東京 虎ノ門 59店舗入る商業施設が開業 新型コロナで2か月遅れ

東京 虎ノ門 59店舗入る商業施設が開業 新型コロナで2か月遅れ
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東京 港区の高層ビルに新型コロナウイルスの影響で開業が延期されていた商業施設がオープンしました。
11日オープンしたのは、港区の虎ノ門にことし1月に完成した地上36階・地下3階建ての高層ビル「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」の中にある商業施設で、飲食店や書店、スーパーマーケットなど59店舗が入っています。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響でおよそ2か月間開業が延期され、11日は密集を防ぐため、当初予定していた式典を取りやめたほか、11日の時点で東京都の休業要請の対象となっている「バー」1店舗は開業が見送られました。

飲食店が立ち並ぶ「虎ノ門横丁」は早速多くの人が訪れ、人気店のメニューに舌鼓を打っていました。

感染防止のため、入り口に来店した客の体温を測定するサーモグラフィーを設置したほか、スマートフォンのアプリで店に入場できる順番が近づいたり、テイクアウトのメニューができあがったりすると通知するなど、混雑を防ぐための対策を強化したということです。

ビルは今月6日に開業した東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ駅」に直結しているほか、1階には東京オリンピック・パラリンピックの競技会場がある臨海部と結ぶBRT=バス高速輸送システムなどのターミナルが整備され、東京の新たな交通アクセスの拠点となることも期待されています。

商業施設を管理・運営する「森ビル」の栗原弘一執行役員は「東京が国際都市として競争力を高めていくため、世界から企業や人、お金を引き付ける強い磁力が必要です。この商業施設がその役割を担うことができればと思います」と話していました。

出店者「事業に集中するだけ」「今後の展開 少し心配」

商業施設に書店を出店した男性は「開業延期の影響は正直大きく、この間かなり厳しい経営を強いられましたが、クラウドファンディングで目標の資金に近い金額が集まるなど支持してくれる人もいて、悪いことばかりではなかったです。この先は事業に集中するだけです」と話していました。

また、焼き鳥などを提供する飲食店の店主の男性は「お客さんが安心して食事を楽しめる状態かというとはっきりせず、今後の展開が少し心配です。いまは特に遅い時間のお客様は減りますが、売り上げが少ない時にはむだを削れば利益は残せるので、きちんと分析しながら経営を進めていきたいです」と話していました。

五輪需要見込み都内で開業相次ぐ 競争の激化も

虎ノ門エリアのほかにも、都内では今月、新型コロナウイルスの影響で延期されていた商業施設が相次いで開業する予定です。

来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックに関連した需要を見込む施設もあり、競争の激化も予想されます。

オリンピックの競技場が集まる有明エリアで4月に開業を予定していた、ショッピングセンターやホテルなどが入る大規模複合施設「有明ガーデン」は今月15日にオープンします。

また、JR原宿駅前には、賃貸の住居や北欧を発祥とする人気の家具店などが入った複合型の商業施設「ウィズ原宿」が今月5日から開業しています。

密集や密接を防ぐため、施設内の店舗を段階的にオープンさせるという対応を取ったということです。

「ウィズ原宿」の開発を手がけた「NTT都市開発」の杉木利弘さんは「過密を防ぐために順次開業という形をとったが、出店者にとっても同時開業よりインパクトがあったのではないか」と分析しています。

そのうえで「近隣に新国立競技場があるなど、オリンピックの機運の高まりに期待した出店もあったと思います」と話していました。