店舗などで使用 「飛まつ防止シート」 消防が火災の注意喚起

店舗などで使用 「飛まつ防止シート」 消防が火災の注意喚起
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新型コロナウイルス対策で店舗での「飛まつ防止シート」の導入が進んでいますが、先月、大阪のショッピングセンターで、客が買おうとしたライターを試しに点火したところ、レジカウンターに設置されたシートに誤って燃え移る事故が起きていたことがわかりました。消防は、大きな火災になるおそれがあったとして注意を呼びかけています。
消防によりますと先月25日、大阪府内のショッピングセンターで、たばこ売り場を訪れた高齢の男性客が、買おうとしたライターを試しに点火したところ、レジカウンターに設置されていた透明のシートに燃え移ったということです。

シートは縦およそ1メートル、横およそ2メートルの大きさで、火は全体に燃え広がりましたが、ほかの物に燃え移ることはなく、客や店員にけがはありませんでした。

客と店員を隔てる透明の飛まつ防止シートをめぐっては、大阪府はスーパーや飲食店などの業種で営業を再開する際のガイドラインで感染防止の対策として設置を求めています。

消防は、一歩間違えば大きな火災になっていたおそれもあったとして、シートを導入する際には状況に応じて燃えにくい素材を使い、周囲に火の気を避けるなど、細心の注意をするよう呼びかけています。

実物で再現実験すると…

事故を調査した「枚方寝屋川消防組合消防本部」では、ショッピングセンターで使われていた透明シートを店から提供してもらい、再現実験を行いました。

シートの材質はわかりませんでしたが、実験ではシートの左右を木の枠に固定して店舗のレジカウンターを再現しました。

そこにライターの火を近づけるとすぐにシートに燃え移り、大きく炎を上げながら左右に燃え広がって1分ほどで全体が燃えました。

シートの一部は溶けて下に落ち、木の枠には焦げたあとが残っていました。

ほかにも、ホームセンターなどで飛まつ防止に使えるなどとして販売されている2種類の透明シートを使って実験を行いました。

実験では、いずれも火が燃え広がり、このうちの1つは黒い煙が大量に発生して鼻をつくにおいのするガスが充満しました。

実験した2種類のシートは、いずれも材質が明記されていませんでした。

飛まつ感染防止のため、透明のシートには燃えにくい素材のものも販売されていますが品薄となっていることから、消防は、燃えやすい素材のシートも多く使われているとみて、設置の際には注意するよう呼びかけています。

枚方寝屋川消防組合消防本部警防部の北川光雄次長は「透明シートは燃えやすい素材でできているものが多いので、まずは火を近づけない状況を作ることが必要だ。迷うことがあれば近くの消防署に相談に来てほしい」と話していました。

透明シートの材質 明確な規定なし

消防法では、飛まつ防止に使われる透明シートの材質について、明確な規定はありません。

透明シートが仮に「カーテン」とみなされる場合には、飲食店やコンビニ、スーパーやデパート、31メートルを超える建物や地下街などで使う際には、燃えにくい材質のものを使うよう定められています。

しかし、消防によりますと透明シートがカーテンとみなされるかどうかは、設置されている状況によって変わってくるということです。

燃えにくい製品も

消防によりますと、飛まつ防止のために使われるシートには、燃えにくい加工がされているものがあるということです。

そうした加工がされた製品には、防炎性能に関する認定や試験を行っている日本防炎協会が認めたことを示す「防炎」のマークがついているということです。