様変わりする就活 ~大手100社アンケートから読み解く

様変わりする就活 ~大手100社アンケートから読み解く
新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、対面中心だった採用面接の形が様変わりしています。来年春に卒業する大学生などを対象にした採用面接が6月から本格化するのを前に、NHKは大手企業100社を対象に採用に関するアンケートを行いました。その結果から、これからの就職活動がどうなるかを読み解きます。(経済部記者 池川陽介)

「計画どおり採用」コロナ禍でも7割近く

NHKは5月19日から29日にかけて国内の製造業や小売、金融など幅広い業種の大手企業100社を対象に、採用面接の考え方など、おおよその傾向を知るためアンケートを行いました。

まず、採用についてです。経営環境が厳しくなるなか、学生にとって気になるのが、企業業績の悪化に伴う採用への影響。企業が採用予定数を当初の計画から見直すかどうか聞きました。
「計画どおり」が7割近くとなっていますが、楽観はできない状況です。大手航空会社では、活動を一時中断する動きも出ています。

就職情報会社「ディスコ」の武井房子上席研究員は、今後の業績によっては企業が採用人数を減らす可能性もあると指摘します。
武井上席研究員
「今が予定どおりだからといって、しっかり採ってもらえると思わないでほしい。もしかしたら途中で変更があるかもしれないので、しっかりアンテナを張って確認することが学生には求められる」
実際、リーマンショックの際には、学生の採用に影響が出始めたのは1年から2年後で、景気の落ち込みが採用に影響するのにはタイムラグがあると言われています。

ウェブ面接・実施「9割」内定は?

アンケートでは採用面接をウェブで行うかどうかについても尋ねました。
多くの企業がウェブ面接の導入に踏み切るのは「感染のリスク」を回避しながら、限られた時間の中で優秀な学生を獲得するためです。緊急事態宣言が解除されたとはいえ、いつ「第2波」がくるかわからない状況の中では、ウェブ面接抜きに採用活動を進めるのは難しくなっています。

続いて「ウェブ面接を行う」と答えた企業に対して、ウェブ面接だけで内定を出すか聞きました。
一度も対面せずに、ウェブ面接だけで内定を出す企業が4割を超えていますが、企業としては1回は対面での面接をしたいのが本音です。一方の学生も、会社に足を運ぶことで社内の雰囲気を知りたいでしょうし、学生も企業の側も正直、不安はあると思います。

ことしは手探りしながらお互いを見極める形になりそうです。

大手商社の三菱商事はことし初めて最終以外の面接をウェブで実施することにしました。始まる前に雑談の時間を設け、リラックスして面接に臨んでもらうことで、学生の対応や雰囲気を見極めたいと考えています。
中川 採用チームリーダー
「採用する側もウェブ面接は初めての経験で緊張している。ただ、面接で質問することは、これまで取り組んできたことや、やってみたい仕事など、従来の対面での面接と変わらないと思う。いわば、ホームグラウンドの自宅から面接に参加する人もいると思うが、落ち着いて面接に臨んでほしい」

採用スケジュール「予定どおり」7割

最後に、採用スケジュールが予定どおり進んでいるか聞きました。
感染拡大で3月以降、大規模な会社説明会が相次いで中止になりましたが、ウェブを活用した説明会を開くなど、大手企業の多くが計画どおり採用活動を進めていることがうかがえます。

ただ、専門家は、通常より採用活動に時間がかかる可能性があると指摘します。
「ディスコ」 武井上席研究員
「感染状況を見ながら対面とウェブの両方で採用活動を進めていくため、大手企業でも採用活動の長期化が予想される。この影響で大手に続いて始まる中小企業の採用活動はさらに遅れる可能性がある」

“氷河期世代”を作らないために

就職戦線は、学生優位の売り手市場が続いてきましたが、感染拡大でその流れが変わる可能性もあります。ただ、バブル経済崩壊後に「就職氷河期世代」が生まれたような事態を繰り返してはなりません。

企業には、将来を担う貴重な人材を確保し、どう生かすかという観点に立った対応が求められています。
経済部記者
池川陽介
平成14年入局
仙台局、山形局などを経て
現在は経済部で貿易や雇用を取材