入国制限緩和 1日最大250人程度で調整 ビジネス関係者ら 政府

入国制限緩和 1日最大250人程度で調整 ビジネス関係者ら 政府
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外国人の入国制限をめぐって、政府は、タイやベトナムなど4か国を対象に、1日に最大で250人程度のビジネス関係者などの入国をこの夏にも認める方向で調整を進めています。
新型コロナウイルス対策で日本では外国人の入国が制限されていますが、タイ、ベトナム、オーストラリア、ニュージーランドの4か国とは、感染状況などを考慮して制限の緩和に向けて協議が進められています。

政府は、日本国内のPCR検査の受け入れ態勢などを踏まえ、この夏にも、月に7500人程度、1日に最大で250人程度のビジネス関係者などの入国を認める方向で調整を進めています。

また、国内での感染拡大を防ぐため、入国する人には日本を訪問する前のPCR検査での陰性を証明することを求め、入国時にも空港で検査を行う方向です。

さらに、日本国内での訪問先など滞在中の計画を提出すれば、入国後2週間の待機措置を免除する案も検討されているということです。

一方、往来が可能になった各国を訪れる日本のビジネス関係者もPCR検査での陰性の証明が求められる見通しで、政府は、出国する日本人を検査する機関の設置も検討しています。

ただ、これまでの協議で、オーストラリアとニュージーランドからは、日本人の早期の受け入れに慎重な意見も出されているということで、政府は、引き続き調整を進める方針です。

タイの感染状況

タイでは、これまでに3125人の感染が確認され、58人が亡くなっていますが、1日当たりの新たな感染者は、このところ、ほぼ1ケタにとどまっていて、いずれも海外から帰国した人たちとなっています。

タイ政府は段階的に経済活動の制限を緩和していますが、外国人の入国については外交官など一部に認めているのみで、国際線の旅客機の乗り入れも、今月末まで停止しています。

こうした状況を受けて、現地に進出している多くの日系企業では駐在員の赴任や出張ができなくなるなどビジネスにも影響が出ています。

バンコク日本人商工会議所が先月、会員企業を対象に実施したアンケート調査では、9割近くの企業が何らかの影響を受けていると回答しています。

タイは、トヨタ自動車やホンダといった日系の自動車メーカーや電機メーカーなどにとって、主要な生産拠点となっているうえ、近年では、ホテルや飲食などのサービス業も数多く進出し、日系企業の数は、5400社を超えています。

日本大使館やバンコク日本人商工会議所などでは、タイ政府に対し、ビジネス関係者などが優先して入国できるよう規制の緩和を働きかけています。

ベトナムの感染状況

ベトナムでは、これまでの感染者は332人で死者は1人も出ておらず、海外からの渡航者を除けば新たな感染はこの2か月近く、確認されていません。

このため、外出や経済活動の制限は4月中旬以降、順次緩和されています。

ベトナム政府は、現在も原則としてすべての外国人の入国を認めていませんが、専門家や高度な技能を備えた労働者など、一部の外国人の受け入れに向けて慎重に準備を進めています。

オーストラリアの感染状況

オーストラリアでは、これまでに7276人の感染が確認され、このうち102人が亡くなっています。

ただ、このところ、1日当たりの新たな感染者数は10人前後と感染の広がりは抑えられていて、各州では先月から外出や経済活動の制限が、順次緩和されています。

一方で、今も原則として外国人の入国と自国民や永住者の出国は禁止しています。

オーストラリア政府は、まずは隣国ニュージーランドとの往来の再開を検討していますが、めどはたっていません。

ニュージーランドの感染状況

ニュージーランドでは、感染者の数は疑いも含めて、これまでに1504人に上り、このうち22人が亡くなっています。

先月23日以降は新たな感染者は確認されておらず、また、現時点で治療が必要な人もいません。

ニュージーランド政府は、今月8日、国内のすべての制限措置を撤廃しましたが、原則として外国人の入国は禁止しています。

外国との往来の再開については、隣国オーストラリアでの制限の緩和がさらに進めば、両国間で可能にする方針を示しているほか、それ以外の国についても相手国の感染状況などを見極め慎重に検討するとしています。