専門家会議 「次なる波」に備えチェックリスト示す 新型コロナ

専門家会議 「次なる波」に備えチェックリスト示す 新型コロナ
新型コロナウイルスの対策について話し合う政府の専門家会議が緊急事態宣言が解除された後、初めてとなる新たな提言を出しました。大型連休明けの週末以降、感染者数が増える兆しが見られるとしたうえで、感染の「次なる波」に備えて、検査の過程を点検し、改善の対策を行ったかや、患者の症状の程度に応じた医療機関ごとの役割分担が明確にされているかなどおよそ50のポイントをまとめたチェックリストを示し、都道府県などに検査や医療などの体制整備を進めるよう求めました。
専門家会議は新たな提言をまとめ、感染の状況について、27日までの1週間の新たな感染者は全国で228人と、ピークだった先月中旬の17分の1まで減少するなど対策は一定の成果をあげたと評価した一方、大型連休明けの週末以降、感染者数が増える兆しが見られるとして、新規感染者数の動向や、感染経路が分からない人の割合などを継続的に注視する必要があるとしています。

そして、諸外国では行動制限が解除されたあとに感染の再拡大が起きた例も複数報告されているため、これまでの対策の経験を通じて明らかになった課題を速やかに解決する必要があるとして、国に対して「次なる波」に備え、検査や医療の体制、それに感染状況を把握する体制の強化を求めました。

このうち、検査体制については、PCR検査が迅速にできなかったことを踏まえ、保健所の業務の一部を外部に委託したり、地域の医師会などと連携した検査センターを設けたりするなどして、迅速な検査で早期の医療や感染拡大防止対策につなげるとしています。

また、医療提供体制については、準備しておくべき病床などの目安を示すとともに、感染が小康状態でも大規模なクラスターが突然発生することを想定して、空きベッドや速やかに入院させることができるベッドを確保しておくべきだとしています。

そのうえで、都道府県に対してはこうした対策について、検査の過程を点検して必要な対策を行ったかや、医療機関ごとに患者の症状の程度に応じた役割分担が明確にされているか、それに、保健所の業務の見直しや必要な増員が図られているかなど、およそ50のポイントをまとめたチェックリストを示し、体制の整備を求めています。

このほか、提言では、重症化するリスクの高い高齢者などが多く集まる病院や福祉施設で集団感染が起きていたとして、院内や施設内でとるべき対策の考え方を新たに示しました。

この中では、狭い休憩室でスタッフが一緒に休憩したり、同じパソコンなどを多くのスタッフが共同で使っていたりして感染したとして、環境整備や、適切なタイミングでの消毒の徹底、幅広に感染を疑ってPCR検査などを行うこと、それに、政府や都道府県は福祉施設にも感染を防ぐマスクやガウンなどを適切に配分することなどを求めています。

さらに、一般の人たちに対しては、すべての地域で一人一人がいわゆる「3つの密」を回避し、人との間の距離を確保すること、それに、マスクや手洗いなどの感染対策を継続することを改めて強調するとともに、観光はまずは近隣のエリアから始めるよう検討することが望ましいとしています。

東京の感染増加「見えない連鎖が」 専門家

緊急事態宣言が解除されたあと、ここ数日、東京都内で新たな感染者が増えていることについて、専門家会議の記者会見で東北大学の押谷仁教授は「新型コロナウイルスは、症状が出ない人や軽い人もいるため、感染の状況が非常に見えにくい。どうしても見えない感染連鎖が起きている。いったん地域で感染が見えなくてなっても、それが突然見えてくるのは想定内で、対応するための体制を作ることが必要だ」と指摘しました。

また北九州市で感染者が増えていることについて「北九州市では新たにウイルスが入ってきた可能性もあるが、感染の広がりが続いていたのが明らかになったのではないか。院内感染も起きていて、隠れているクラスターや感染の連鎖を早急に検知していくことが今後の課題だ」と話しています。