ウイルス対策の一環です。
食堂のテーブルやいす、そしてカートも、1回使うたびにスタッフが消毒液で丁寧に拭いています。
四街道ゴルフ倶楽部 吉田諭史 支配人
「感染リスクを減らすため、可能な限りの対策をしていきたい。プレー様式については利用客からはバンカーでレーキを使わないと足跡が残ってしまうという声も一部あるが、理解を求めていきたい」

コロナに苦しむゴルフ場

新型コロナウイルスの感染拡大で、全国のゴルフ場は大きな打撃を受けました。この四街道市のゴルフ場を含め国内で130余りのコースを展開する運営会社によりますと、緊急事態宣言が出された4月は、客がプレーすることを控えたため、売り上げが去年に比べて4割減少したということです。
宣言が解除された5月は客足が徐々に戻ってきていますが、それでも売り上げは去年の8割にとどまっています。
この運営会社は4月に改訂した全国統一のガイドラインの中で利用客に感染対策への協力を呼びかけるとともに、リスクを減らすプレーの様式を提案。
運営するゴルフ場のコースに掲示し、予約を受け付けるサイトにも掲載しました。
コースやクラブハウス内で互いの間隔を2メートル以上あけることや、グリーン上ではピンに触れず、ごく短い距離は打たずに入ったとみなすこと、バンカーでレーキを使わないことなどは、このガイドラインに盛り込まれていました。

日本で定着する?「スループレー」

ゴルフ場の中にはこれまで採用していなかった「スループレー」を導入するところも増えています。
休憩を挟まないスループレーは海外では一般的なスタイルですが、日本では前半と後半の間に昼食と休憩を取り、1日かけて18ホールをプレーするのが主な楽しみ方でした。
栃木県さくら市のゴルフ場「セブンハンドレッドクラブ」では、これまでスループレーを真夏と冬の3か月間しか認めていませんでしたが、4月中旬からは逆に、受け入れをスループレーだけに限定しました。
新型コロナウイルスの感染予防のため、昼食時に混雑するクラブハウスを避けて他者との接触を減らすという苦肉の策でした.
それでもこのゴルフ場が、スループレー導入直後の4月17日から27日にかけて行った利用客へのアンケート調査では、「新型コロナウイルスの感染が収束したあともスループレーを希望するか」という質問に対し、7割以上が「希望する」と答えました。評判は上々のようです。
セブンハンドレッドクラブ 小林忠広 社長
「最近の社会情勢も踏まえて、スループレーの潜在的なニーズの高さが浮かび上がった」
このゴルフ場では6月からは9ホールを終えた後で昼食を取る従来のプレーの受け入れを再開しましたが、スループレーも引き続き残し、今後は客にどちらかのスタイルを選んでもらう形を取っていく方針です。

新様式 ゴルフ人口減少の歯止めになるか

公益財団法人 日本生産性本部が発表している「レジャー白書2019」によりますと、日本のゴルフ人口は2018年で670万人。ピークだった1990年代中盤の1400万人から半減していて、新型コロナウイルスの感染への警戒が、この傾向にさらに追い打ちをかけることが懸念されています。
こうした中で生まれつつある新しいプレー様式。
同じ28歳の松山英樹選手と石川遼選手がタッグを組んで6月に始めた新型コロナウイルス対策の支援活動プロジェクトでも、2人が新様式“New Normal”を手探りで実行しながら一緒にコースを回って練習する動画が公開されています。
また、ゴルフ場の中には、これまで認めていなかった1人でのプレーを受け付けるところも出ていて、日本のゴルフスタイルが変わり始めています。
日本ゴルフ場経営者協会 大石順一 専務理事
「新型コロナウイルスの影響でこれまでのゴルフに対する価値観が変わっていく可能性がある。ゴルフ場は変化を受けいれて、利用客が求めているものに柔軟に対応できるようプレーの選択肢を用意することが大切になってくる」
できるだけ他者との接触を避けてウイルスの感染リスクを減らすために生まれた新たなプレー様式が、日本のゴルフ人口減少の歯止めにもつながるのか。
私も、久々にゴルフバッグを取り出してコースに確かめに行きたいと思います。
スポーツニュース部 記者
保坂勇気