WHO 中国のコロナ対応に不満持つも協力得るため評価の態度か

WHO 中国のコロナ対応に不満持つも協力得るため評価の態度か
新型コロナウイルスへの対応で、アメリカから中国寄りだと批判される、WHO=世界保健機関について、AP通信は、WHOは中国の対応に不満を持ちながらも、協力を得るため、表向き中国を評価するような態度をとったことがうかがえると内部情報などをもとに報じました。
AP通信は2日、独自に入手したWHOの会議の録音など、内部資料や関係者への取材をもとに、新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた、ことし1月のWHO内の対応を報じました。

それによりますと、WHOで1月の第2週に開かれた複数の会議では、ウイルスがヒトとヒトとの間で感染する可能性などについて、中国政府の情報提供が不十分だと出席者から不満の声があがっていたということです。

また、アメリカ人でWHOの技術責任者のバンケルコフ氏は「適切な対策を立てるには明らかに情報が不十分だ」と指摘していたほか、WHOの中国事務所の代表も「国営テレビで放送される15分前にしか情報が提供されない」と不満を漏らしていたということです。

さらに同じころ、危機対応を統括するライアン氏は同僚に対し、2003年に新型肺炎「SARS」が流行した際の対応を例に、「中国に情報を求め続けた当時と全く同じシナリオだ」と危機感を示し、中国に圧力をかけるため、「ギアを上げる」とも発言していたということです。

その一方でAP通信は、録音された会議の内容から、WHOは中国政府からより多くの情報を得るため、公の場では中国の対応を評価するような態度をとり、対応に苦慮していたことがうかがえるとしています。

AP通信は「WHOと中国がより早く行動していれば、多くの命が救えたことは明らかだ」とする、専門家のコメントを紹介する一方、WHOが中国により厳しい姿勢をとっていたら、状況がさらに悪化していた可能性もあるという見方を伝えています。

中国外務省「報道は事実と合わず」

AP通信が、新型コロナウイルスの感染拡大初期に行われたWHOの会議で、出席者から中国政府の情報提供が不十分だと不満の声が上がっていたなどと伝えたことについて、中国外務省の趙立堅報道官は、3日の記者会見で「報道は事実と合わないと、はっきり言える」と反論しました。

そして、「中国は当初から、公開、透明、責任という原則のもとで、WHOと密接に連携し協力してきた」と述べ、情報提供は十分だったという立場を示したうえで、「中国は実際の行動で今後も引き続きWHOが感染抑え込みに向け指導的な役割を果たすのを支持していく」と強調し、WHOを支持していく考えを示しました。