訪日外国人 増減の背景は?

訪日外国人 増減の背景は?
このところ増え続けていた、日本を訪れる外国人旅行者。しかし新型コロナウイルスの感染拡大で、その数は激減しています。ことし4月は、前の年の同じ月に比べると99.9%減、という結果に…

このように、海外旅行する人の数は、世の中のさまざまな出来事によって変化します。中学の入試問題をもとに、考えていきましょう。

私立中学の入試問題に挑戦!

問題
「図1は1964年から2015年における海外旅行者数の推移を示したものです。旅行者の数はさまざまな要因により変動しますが、図1中のA~Cと最も関係が深いできごとを、次のア~カよりそれぞれ選び、記号で答えなさい」

ア 感染症SARS(サーズ)流行
イ デング熱流行
ウ バブル経済崩壊
エ リーマンショックによる金融危機
オ 東日本大震災
カ 阪神淡路大震災

海外に出かける日本人減少の理由は?

まず、グラフの赤い線に関係する「A」と「B」について考えてみましょう。

赤い線は「海外に出かけた日本人の数」を示していますが、2003年に減少しています。それが「A」ですが、この年、いったい何があったんでしょうか…。
実は、「感染症SARS流行」が、この年だったのです。中国やアジア各地を中心に感染が広がり、海外旅行する人の減少につながりました。

次に、2009年の減少を指している「B」。
これは、「リーマンショックによる金融危機」が答えです。世界的な不況は、海外旅行にも影響を及ぼしているんですね。

日本を訪れる外国人が減った理由は?

今度は、青い線の「C」を考えましょう。

青い線は「日本を訪れた外国人の数」を表していて、「C」が指している2011年に大きく減少しています。…2011年と聞けば、わかる人も多いのではないでしょうか。

中学入試で社会を指導する玉井滋雄さんに話を伺いました。
SAPIX 玉井さん
「Cはちょうど2011年を指しています。この年は日本で東日本大震災があり、福島第一原発の事故がありました。こういったことを受けて、海外の人たちが訪日を控えたと読み取ることができます」
ということで、「C」の解答は「東日本大震災」です。

グラフを見ると、その後、日本を訪れる外国人の数は、大きく増えていることがわかります。
その理由は何でしょうか?
SAPIX 玉井さん
「観光旅行で日本に来る外国人はアジア圏からの方が多いのが現状です。アジアの経済成長と訪日外国人が増えていることは無関係ではないと思います。また、日本政府は海外旅行客を取り込もうといろいろな政策を打ち出しています。日本に魅力を感じて来てくれる人を増やすという政策が功を奏している部分もあると思います」

訪日外国人を増やす政策も

政府は、訪日ビザの発給条件の緩和などを積極的に行い、2014年には新たな免税制度を導入しました。

2015年には、「爆買い」が「新語・流行語大賞」に選ばれるなど、海外からの旅行客による買い物が大きな経済効果をもたらしました。

そして2018年には「民泊新法」が施行。急増する外国人旅行者の宿泊の受け皿として、期待が集まったんです。

ところが、2020年の東京オリンピックを迎えようとしていたやさき、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大で旅行者は激減してしまいました。
海外旅行は、これからどうなるんでしょうか?

玉井さんは、人間にとって「旅」は大事な営みだと指摘します。

「旅」は大事な営み

SAPIX 玉井さん
「旅に関する出題は入試でもよく取り上げられます。旅人が移動をし、ほかの地域の人たちと交わることによって、新しい知識を得て、自分たちのコミュニティーを発展させる。人の移動・旅というのは、そういう意味でも大事だと思います」
新型コロナウイルスの影響は、さらに長引き、長期戦になるかもしれません。この先、旅の魅力をどう新しい形で生み出せるか、行政や観光業界だけでなく、みんなで知恵を出していく必要がありそうです。
「週刊まるわかりニュース」(土曜日午前9時放送)の新コーナー「ミガケ、好奇心!」では、毎週、入学試験で出された時事問題などを題材にニュースを掘り下げます。
「なぜ?」、実は知りたい「そもそも」を、鎌倉キャスターと考えていきましょう!