サッカーJ1 7月4日に無観客で再開

サッカーJ1 7月4日に無観客で再開
サッカーJリーグは2月下旬から中断している公式戦のうち、J1を7月4日に再開し、J2とJ3は1週間早く来月27日から試合を行うことを決めました。再開直後は無観客で実施し、その後、状況を見極めて観客を入れていく方針です。
Jリーグは29日、各クラブの代表者などが参加する実行委員会を開き、公式戦再開の日程や方式などを議論しました。このあとJリーグの村井満チェアマンがウェブ上で記者会見し、J1を7月4日に再開することを発表しました。

J2と、開幕前だったJ3は1週間早く来月27日から試合が行われます。

いずれも再開直後は無観客で実施しますが、政府の方針を踏まえて7月10日以降、状況を見極めながら段階的に観客を入れていく方針です。

また新型コロナウイルスの感染防止対策として、7月の数試合は長距離移動を伴わないように試合を組んでいく方針を示すとともに、リーグにPCR検査を担当する部署を新たに設け、選手全員や審判、2300人余りを対象に2週間に1回検査を行っていく態勢を取るということです。

一方、J2のギラヴァンツ北九州が拠点とする北九州市で新型コロナウイルスの新たな感染者が相次いでいることに関連して村井チェアマンは「地域ごとの感染対策を丁寧に聞きながら対応したい。いったん観客を入れたあと、地域に応じて無観客になることもあるし、個々の事情によって個別の試合の日程を動かすことはあり得る」と話して、各地域の状況などを踏まえて柔軟に対応していく考えを示しました。

村井チェアマン「全クラブの意見聞きこのスタイルに」

Jリーグの村井満チェアマンは「J1は最後まで緊急事態宣言が出ていた首都圏の1都3県と北海道に本拠地を置くクラブの比重が高く、再開後の選手のコンディショニングを重視する声があった一方で、J2、J3は1週間早くできるという声があった。56クラブすべての意見を丁寧に聞いていく中で、このようなスタイルになった」と説明しました。

そのうえで、無観客で再開することについて「政府のガイドラインでは7月10日から制限付きで観客を招くことができる可能性があるという指針が出ているので、段階的に観客を迎える準備を整えていきたい」と話しました。

また、感染防止対策については「選手の安全と健康管理を万全にしていこうと各クラブの代表者と確認した。健康管理を補完する意味合いで選手全員のPCR検査を行うめどがついた」として、選手などを対象とした新型コロナウイルスの検査を実施する意向を明らかにしました。

ヴィッセル神戸 イニエスタ「試合ができることがうれしい」

サッカーJリーグの再開日程が決まったことについて、元スペイン代表でヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタ選手は「再開のニュースを聞いてとても喜んでいます。特殊な状況ではありますが、また試合ができることがうれしいです。チーム全員が最高の形でリーグ戦に戻れるよう準備をしています。近い将来、また皆さんにスタジアムで出会えることを願っています」と話しました。

コンサドーレ札幌 鈴木「熱い試合をしたい」

サッカーJ1、北海道コンサドーレ札幌のフォワード、鈴木武蔵選手は、7月4日に無観客で再開することが決まった公式戦に向けて、「サポーターにワクワクしてもらえるような熱い試合をしたい」と意気込みを語りました。

鈴木選手は、オンラインで取材に応じ「公式戦の中断期間は、試合をできることがいかに幸せかを感じる日々で、改めてサッカーへの感謝の気持ちを持てた。無観客の試合は自分たちも違った感覚になるが、サポーターには画面を通してでもワクワクしてもらえるような熱い試合をしたい」と話しました。

そのうえで「個人的には試合ができれば、手段や方法にこだわりはない。試合をできることが何よりもうれしい。開幕前に目標としていたリーグ戦20得点を達成したい」と意気込みを示しました。

公式戦再開までの練習については「90分間の試合を平気でできるようになることが課題だと思うが、1か月程度の準備期間があり十分な長さだと思っている。けがのリスクを回避しながらしっかり準備していきたい」と話していました。

コンサドーレでは、公式戦再開に向けて来月1日からおよそ1か月半ぶりに全体練習を行う予定です。

Jリーグ再開決定までの動き

サッカーJリーグが新型コロナウイルスの影響で公式戦を中断してから再開を決めるまでの動きです。

▽2月25日、国の専門家会議が今後1、2週間が感染拡大のスピードを抑えられるかどうかの瀬戸際だという見解を示したことを受けて3月前半までの公式戦の延期を決めました。

▽3月3日、プロ野球とともに、試合再開の時期や対策などを検討していく「対策連絡会議」を設け、9日に行われた2回目の会合では、感染症の専門家の助言を踏まえ3月中の再開を断念し、4月3日の再開を目指すことになりました。

▽3月19日、各クラブの代表者などによる実行委員会を開き、中断期間の長期化でリーグ戦が再開してもクラブによってはアウェーの試合が連続するなど公平性が担保できないとして今シーズンは、J1とJ2について降格を行わないことを決めました。

▽3月25日、体温を測定する機器がそろわないなどとして4月3日の再開を見送り、4月下旬から5月上旬にかけて開催規模の小さいJ3から段階的な再開を目指すことを決めました。

▽3月30日、J1、ヴィッセル神戸の酒井高徳選手がJリーグで初めて新型コロナウイルスに感染し、その後もザスパクサツ群馬やセレッソ大阪で選手の感染が続きました。

▽4月3日、感染の急速の拡大で、「対策連絡会議」の専門家から再開の時期をできるだけ後ろにずらすべきだと提言が出されたことを受けて4月下旬から5月上旬にかけて目指していた段階的な再開を白紙としました。

▽4月15日、新型コロナウイルスの影響で資金繰りが厳しくなったクラブを対象に返済期間の条件を緩和した融資の特例措置を設けることを理事会で承認しました。

▽4月23日、実行委員会で無観客での試合も選択肢とすることを確認するとともに試合再開の時期について最短で6月を計画しながら緊急事態宣言の状況も見て7月再開も織り込んで準備していく方針を示しました。

▽5月11日、「対策連絡会議」の専門家から緊急事態宣言が続いている現時点でシーズン再開の日付を決めるのは難しいという見解が示されました。

一方で、試合再開に向けて感染拡大を防ぐための注意点や無観客試合をどう運営するかなどをまとめたガイドラインをつくることを確認し、14日には案を公表しました。

▽5月15日、東京都など一部の地域を除いて緊急事態宣言が解除されたことからJ1のサガン鳥栖とサンフレッチェ広島が練習を再開するなど各チームの活動再開の動きが本格化し始めました。

▽5月16日、ヨーロッパの主要リーグの1つ、ドイツリーグが感染防止策を徹底するなか無観客で試合を再開しました。

▽5月22日、専門家から無観客であれば試合を開催できる状況になってきているという見解が示されたのを受けて1週間後の29日をめどに再開の日程を決める方針が示されました。

▽5月29日、J1を7月4日から無観客で再開しJ2と開幕前だったJ3を1週間早く来月27日から試合を行うことを決めました。