第2次補正予算案 参院予算委 経済への影響などめぐり論戦

第2次補正予算案 参院予算委 経済への影響などめぐり論戦
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新型コロナウイルス対策の第2次補正予算案は、11日、参議院予算委員会で質疑が行われ、感染拡大の経済への影響などをめぐって論戦が行われました。
立憲民主党の蓮舫参議院幹事長は、一律10万円の給付について「先週5日までに手元に給付された人は3割で、まだ7割が手元に届いていないが、迅速な対応といえるのか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「自治体の皆さんも本当に精いっぱい頑張っていただいている。まだまだだという声は真摯(しんし)に受け止めながら、できるだけ早くお届けしたい」と述べました。

立憲民主党などの会派の小西洋之氏は、賭けマージャン問題で辞職した黒川前東京高検検事長の訓告処分について「内閣を欺き、刑事司法を預かる最高責任者が犯罪行為を犯して、なぜ懲戒処分にならないのか。懲戒処分が相当かの検討・調査を行って、5900万円の退職金を減額し、せめて国民に償う意思はあるか」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「法務省で調査したうえで、法務省および検事総長で事案の内容など、諸般の事情を総合的に考慮して訓告が相当であると判断し、適正に処分したものだ」と述べました。

国民民主党の増子輝彦氏は「9月入学」について「与党の提言で導入を断念し、慎重になったということだが、社会的な現象が生じた時でなければ大改革はできず、果断に実行してほしい」と求めました。
これに対し、安倍総理大臣は「1つの選択肢として幅広く検討していくべきだろうと考えていたが、さまざまな課題がある。大きな問題なので、多くの方々が賛成する形が望ましく、議論が熟すことが必要ではないか」と述べました。

また、増子氏は、感染拡大の影響で経営が悪化している医療機関への支援について「ある程度の資本注入を思い切って行わなければ、病院はもたない。日本人の命と健康を守れなくなったら大変だ」と指摘しました。
これに対し、安倍総理大臣は「さまざまな手段やメニューを検討しながら、医療提供体制が立ち行かなくなることがないよう、交付金や十分な予備費も活用しながら支援していきたい」と述べました。

自民党の片山前地方創生担当大臣は「ポストコロナの貿易や産業戦略は単純な自由化とグローバリズム一辺倒だけにはならない。新しいルールを日本が作っていくべきだ」と求めました。
これに対し安倍総理大臣は「多角的な自由貿易体制の維持、発展を前提として、保健衛生、安全保障などで単なる価格競争力だけに左右されない安定的な供給体制の構築が必要だ。新たな国際秩序の形成に主体的な役割を果たしていきたい」と述べました。

また、片山氏は、中国が香港への統制を強めていることに関連して「香港から東京にファンドを移したいという声も出ており、香港の貴重な人材や企業を日本が積極的に受け入れるというのも選択肢ではないか」と質問しました。
これに対し、安倍総理大臣は「香港を含め、専門的、技術的分野の外国人材の受け入れを積極的に推進している。金融センターとなるためには人材が不可欠であり、受け入れを推進していく」と述べました。

公明党の熊野正士氏は、PCR検査などの検査体制について「専門家会議で、感染が急拡大した際に必要な検査が十分に実施できなかったと指摘されていることは、重く受け止めるべきだ。経済活動の再開に向けて、検査の戦略をどう考えているのか」と質問しました。
これに対し、安倍総理大臣は「検査体制の拡充を進め、現状では改善できている。今後、再び感染が大きく拡大する局面では、医師が必要と判断した方や濃厚接触者が確実に検査を受けられるよう、抗原検査の活用による検査能力の増強に加え、だ液検査の活用などによる体制拡充を急ぎたい」と述べました。

公明党の里見隆治氏は「国民に丁寧に真摯に発信し、国民の声に耳を傾ける必要がある。国民との信頼関係なくして、この国難は克服できない」と指摘しました。
これに対して、安倍総理大臣は「国民の協力があったからこそ、緊急事態宣言を全国で解除できた。今後ともしっかりと説明責任を果たし、国民の声も真摯に受け止めながら、国民とともに国難を乗り切っていく覚悟だ」と述べました。

日本維新の会の片山共同代表は10兆円の予備費について「使途を決めずに、あとで決まったら承認する事後承認だ。財政民主主義という憲法の規定からそんなことをやっていいのかと心配している。必要なら第3次補正予算案を作ればいいし、古い会計制度や予算制度は見直していいが、守らなければいけない所もある」とただしました。
これに対し、安倍総理大臣は「一部の大企業で売り上げが半減しているところもあり、相当、思い切った意思を示す必要があると考えている。国会の議決をいただいた範囲内に使途が限られるので、国会審議を通じた予算統制が十分に働く。予備費の使用は適時適切に国会に報告する」と述べました。

第2次補正予算案は、12日、質疑に続いて採決が行われたあと、参議院本会議でも可決され、成立する運びです。