名門ウィーン・フィル 3か月ぶり公演再開 コロナ感染者が減少

名門ウィーン・フィル 3か月ぶり公演再開 コロナ感染者が減少
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新型コロナウイルスの新たな感染者が減っているオーストリアでは名門のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団がおよそ3か月ぶりとなる公演を行い、音楽の都ウィーンにクラシックの調べが戻ってきました。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は5日、ウィーン中心部にある楽友協会のホールで世界的な指揮者、ダニエル・バレンボイム氏の指揮でモーツァルトのピアノ協奏曲第27番とベートーベンの交響曲第5番「運命」を演奏しました。

公演は新型コロナウイルスの影響でことし3月中旬以降、すべて中止となっていたため、およそ3か月ぶりとなりましたが、観客数は政府の感染予防対策に従い、通常の20分の1以下の100人に限り、座る席の距離もとりました。

公演のあと観客の女性は「感動して泣いてしまった。私にとって、とても特別な夜になりました」と話していました。

また、観客の男性は「公演の感染対策は完璧だったので、怖くはありませんでした」と話していました。

団長でバイオリニストのダニエル・フロシャウアーさんは、「久しぶりに演奏できて気持ちが高ぶりました。これまでどおりの公演に向けた前向きな一歩になった」と話していました。

オーストリアでは新たな感染者が減る中、公演活動の制限が緩和され、8月1日以降、室内イベントは観客数1000人まで認められることになり、ことし100周年を迎えるザルツブルク音楽祭は中止せず、期間を短縮して行われる予定です。

市民からは歓迎の声

公演再開について市民からは歓迎の声が相次いで聞かれました。

男性は「ウィーン・フィルはわれわれにとって、モーツァルトのような特別な存在です。演奏会が行われることは、すばらしいことですし、今後、オーストリアで公演活動が再開される象徴になると思います」と話していました。

また女性は、「音楽などの芸術活動は、とても重要なことです。みんな待ち望んでいます」と芸術関係のイベントが今後、本格的に開かれることに期待感を示していました。

178年の歴史持つオーケストラ

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団はオーストリアのウィーンに19世紀に設立され、178年の歴史を持つ、世界を代表するオーケストラです。

ウィーン伝統の演奏スタイルを重んじ、過去にはグスタフ・マーラーや、ヘルベルト・フォン・カラヤン、そして小澤征爾さんなど時代を代表する指揮者を迎え世界で演奏を披露してきました。

また、新年の恒例となっているニューイヤーコンサートは、日本を含む世界90か国以上で放送され、4000万人以上が視聴するなど世界のファンを魅了しています。

ベルリン・フィルは公演できず

一方、世界最高峰のオーケストラの一つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団は新型コロナウイルスの影響で、ことし3月から公演ができない状況が続いています。

本拠地のドイツ・ベルリンでは7月31日まで劇場などでのイベントが禁止されているため、ホールは閉鎖されています。

ことし8月以降の公演は予定されているものの、チケットの事前販売は行われておらず、現在は無観客での演奏会の様子がホームページを通じてオンラインで配信されています。