繰り返される感染症の流行

繰り返される感染症の流行
いま日本では新型コロナウイルスの感染拡大で大きな影響が出ていますが、歴史を振り返ると、これまでにも感染症の流行は繰り返し起きています。

そんな感染症の歴史に関する問題が、ことしの入試で出されています。

私立中学の入試問題に挑戦!

問題
「ア~カの文を時代の古い方から順にならべかえて、記号で答えなさい」

ア.このころ、インフルエンザが世界的に流行し、日本でもスペインかぜと呼ばれて多くの人が亡くなりました。このとき、第一次世界大戦が行われていました。
イ.このころ、コレラが日本で流行しました。ちょうど日本が修好通商条約を各国と結び、異国船の往来がさかんなときだったので、人々のなかには、外国人がこの病をもたらしたのではないかと考える者もいました。
ウ.このころ、「疫瘡(えきそう)」(皮膚にできものができる病気)が流行しました。平城京の人々にも広がり、多くの役人や貴族が命を落としました。
エ.このころ、香港でペストが広まっており、原因調査におもむいた北里柴三郎はペスト菌の発見に成功しました。このとき、日清戦争が行われていました。
オ.このころ、「人々が病に苦しみ、これを銭病と呼んだ」という記録が残っています。宋銭の輸入とともに流行した病のため「銭病」と呼ばれたものと考えられています。このころ、平清盛を中心とする平氏が中央の政治をおこなっていました。
カ.このころの日本の流行病の様子を記録や文書から知ることはできませんが、人骨を調べてみると結核が流行していたことがわかっています。このころ、有力な者は古墳とよばれる墓に葬られました。
問題を見ると、「スペインかぜ」、「コレラ」、「疫瘡」、そして「結核」…人々がさまざまな病気に苦しめられてきたことが分かりますよね。
病気のことは知らなくても、それぞれの文章に「第一次世界大戦」や「修好通商条約」、「平城京」などと歴史のキーワードが入っていますので、それをヒントに解ける問題になっています。
答えは古い順に、
●「カ.結核」古墳時代
●「ウ.疫瘡」奈良時代
●「オ.銭病」平安時代
●「イ.コレラ」江戸時代
●「エ.ペスト」明治時代
●「ア.スペインかぜ」大正時代
となっています。

感染症流行の共通点とは?

このように、歴史上、何度も繰り返されてきた感染症の流行。
そこからいったい何が読み取れるのか、医学の歴史に詳しい、順天堂大学医史学研究室の澤井直さんにお聞きしました。
澤井助教
「海外との交流が日本に新しい感染症をもたらし流行したということが、この問題から見えてきます。例えば、出土した古墳時代の人骨の中には結核だったことがわかる骨がありますが、それ以前の縄文時代などには結核の痕跡がある骨はなく、おそらく結核は稲作などと一緒に大陸から持ち込まれたということが考えられます」
現代でも、グローバル化した経済が世界的な新型コロナウイルスの感染拡大をもたらしたと言われますが、同じようなことが古代から起きていたんですね。

日本でも45万人が死亡「スペインかぜ」

およそ100年前の第一次世界大戦の時代には、「スペインかぜ」が猛威をふるいました。澤井さんによると、世界でおよそ5億人が感染して、1700万~5000万人が死亡したと推定されています。戦死した人よりも多くの人が亡くなったそうです。

日本はどうだったのでしょうか。そのころの状況を記した記録が残っています。当時の人口の40%以上が感染して、関連する疾患を合わせると45万人を超える人が亡くなったといいます。
澤井助教
「当時の政府は、マスク・うがいを奨励するポスターなどを作って、人々に見えるところに貼っていました。人がたくさん集まる劇場や映画館、電車・バスには感染が流行している時は出かけるのを控えるように通知を出しています」
日本でマスクの使用が広がったのは、このころからだと言います。

感染症の歴史から何を学ぶ?

繰り返される感染症の歴史から、私たちは何を学べるのでしょうか。
澤井助教
「医療に関しては現代は格段に進歩していて、かつてだったら治らない病気が今は治ります。今も変わらないと思うのは、病気になった人や発生源となった国・地域に対する偏見です。偏見によって、病気以外で苦しむ人が出てきてしまう。過去を振り返り、常に意識して、そういう人が出ないようにしていければと思います」
かつての「スペインかぜ」では、いったん終息したあとも2度、3度と感染が広がり、特に第2波では、日本でも第1波と変わらないほど多くの方が亡くなっています。もちろん、当時と今では医療体制が格段に違いますが、この第1波と第2波のはざまで、どれだけ次の感染拡大に備えられるかが重要です。
感染のリスクを下げる生活や、医療体制の充実などが求められています。
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