学校再開 子どもが「行きたくない」と言ったら?

学校再開 子どもが「行きたくない」と言ったら?
きょうから全国で多くの学校が再開しました。ただ、かつてない長期間の「巣ごもり」が続いた影響で、自分の子どもが学校生活になじめるのか、不安を感じている方は少なくないと思います。子どもが心のバランスを崩してしまうのには、いくつかの原因があります。親はどう対処すればいいのか、子どもの心の問題に詳しい専門家に聞きました。
(ネットワーク報道部 記者 野田綾 田隈佑紀)

学校再開 不安を感じる子も

地域によっては3か月ぶりとなる学校の再開。ネット上には「子どもがプレッシャーを感じて嫌な夢を見た」といった不安やストレスを訴える声が上がっています。電話やチャットで子どもの悩み相談を受け付けているNPO「チャイルドライン」によると、2月28日から4月30日までの間、新型コロナウイルスに関連する相談がのべ730件寄せられたということです。緊急事態宣言が全面的に解除された5月25日の前後からは学校の再開に対する不安を訴える相談が多く寄せられているということです。

相談の内容は「勉強についていけるか心配」「将来の受験に影響しないか」といった学業に関するものや、「学校へ行って本当に大丈夫なのか」といった感染に対する不安のほか、「学校行事がなくなったり、分散登校になったり、ふだんと違う環境でうまく友達を作れるのか」といった不安の声も寄せられているということです。

心のバランスを崩すいくつかの原因

今、子どもたちの心に何が起きているのでしょうか。不登校など子どもの心の問題に詳しい、日本小児心身医学会の理事長で、大阪の堺咲花病院心身診療科の村上佳津美医師に話を聞きました。
今回のような長期間の休みは誰も経験がなく、どのような形で問題が表れるかは誰もわからないという前提で、心のバランスを崩しやすくなるいくつかの原因を教えてくれました。

1つは「生活のリズムの変化」です。
休みの間は夜更かしをしたり、起きる時間が遅くなったりするなど、生活のリズムが崩れ、自律神経のバランスが乱れる可能性が高くなります。そのため、朝起きるのがつらかったり、けん怠感や頭痛の症状が出たりすることもあります。

2つめは、「新しい環境への不安」です。

学校が休みになっていたのは、まさに進学したり、学年が切り替わったりする時期でした。多くの人は、休みの前と後では学校が変わっていたり、学年や教室、クラスメイト、担任の教諭など、すべての環境が新しくなったりしていると思います。まだ経験していないことばかりで、わからないことが多い環境は、精神的に負担となり、気持ちが不安定になりがちです。
村上医師
「一般的に人はわからないことに対してかなり不安が高くなると言われています。そのうえ今回の新型コロナウイルスの感染についても初めての経験で、今後どうなるかわからないという不安も重なっていると考えられます」
3つめは、「新型コロナウイルスに対する不安」です。

テレビや新聞、ネットなどを通じてたくさんの情報があふれる中、子どもたちはウイルスに対して必要以上に不安を感じているかもしれません。
村上医師
「正しい情報を正しい場所から得て、親子で共有し、対応を話し合うことが大事です」

親はどう接すればいいか

子どもが不安を感じているとき、親はどのように接すればよいのでしょうか。村上さんは、子どもが不安を感じたり、不安定になったりすることは正常な反応であることを知ってほしいと話してくれました。まずは、生活を立て直すことが大切だそうです。
村上医師
「子どもたちは思ったよりも健全で、多くの場合、家族のサポートがあれば、体調を回復することができます。ですから『ふだんどおり』を意識してください。大人が不安になりすぎず、親自身が気持ちと体調を整えてふだんどおりの生活をする。そして、子どもたちの自律神経のバランスを整えるため、食事の時間を一定にして、睡眠のリズムも一定にすることを心がけてください。早起きでなくてもかまいません」
また、子どもが学校や保育園などに行きたくないと言っている場合は、無理をして行かせない方がよいといいます。村上さんは、次の4つのポイントを念頭に置いて対処してほしいと話しています。

(1)強制的に行かせない。
(2)特に体調が悪くて行きにくい場合は、体調の回復に努める。
(3)学校と話し合い、短時間だけ行かせることなどから始める。
(4)本人の状態に合わせたリズムで行かせる。
村上医師
「子どもが行きたくないと言うときに、親の方が焦って無理にでも行かせようとするのはかえって逆効果だと思います。体調が悪くて学校に行きたがらないのであれば、まずは体調不良をなおすことを優先すべきだと思います。基本的には子どもは回復する力があるので、ふだんどおりに接して生活のバランスを整えていくことで気持ちの不調も改善されると思いますが、不安な場合は、気軽に地域の小児科の医師に相談することも必要だと思います」
また、今の時期は、学校に行けるようになっても、感染を予防するために教室内で会話をせず、自分の席を離れないよう促され、孤独を感じたり、学校生活をつまらなく感じたりすることもあると思います。その場合は、オンラインで友だちとつながれる場所を提供するなど、ふだんとは違う形でコミュニケーションをとれるよう親がサポートすることも大事だといいます。
村上医師
「ネットを使ったり、オンラインゲームで友達とつながったり、ふだんの生活では許可していないかもしれませんが、今の時期は、大事な友達とのコミュニケーション手段になるので、親子でよく話し合って活用することも必要だと思います」
子どもの不安やストレスへの対処の仕方については、国立成育医療研究センターのホームページでも詳しく紹介されているので、参考にしてほしいと話していました。

http://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html
※NHKのサイトを離れます。

悩んだ時は相談を

さきほど紹介した「チャイルドライン」は、年末年始を除く毎日、午後4時~午後9時まで電話で相談を受け付けています。

番号はフリーダイヤルの 0120-99-7777です。

また、木曜日と金曜日は、「チャイルドライン」のホームページから「チャット」を使って相談することもできます。
https://childline.or.jp
※NHKのサイトを離れます。
また、全国の都道府県や政令市の教育委員会が運営する「24時間子供SOSダイヤル」という相談窓口もあります。

番号はフリーダイヤルの 0120-0-78310です。

全国一律のこの番号に電話すれば、近くの相談機関につながります。毎日、24時間受け付けていて、名前や学校名を言わなくても相談することができます。

今回のような長期間の休みのあとの新しい学校生活は、誰も経験したことがありません。子どもの様子を見て悩んだときはひとりで抱えず、身近な人や相談窓口、専門の医師などに気軽に相談してみてはどうでしょうか。