米 NY市で経済活動再開 規制は段階的に緩和 新型コロナ

米 NY市で経済活動再開 規制は段階的に緩和 新型コロナ
新型コロナウイルスの感染拡大が最も深刻なアメリカ・ニューヨークで8日、経済活動が再開されました。
規制は段階的に緩和されることになっていて、感染が再び拡大するリスクを抱えながらどう経済を立て直していくのか、今後も難しい対応を迫られることになります。
ニューヨーク市は8日、感染拡大後初めて経済活動の再開を認め、建設業のほか、雑貨店や書店など一部の小売店が営業を再開しました。

ただ、小売店では客が自由に入れるのではなく、注文をしていた人が店頭で商品を受け取る場合に限られています。

黒人男性の死亡事件をきっかけに起きた抗議デモに乗じて略奪などが起きたこともあって営業の再開に慎重な店は多いと見られます。

このため、ニューヨーク中心部のマンハッタンでは、通りを走る車の数こそいくぶん増えたものの、先週に比べて大きな変化は見られませんでした。

経済活動は4段階に分けられ、今後、順次緩和される予定ですが、ニューヨーク州は、次の段階に移行するまで最低でも2週間程度は状況を見る方針で、最終段階に至るまでには、少なくとも1か月半はかかる見通しです。

ニューヨーク州のクオモ知事は、この日の記者会見で「われわれは戻ってきた。おそらく世界で最悪の状況の中からここまで戻ってきたのだ」と述べました。

感染が再び拡大するリスクを抱えながら、どう経済を立て直すのか、ニューヨークは今後も難しい対応を迫られることになります。

感染拡大抑える柱は検査態勢の拡充

経済活動が再開されたニューヨークでは、感染拡大の第2波を抑える柱として検査態勢の拡充を掲げ、症状の有無にかかわらず感染者を早期に発見し、接触者を一人一人追跡して隔離することにしています。

ニューヨーク市を含むニューヨーク州全体では、新型コロナウイルスに感染しているかどうか調べるPCRなどの検査が1日に6万件前後行われています。

公的な検査所のほか、民間の診療所や薬局などおよそ700か所で検査が受けられますが、クオモ知事は経済活動の再開とともに検査態勢をさらに拡充し、ニューヨーク市だけで1日に3万5000件の検査を行えるようにするとしています。

そして、感染が確認された場合、過去の一定期間に誰と接触したかを調査して、2週間の隔離を求め、感染の拡大を防ぐことにしています。

ニューヨーク州では、接触者を追跡調査する要員を地域ごとに一定の人数確保しないと経済活動再開の次の段階に進むことを認めないとしていて、アメリカの大学が提供するインターネットの講座を修了した人、およそ1万7000人を調査員として雇用し、大規模な調査を行うことにしています。