放置はダメ! 車内に消毒用アルコール

放置はダメ! 車内に消毒用アルコール
気温が高くなるこれからの時期。車の中の温度も上がりますが、ことしは特に注意が必要です。ウイルス対策で消毒用アルコール(エタノール)を持ち歩く人も少なくないと思いますが、車内に置いたままにしておくと、思わぬ事態になるおそれがあるのです。消毒用アルコールは今や生活に欠かせない製品ですが、その正しい使い方を改めて知っておく必要がありそうです。
(ネットワーク報道部 記者 高橋大地 井手上洋子)

きっかけのツイートは

「暑い車の中に消毒用のアルコールを放置してはいけない」「最悪の場合、車両火災につながります」先日、そんなツイートがSNS上で話題になりました。

これに対して、「車に置いています。気をつけないといけませんね」「置きっぱなしにしていたので取りに行ってきます」といった返信が次々に寄せられ、リツイートの数も6月5日の時点でおよそ1万2000件にのぼっています。

ツイートしたのは、車検整備などを行っている会社「コバック」の公式アカウントです。今回のツイートについて、アカウントの「中の人」に話を聞くと…
担当者
「日頃から車のメンテナンスに関する豆知識などをツイートしていますが、ここまでの反響があるとは思わず、驚きました。ことしは新型コロナウイルスの影響もあって、小さいスプレーやミニボトルなどで消毒用アルコールを持ち歩いているという人も多いので、うっかり忘れてしまうことで起きるトラブルやぼやさわぎなどがツイートによっておさえられるならうれしいです」

アルコール度数67%前後より高いと「危険物」

東京消防庁は、消毒用アルコールを扱う際の注意点を公表しています。
この中で、アルコール度数が67%前後より高い製品については、消防法上の「危険物」に該当し、引火するおそれが高くなるとして、扱う時には注意するよう呼びかけています。

東京消防庁によりますと、こうした高い濃度の消毒用アルコールを温度の高い場所に放置しておくと、可燃性の蒸気が発生します。

特に、換気されていない密閉された空間だと、可燃性の蒸気が滞留しやすくなります。

それだけで火がつくことはありませんが、すぐ近くに火の気があるとアルコールに引火して服などに燃え移るおそれがあります。

先ほど紹介したツイートに書いてあるように、夏場の車内は密閉された空間で、かつ温度が高くなるため、消毒用アルコールを放置しておくと、車に乗り込んだ時、うっかりライターに火をつけたら、アルコールに引火するおそれがあるのです。

夏の車内は80度近くに!

それでは、夏場の車内の温度はどのくらい上がるのでしょうか。JAF=日本自動車連盟が真夏の8月に行った実験があります。
日中、炎天下の中、車内の温度を25度にそろえた車を準備。正午から4時間にわたって、放置しました。
シェードなど日よけの器具をつけていない黒い車では車内の平均温度は51度。ダッシュボードでは、最高で79度まで上昇しました。白い車でも、47度と74度。ほとんど変わらない結果でした。
JAF東京支部事業課の高木孝さんは、「ダッシュボード付近はフロントガラスから直接日光が当たるので、夏場は特に高温になります。消毒用アルコールについては、『放置するのは危険』なのを知っている方は多いのですが、置いたままうっかり忘れてしまうという人もまた多いです。『車から出るときはダッシュボードにものを置いたままにしていないかチェックする』ということを癖にしてもらえればと思います。これからの季節は気温も上がるので、ダッシュボードはもちろん、車内のどこに置きっぱなしにしても安全だとはいえないので、注意してください」と話していました。

日常生活でも注意が必要

注意が必要なのは、夏場の車内だけではありません。アルコールで手を消毒した直後にたばこやガスコンロなど火を使う場合も、服などに引火するおそれがあるのです。東京消防庁が行った実験です。
やけど防止のため手袋を着用したうえで消毒用アルコールを使い、その直後にライターでたばこに火をつけます。すると、炎は手にまで広がってしまいました。

夏場は、キャンプに行く機会もあると思いますが、火をおこすのにライターを使ったり、調理にコンロを使ったりする場合は、屋外でも引火するおそれがあり、注意が必要です。

東京消防庁は「手の消毒は火気から離れた場所で行い、十分に手を乾かしてから火を使う調理などを行ってください。換気の悪い、密閉された空間には特に注意が必要だということをおぼえておいてほしいです」と話しています。

新型コロナウイルスの感染拡大で消毒用アルコールは私たちの生活に急速に浸透しましたが、保管しておく場所や使い方には、改めて注意する必要があるようです。

メーカーなどの団体は「正しい使い方を」

エタノールを製造するメーカーなどで作る一般社団法人の「アルコール協会」は、消毒用アルコールは、正しい使い方をすれば危険はなく、殺菌や消毒、かびの防止に効果があると話しています。

ただ、火気や換気には注意が必要だといいます。製品の注意書きにもあるように、次のような点を守ってほしいということです。
・火のそばで絶対に使わない。
・火種となるものを絶対に置かない。
・使用する時は風通しに気をつける。
・揮発しやすいので、保管する時は栓をしっかり閉めて、日の当たらない涼しいところにしまう。
アルコール協会
「購入する際には同じアルコールでも燃料用のメタノールではないことなどを確認してほしい。正しい使い方を守れば問題はないので、少しでも不安なことがあったらアルコール協会のホームページなどで確認して安全に取り扱ってもらいたい」と話しています。
新型コロナウイルスの感染拡大で、消毒用アルコールは私たちの生活に急速に浸透し、なくてはならない製品になりました。

だからこそ、保管しておく場所や使い方を私たち自身が改めて確認しておくことが大切だと思いました。