テレワークどうだった? “通勤再開つらい”の声も…

テレワークどうだった? “通勤再開つらい”の声も…
緊急事態宣言が全国で解除されてから2週間余り。
テレワークが終わり、通勤を再開する動きも広がってきました。
ただ、いざ出勤するとなって、つらさを感じる人も少なくないようです。(ネットワーク報道部 記者 郡義之/斉藤直哉/國仲真一郎)

テレワークで気付いたこと

「来週から通常出社になります。
 仕事とは何か、幸福とは何か…
 人生の迷子であります」

「テレワーク、みんなどうだったんだろう?」という素朴な疑問の中で目にとまったのは、広告会社に勤務するみちこさんのツイッター。早速、話を聞いてみました。
みちこさん
「テレワークを通して、自分って何のために働いていたんだっけとか、生きていくうえで、どう人生を充実させるかを仕事以外のところで考えるようになったので、通常出社になると、それがどうなっちゃうんだろうという気持ちです」
みちこさんは、4月上旬から始まったテレワークの日々の出来事を、漫画にして投稿していました。
以前は朝9時ごろに出社し、帰宅は早くて午後10時、日をまたぐのも珍しくなかったというみちこさん。
「家には寝に帰るだけだった」というほど仕事中心だった生活スタイルに、テレワーク開始以降、大きな変化があったと言います。
みちこさん
「昼間の休憩時間に洗い物をしたり、夫と散歩をしたりと、仕事に打ち込みながらも、家庭や自分の過ごし方を充実させることができるんだと知りました。これまでは『仕事とプライベートの両立なんて無理でしょ』と諦めていたところもあったので…」
通勤の準備や時間が必要ないこともあって、自宅でも仕事の効率は落ちなかったというみちこさん。しかし今月から全面的なテレワークが解除され、以前とほぼ同じように出勤することになりました。
テレワーク期間中に“得たもの”を失ってしまうのではないか、と危惧しています。
みちこさん
「コロナ前は、すべての中心にあるのが『仕事』でした。生きていくことは仕事をすることだと思考が凝り固まっていました。そこに逆戻りはしたくないなあ、と」

出勤がつらい

通勤再開がつらいという声、ネット上には数多く見られるようになりました。
「テレワークしすぎて会社行きたくない病発症中…。テレワークで事足りてたのにリスク背負って会社行く意味あるの、、」
「人生史上最も憂鬱。ほんと無理」
「最近出社するようになり、自律神経の乱れで毎日微熱出てます」

テレワーク、つらさもあったけど

もちろん、「テレワークのほうがつらい」という人もいると思います。
東京 新宿区や港区などを管轄する東京都立中部総合精神保健福祉センターです。テレワークや外出自粛が長引いた5月は、次のような心の電話相談が連日、複数件寄せられていたんだそうです。
「長時間家族と顔を合わせていることでストレスを感じる」
「1人暮らしで他人と話すことがなくなり孤独に耐えられない」
ところが、東京でも緊急事態宣言が解除され、通勤も再開され始めた5月末からは様子が変わってきたとのこと。
集団生活に戻ることによる、感染への不安やストレスの相談が増えたと言います。
「人混みのなかに出ていくことが怖い」
「感染予防ができていない職場で長時間、集団でいるのがストレス」
中には、頭痛や関節の痛みなどの体の不調を訴えるケースもあるそうです。
センターの担当者
「集団生活での感染への不安だけでなく、職場の人間関係にともなう不安やストレスが今後、深刻になる可能性もあります。深刻になる前に、最寄りの相談機関に気軽に連絡してほしい」

このストレスどうすれば

通勤再開によるストレスに、どんな心持ちで対処したらいいのか。
ネット上で発信している医師がいました。
東京 千代田区にある、心療内科などが専門の「パークサイド日比谷クリニック」の院長、立川秀樹さん。立川院長も、6月に入ったころから、訪れる患者の訴える症状に変化を感じています。
立川秀樹院長
「緊急事態宣言でテレワークが行われていたころは、寂しさや不安を訴える人が目立ちました。しかし最近は、テレワークの疲れを引きずって準備運動のないまま、急に週5日の出勤になり、環境の変化についていけず不調を訴える人がいます」

基準を捨てる

立川院長は、こうした人たちに大切なのは「自分の持つ基準」をリセットすることだといいます。
立川秀樹院長
「感染拡大前は、時間をかけて通勤するという基準がありました。それがテレワークで、通勤する必要がないという基準に再設定されました。しかし、また通勤再開になり、基準がまた変わるため、損したと思ってストレスを感じてしまうのです。でも実は、通勤すること、しないことのどちらも、そのこと自体は損しているわけでも得をしているわけでもない。だから以前の基準と比較しないよう、基準を捨て去って、気持ちをニュートラルにすることが大事です」
テレワーク、そして通勤再開。どちらにしても得られるもの、つらい面はあって、要は捉え方が大切ということかもしれません。

自分たちの仕事は輝いている

ところで、自身は医療従事者として、ずっとふだん通り職場に出続けていた立川院長。テレワークも、通勤「再開」もない人たちに向けては、こんな話をしてくれました。
立川秀樹院長
「日々、なんとかなる、自分ならやっていける、自分のやっている行為に意味がある、と思うだけで安心感が得られます。テレワークをやっている人をうらやむのは、自分をマイナスに見る『減点主義』的な考え方。逆に、自分たちの仕事は今輝いていて多くの人に感謝されていると考える、『加点主義』的な考え方がいいと思います。『今は新型コロナが終わった時のための貯金をしている』と思えば、前向きになれると思いますよ」
多くの人の働き方や、働くことへの意識を変えたテレワーク。皆さんにとっては、どんなものだったでしょうか。