鹿児島国体 ことしの開催断念へ 新型コロナ影響

鹿児島国体 ことしの開催断念へ 新型コロナ影響
新型コロナウイルスの影響で開催の可否が検討されてきた、ことし10月の国体=国民体育大会について、日本スポーツ協会や開催地の鹿児島県は、ことしの開催を断念する方針で、鹿児島での開催を来年以降に延期できるかどうかを焦点に協議を続けています。
昭和21年に始まった国体は都道府県の持ち回りで行われていて、ことしは10月に鹿児島県で予定されています。

しかし、感染拡大の影響で予選となる地方大会の開催の見通しが立たないことや、2万人規模とされる選手や関係者の移動のリスクなどを考慮して、日本スポーツ協会とスポーツ庁、鹿児島県、それに同じ年に全国障害者スポーツ大会を開く日本障がい者スポーツ協会で開催の可否について協議を続けてきました。

これについて、鹿児島県の三反園知事は11日、「ことし秋の開催は難しいということは関係各所と一致している」と述べ、ことしの開催を断念する方針を明らかにしました。

関係者によりますと、日本スポーツ協会やスポーツ庁も開催を断念することで一致しているということで、国体の本大会の中止や延期は過去に例がなく、初めてのこととなります。

全国高校総体が中止となったあと、競技によっては目標を国体に切り替えてきた高校生も多く、新型コロナウイルスの影響で日頃の練習の成果を発揮する大きな舞台をまた一つ失うことになります。

一方、日本スポーツ協会など関係団体は鹿児島県がおよそ235億円をかけて準備してきたことを考慮して、鹿児島での開催を来年以降に延期できるかどうかを焦点に協議を続けているということです。

しかし、来年以降の開催地となる三重県など4つの県からは、今後の開催に影響が出ないよう求める要望が出されていて、難しい調整が続いています。

来年以降の開催地 スポーツ庁に要望

ことし10月の「かごしま国体」などの開催が困難になる中、来年以降の大会の開催地となっている三重県や栃木県など4県が、予定されている開催に影響しない対応策を検討するよう、スポーツ庁に要望しました。

要望を行ったのは、来年「三重とこわか国体」と全国障害者スポーツ大会の開催を予定している三重県の鈴木知事と、再来年以降に開催される栃木、佐賀の知事、それに滋賀の副知事です。

4県の知事などは、ことし10月に鹿児島で予定されている大会の予定委通りの開催が難しいとする見方が出ていることを受けて、11日、スポーツ庁の鈴木長官にテレビ会議で要望を行いました。

この中で4県は、国体などの要項で開催の可否に関するものは中止の規定しかないとしたうえで、ことしの大会の開催が困難だと判断し、代わりの案を検討する場合は続く4県に影響しない対応策を最優先で検討することを求めました。

そのうえで仮に4県に大きな影響がある対応を行う場合には、選手への対応策や関係者が納得できる支援策を示すことなどを求めました。

鈴木長官は、要望を受け止め対応を検討する考えを示したということで、三重県の鈴木知事は「日本全体で最も影響が少なくなる方法を考え、早く結論を出してほしい」と話しています。

国内最大の総合スポーツ大会

国体=国民体育大会は、全国から選手と役員合わせて2万人以上が集まる国内最大の総合スポーツ大会です。

スポーツの普及や国民の健康と体力の向上を目的に戦後まもない昭和21年に1回目の大会が開かれ、その後は全国の都道府県の持ち回りで毎年開催されています。

大会は主に夏の競技が行われ9月から10月にかけて開催される本大会と、冬の競技を行い12月から翌年2月にかけて開かれる冬季大会があります。過去に本大会が中止や延期されたことはありません。

大会で実施する競技は4年ごとに見直され、去年、茨城県で開催された本大会では、37の正式競技に加え、特別競技として高校野球、さらに綱引きやゲートボールなど5つの競技が公開競技として実施されました。

大会への出場は、全国を9つのブロックに分けて各地で予選が行われ、それぞれの競技で定められた上位の選手やチームが本大会へ出場します。

選手や役員のほか、多くの人が観戦に訪れることから開催地の地域経済に与える影響は大きく、開催を希望する都道府県側から日本スポーツ協会と文部科学省に要望書が提出され、審議されたうえで決定されます。

大会は、3年後の2023年に開かれる大会から名称を変更し、国民体育大会から国民スポーツ大会となる予定です。