福岡 小川知事 北九州市民は不要不急の外出自粛を 新型コロナ

福岡 小川知事 北九州市民は不要不急の外出自粛を 新型コロナ
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福岡県の小川知事は、北九州市で新型コロナウイルスの感染確認が続いていることを受けて、北九州市民に対し不要不急の外出自粛を呼びかけました。また、キャバレーなどへの休業要請を今月末で解除するかどうか、北九州市も含めて県内一律に29日に判断する考えを示しました。
この中で、福岡県の小川知事は「緊急事態宣言が解除された。今までの努力が水泡に帰さないように、第2波の到来を抑止しなければならない。私も北九州市の皆様には不要不急の外出自粛をお願いしたい」と述べ、北九州市民に対し、不要不急の外出自粛を呼びかけました。

また小川知事は、ナイトクラブやキャバレーをはじめとする接待を伴う飲食店などへの休業要請を、今月末で解除するかどうか、29日、県の対策本部会議を開いて判断する考えを示しました。

そのうえで、記者団から北九州市だけ休業要請を延長するという選択肢はあるのかと問われたのに対し、「これだけ交通網が発達している中で、なかなか難しい」と述べ、要請を解除するかどうかは、北九州市も含めて県内一律に判断する考えを示しました。

北九州市長「厚労省 対策班は全市的な広がりに注目」

北九州市の北橋市長は28日午後、厚生労働省のクラスター対策班の担当者と市内でおよそ20分間、意見を交わしました。

意見交換のあと、北橋市長はNHKの取材に対し、「濃厚接触者のPCR検査ではなく、新しいところから患者が発生していて、その地点が全市的に広がっている点に対策班は大変注目している。なぜ北九州市だけ、このような大量の陽性患者の確認になったのか、多くの方が衝撃を受けているし、今後どうやって拡大を食い止めるかという段階で、専門家の立場からの調査・助言は大変心強い」と述べました。

北九州市民は…

新型コロナウイルスの感染確認が、北九州市内で続いていることについて、JR小倉駅前では市民から不安の声や緊急事態宣言が解除され気の緩みがあったのではないかといった声が聞かれました。

このうち、門司区に住む60代の女性は「お店や学校が再開してから、急に感染者が出てきているので、人混みに出るのが怖いです」と話していました。

また、小学生の子どもがいるという小倉北区の30代の母親は「学校が再開したばかりなのに、急に感染者が増えてきて、これからどうなるのか不安です」と話していました。

門司区の30代の男性は「人の動きが増えたら感染者も増えるだろうなとイメージはしていたが、思っていたよりも感染者の数が多いと感じます。マスクと手洗いで自衛することが大事だと思います」と話していました。

さらに、小倉北区の40代の女性は「第2波が来るかもしれないと思っていましたが、北九州市だけで感染者が増えていることが驚きです。緊急事態宣言が解除され、気の緩みがあったのではないかと思います」と話していました。

専門家「いま一度、気を引き締めて対策を」

北九州市で新型コロナウイルスの感染者数が増えていることについて、感染症対策に詳しい東北医科薬科大学の賀来満夫特任教授は「再流行は予想されていたが、国内でも実際に起こることが分かった。今回、北九州市で確認された感染者の半分以上は詳しい感染経路が分かっていないということで、気付かないうちに広がるおそれもあり楽観はできない。いま一度、気を引き締めて地域全体で対策を進めていく必要がある」と指摘しました。

そのうえで、賀来特任教授は「再流行は全国のどの地域、都市でも起こりうるので、感染リスクはゼロにならないということを一人一人が強く自覚する必要がある。密閉、密接、密集、いわゆる『3つの密』を避け、人との接触を減らすなど今後も、しばらくは緊急事態宣言が解除される前の生活を意識する必要がある」と話しています。

また、東京都内の感染者数が3日続けて10人を超えていることについて、「東京ではまだ感染の連鎖が続いていて、完全に制御ができていない状態にあるのではないか。人口が多い東京は感染があっという間に広がるリスクがあるため、社会生活を元に戻しながら感染を抑えることができるか、今後の推移が非常に重要だ」と話しています。

北九州市の人出の推移は…

NTTドコモは、携帯電話の基地局の情報を基にプライバシーを保護した形で全国の人出のデータをまとめています。

それによりますと、北九州市中心部にあるJR小倉駅と周辺の人出は、今月初めの大型連休中はことし1月中旬から2月中旬の感染拡大前の平均と比べて、70%余り減少していましたが、福岡県で緊急事態宣言が解除された翌日の今月15日には49.6%と、減少率が50%を下回りました。

減少率の縮小傾向はその後も続き、緊急事態宣言の解除から1週間がたった今月21日は33.1%と、これまでで最も低くなり、人出が増えています。

一方、福岡市も同様の傾向にあり、繁華街の天神と周辺の減少率は大型連休中は80%を超える日もありましたが、27日は24.6%と大幅に縮小しています。

西村経済再生相「大波にしない対応を」

西村経済再生担当大臣は、記者会見で「きのうからクラスター対策班を派遣し、地元の専門家と連携して調査を進めている。ウイルスは、どこに潜んでいるか分からず、ゼロにするのは難しい。小さな波が油断をすると大きな波になってしまうので、くれぐれも感染防止策をしっかり講じながら、経済活動を広げることが大事だ。自治体と連携しながら、大きな波にならないよう対応していきたい」と述べました。