米大学 入学取りやめや留学生減で経営悪化が鮮明に 新型コロナ

米大学 入学取りやめや留学生減で経営悪化が鮮明に 新型コロナ
アメリカでは、新型コロナウイルスの影響で、高校卒業生が4年制大学への入学を取りやめたり、留学生が大幅に減少したりしていることで、大学の経営悪化が鮮明になっています。
アメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大に対応するため、多くの大学がオンラインでの授業を提供しながら運営を続けています。

新入生が入学する秋以降、キャンパスでの活動を再開するか、それともオンラインでの授業を続けるかどうかは大学によって対応が異なっていて、まだ方針を明らかにしていないところもあります。

こうした中、大学の経営悪化が鮮明になりつつあります。

背景には、大学入学を控えた高校卒業生の間で、「オンライン授業は高額の授業料に見合わない」として、大学進学を取りやめたり、入学を遅らせる制度を活用する生徒が増えていることがあります。

また毎年、全米で100万人前後いた、海外からの留学生が激減していることも大きく影響しています。
大学の多くは、留学生に対しては地元の学生よりも高い授業料を課していて、“経営の屋台骨”となってきたという側面があるからです。

さらに、各州の政府が税収の減少を受けて、教育関連予算を削減していることも響いています。

アメリカの教育情報サイトが、全米およそ180の大学の学長に対し先月アンケート調査を行い、新型コロナウイルスに関連し、どういった長期的な懸念があるか尋ねたところ、「新入生の減少」と答えた大学が90%、「財政の安定性」と答えた大学が88%に上りました。

大学の経営状況について研究しているペンシルベニア大学の研究者は、アメリカ国内の20%の大学が閉校の危機に直面していると指摘しています。

こうした中、中西部 イリノイ州では、南北戦争以前に設立された伝統校、マクマリー・カレッジが経営の悪化から今月、174年の歴史に幕を下ろしたほか、医療の研究で世界的に知られ、新型コロナウイルスの世界の感染者数について取りまとめを行っていることでも有名なジョンズ・ホプキンス大学も、今会計年度で1億ドル、およそ107億円以上の純損失を見込んでいます。

多くの大学は経営悪化を避けようと、オンラインによるキャンパスツアーを充実させたり、感染者の追跡や抗体検査の実施に力を入れたりして、現役の学生や新入生の不安解消に努めています。

さらに留学生に対しても、入学の時期をずらすなど選択の幅を広げ、指導もオンラインで行う方式を取り入れるなど、柔軟な対応をとることで何とか生徒をつなぎとめ、経営の改善につなげようとしています。

カリフォルニア州立大「入学者減に加え 休学や退学も増えるか」

全米でも有数の学生数を誇るカリフォルニア州立大学も、収入の大幅な減少により、経営状況が悪化することは避けられない見通しです。

入学の選抜基準の策定に携わっているキルティ・セリー教授はNHKのインタビューに対し、初期段階の推計として、この秋の入学者数が最大で25%減ると予測していることを明らかにし、現役の学生の間でも、休学したり退学したりする学生が増えるという見方を示しました。

その理由についてセリー教授は「学生だけでなく、家族が仕事を失っており、大学よりも、どうやって食べていくか、ということのほうが切実な問題になっている家庭が多いためだ」と説明しました。

そしてセリー教授は、学生数の減少に伴う授業料収入の減少に加え、州からの予算の削減により、大学の経営状況が悪化することは避けられない、と指摘しました。

一方で、カリフォルニア州立大学は現時点で授業料の減額や免除は検討していないということです。

ただ、高校卒業生の置かれた現状に配慮して、入学申し込みの期限や、前納金の有効期限を延長し、生徒が家族と相談して進学先を選択をするための時間的猶予を与えるようにしたほか、来年の選抜からは、日本のセンター試験にあたる「共通テスト」を要件から除外し、高校での成績に重きを置くことにしたということです。

こうした対策により、生徒の間の公平性を保つとともに、大学としても学生数を維持していきたいとしています。

また、セリー教授は「授業料が支払えないという場合には、まずは授業料が安いコミュニティー・カレッジに進学してもらい、そこで高等教育を開始してもらうことになるだろう」と述べ、2年制の短期大学に進学したうえで、4年制大学に転入学する学生が今後、増えると予測しました。

「オンライン授業 高額な授業料見合わない」集団訴訟も

アメリカでは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、大学の授業がオンラインに切り替わったことを受け、高額な授業料に見合った教育を受けられていないとして、50以上の大学を相手取り、授業料の返還を求めて集団訴訟を起こす動きが出ています。

アメリカでは、一部の大学ですでに寮や食事にかかる費用の一部を学生に払い戻していますが、多くの大学は授業料については払い戻しを行っていません。

大学に通う一部の学生らは、オンラインの授業は対面で行う授業とは教育の質が異なり、高額な授業料に見合わないとして、授業料の一部の返還を求めています。

このうち、南部 サウスカロライナ州にある法律事務所は「カレッジ・リファンド2020(学費返済2020)」と名付けた特設サイトをインターネット上に開設し、集団訴訟に加わる学生を募っています。

大手メディアのブルームバーグは、こうした訴えを起こしている学生や親は、すでに全米で数千人に及んでいて、少なくとも50の大学を相手取り集団訴訟を起こす動きが出ていると伝えています。

また、授業料の返還を求める署名活動もインターネット上で広がっています。