感染公表したばかりに…介護施設が受けた“コロナ差別”の実態

感染公表したばかりに…介護施設が受けた“コロナ差別”の実態
新型コロナウイルスで職員1人の感染が判明した熊本県玉名市の介護施設がNHKの取材に応じ、感染の公表後、職員と接触していない利用者など施設の関係者70人以上が職場への出勤停止や保育所の利用拒否など不当な扱いを受けた実態を明らかにしました。
熊本県玉名市の介護老人保健施設「樹心台」は、ことし3月、職員1人の感染が確認されたため、施設名を公表し、サービスの提供を中止しました。

施設の担当者がNHKの取材に応じ、感染の公表後、施設の関係者から聞き取りを行ったところ、70人以上が地域で不当な扱いや風評被害を受けたことを明らかにしました。

具体的には
▽家族が職場や学校に来ないよう求められたほか、
▽子どもが保育所の利用拒否されたり、
▽高齢者が介護サービスの利用を断られたりするケースがあったということです。

その対象は、感染した職員と接触していない職員や利用者、出入り業者にまで及んだということです。

施設は、地域の病院や商店、公共団体などおよそ30か所を回って、職員全員の検査結果や感染対策を徹底していることを説明するなどした結果、1か月ほどで被害は収まり、現在は通常のサービスを再開しています。

父親が別の介護施設の利用を断られたという職員は、「感染した職員と接触していないといっても他の利用者に迷惑をかけると断られた。これからどうしようと不安になりました」と話しました。

樹心台の中尾清志事務長は「感染の事実を公表したことでひぼう中傷にあい、ここまで言われるのかとショックでした。しかし、被害に正面から対応したことで、最終的には地域での信頼を増すことになったと思います」と話していました。