「大手広告代理店への再委託は問題ない」 梶山経済産業相

「大手広告代理店への再委託は問題ない」 梶山経済産業相
k10012454751_202006021233_202006021302.mp4
「持続化給付金」の事業を国から委託された社団法人が、業務のほとんどを大手広告代理店に再委託していることについて、梶山経済産業大臣は問題はないという認識を示しました。
新型コロナウイルスの影響で、売り上げが大幅に落ち込んだ中小企業などに給付される「持続化給付金」をめぐっては、競争入札の結果、国から業務の委託を受けた一般社団法人のサービスデザイン推進協議会が、業務のほとんどを大手広告代理店の電通に再委託した経緯が不透明だなどとする指摘が出ています。

これについて、梶山大臣は2日の記者会見で「いろんな業務が混じっている。ウェブでの申請に限っていて、どういう人材をどこに張り付け、どういう手順を踏んで支給するかという中で、こういった形を取った」と述べました。

そのうえで、電通に直接委託しなかった理由について、梶山大臣は「過去に電通が直接補助金などの交付事務を受託した際に、受け取った人から国の制度に応募したのに振り込み元が『電通』だったことから、問い合わせが集中したことがあった。そのため電通からは直接受託しないことを原則としていると聞いている」と述べ、再委託に問題はないという認識を示しました。

今回の業務委託の状況は

経済産業省は、業務を民間に委託するために公募を行い、競争入札の結果、「サービスデザイン推進協議会」が769億円で契約しました。
このうち749億円分の事業を、大手広告代理店の電通に再委託しています。

サービスデザイン推進協議会は、この再委託分と消費税を除く18億1000万円で、事業全体の工程管理や給付金の振り込み関連の業務を行うことになっています。
この中から、みずほ銀行に振り込み手数料を支払うなど、合わせて16億4000万円分の事業を外注するとしています。

この結果、サービスデザイン推進協議会がみずから担当する事業は1億7000万円分となります。
このうち、人件費が1億2000万円、出張費や事務補助要員の人件費、それに事務機器のリース料などが5000万円かかるとしています。

一方、サービスデザイン推進協議会から再委託を受けた電通は、給付金の申請の受け付けから審査までの管理・運営のほか、オンラインでの申請を対面で支援するサポート会場の設置など、幅広い業務を行います。

経済産業省によりますと、内訳は、消費税を除き、申請のサポート会場の設置や運営が405億円、申請の審査業務が150億円、広報費が50億円、コールセンターの運営費が30億円などとしています。

電通は、このうち給付金の問い合わせに応じる業務は、コールセンターを運営するトランスコスモスに外注し、申請の審査などの業務は、人材派遣会社のパソナや大日本印刷などに外注しています。

これらの金額は、事前に見積もった想定の金額で、事業が終わったあと、経済産業省が協議会に対し、実績報告書や領収書などの提出を求め、実際にかかった費用が想定より少なかった場合は、その分を国に返す決まりになっています。

経済産業省は「実際にかかった費用しか支払えない仕組みになっており、適正な契約の下に実施している」としています。

電通への再委託 過去に7件

サービスデザイン推進協議会は、2016年に設立されて以降、経済産業省から14件の事業の委託を受けています。

今回の持続化給付金のほか、IT技術の導入を支援する補助金や、事業承継に関する補助金など、幅広い事業の委託を受けていて、契約金額は合わせて1576億円に上ります。

そしてこのうち9件で、今回と同じように事業の一部を別の企業に再委託していて、このうち電通が7件で最も多くなっています。