安倍首相 記者会見 主な発言内容は

安倍首相 記者会見 主な発言内容は
安倍総理大臣は25日の記者会見で、緊急事態宣言を全国で解除することを正式に表明し、段階的に社会経済活動を再開していく方針を示しました。記者会見での主な発言内容は、次のとおりです。

黒川元検事長の辞職 「批判を真摯(しんし)に受け止める」

安倍総理大臣は、緊急事態宣言の中、賭けマージャンをした問題で辞職した東京高等検察庁の黒川検事長について、「法務省・検察庁の人事案を最終的に内閣として認めたが、責任は内閣総理大臣たる私にある。批判を真摯に受け止めながらしっかり職責を果たしていきたい。森法務大臣には、検察や法務省の士気をしっかり高め、信頼回復のために全力をつくしてもらいたい」と述べました。

そのうえで、「私に与えられた責務は、新型コロナウイルス感染症を完全に克服して打ちかち、経済をしっかり回復させていくことであり、その間、雇用と暮らしを守り抜いていくことだ」と述べました。

宣言解除の判断は

安倍総理大臣は、緊急事態宣言を解除した判断について、「関東の1都3県と北海道は、先週21日の段階でも、新規の感染者数は減少しており医療のひっ迫状況も改善傾向にあった。この傾向が継続していけば、解除することも可能だと申し上げていたが、こんにちまでその傾向が続いてきた」と述べました。

そのうえで、「東京では、『直近1週間の10万人当たりの新規感染者が0.5人』という世界でも厳しいレベルの基準もクリアしている。神奈川県では、この基準を超えているが、1人以下で、多くはリンクが追えており、専門家から、『解除すべきである』という答申をいただいた」と述べました。

また記者団から「新しい日常生活」をいつまで続ける必要があるのか質問されたのに対し、「治療薬、ワクチンの実現が極めて重要だ。世界的に感染が収束しなければならない中で、治療薬やワクチンの存在が極めて重要だ」と述べました。

「解除の基準に経済状況は考慮せず」

安倍総理大臣は、宣言の解除にあたり、経済状況も考慮したか問われたのに対し、「解除の基準の中に入れたわけではなく、解除は地域の感染状況、医療提供体制、監視体制の3つに注目したうえで、総合的に判断をした」と述べました。

一方で、「経済の状況、国民生活の状況、経営上ギリギリの困難に直面している皆様のことについては、常に私の頭にある。事業の継続と雇用、そして、暮らしを守り抜いていくためにしっかりと下支えしていきたい」と述べました。

テレワーク「コロナ後も働き方の大きな柱に」

安倍総理大臣は、「テレワークが新しいスタイルの1つになってきている。これはコロナ後の世界においても一つの大きな働き方の柱になっていく」と述べました。

外国人の入国拒否措置「慎重に検討 総合的に判断」

安倍総理大臣は、水際対策の一環として、外国人の入国を拒否する措置について、「将来的には、わが国や内外の感染状況などを踏まえながら、国際的な人の往来の再開に向けた検討を行っていくことも重要であろうと考えている」と述べました。

そのうえで、「感染再拡大の防止と両立する形でどのように国際的な人の往来を部分的・段階的に再開できるかについて、慎重に検討したうえで、政府として適切なタイミングで総合的に判断をしていく考えだ。国民の健康と命を守り抜いていくことを最優先に考えていきたい」と述べました。

布マスク「再利用可能 需要抑制に大きな効果が期待」

安倍総理大臣は、全国すべての世帯への布マスクの配布について、「検品の強化によって、配布が予想より遅れているのは事実だ。マスクが手に入らず、到着を待っている皆様に、1日も早く、お届けできるように全力を尽くしていきたい」と述べました。

そのうえで、「国民の皆様には、常時、マスクの着用をお願いをしているところで、仮に全員が毎日、使い捨てマスクを利用するとなると、需要は月30億枚を超えてしまう。需要の拡大に見合うだけの十分な供給量を確保することは引き続き、難しい状況にある。洗うことで再利用が可能な布マスクは、需要の増大を抑えて、需給バランスを回復することに、大きな効果が期待できる」と述べました。

災害発生時の感染防止「“3密”回避へ多くの避難所を開設」

安倍総理大臣は、災害が発生した場合の感染防止の対策について、「これから本格的な台風シーズン、集中豪雨が来襲する時期にあたるが、国民には、新型コロナウイルス感染症が完全に収束していない中にあっても、災害時に危険な場所にいる場合には、避難所に避難するよう心がけていただきたい」と述べました。

そのうえで、「その際、3つの密を回避するなど感染拡大の防止にわれわれも十分に対応していかなければならない。ホテルや旅館などの積極的な活用も含め、可能なかぎり多くの避難所を開設し、マスクなど必要な物資をプッシュ型でこれまで以上に迅速に支援していくことができるよう準備に万全を期していく」と述べました。

9月入学「慎重に検討していく」

安倍総理大臣は「9月入学」について、「学校休業が長期化する中で、いろいろな議論がなされており私は選択肢の1つだと考えているが、与党、自民党でもいろいろな議論があり、極めて慎重な議論もある」と述べました。

そのうえで、「学校再開の状況や、子どもたちや保護者はもとより社会全体への影響を見極めつつ慎重に検討していきたい。拙速は避けなければならない」と述べ、慎重に検討する考えを示しました。

来月のG7サミット「事情が許せば参加したい」

安倍総理大臣は、来月予定されるG7サミット=主要7か国首脳会議に出席するかどうかについて、「アメリカで実際に開催することも含めて、今、調整していると承知している。調整が整い、諸般の事情が許せば、私も参加したいと考えている」と述べました。

世論調査での支持率の低下「与えられた使命に全力尽くす」

安倍総理大臣は、各種の世論調査で、内閣支持率が下がっていることについて、「日々の支持率に一喜一憂することなく、与えられた使命に全力を尽くしていきたい」と述べました。

黒川氏の退職金 処分に応じて減額される

安倍総理大臣は、辞職した東京高等検察庁の黒川検事長の処分について、「先週21日に法務省から検事総長に対して調査結果に基づき、訓告が相当と考える旨を伝え、検事総長も訓告が相当と判断して処分した。私自身は、森法務大臣から『事実関係の調査結果を踏まえて処分を行ったうえで、黒川氏本人より辞意の表明があったので認めることとしたい』との報告があり了承した」と述べました。

そのうえで、「総理大臣として責任を持っている。国民の批判に対しては、真摯に受け止めなければならない。法務省・検察庁で信頼回復に全力を尽くさなければならない。私も全力を尽くしていきたい」と述べました。

一方、安倍総理大臣は、黒川氏の退職金は、処分に応じて減額されることを明らかにしました。

新型コロナへの対応「米と協力し国際的な課題に取り組む」

安倍総理大臣は、新型コロナウイルスへの対応をめぐり、米中関係の対立が深まっていることに関連し、「新型コロナウイルスは、中国から世界に広がったのは事実だと考えている。アメリカは、日本にとって唯一の同盟国であり、アメリカと協力しながら、さまざまな国際的な課題に取り組んでいきたい」と述べました。

そのうえで、「中国も、世界の中で、極めて重要な国で、国際社会で期待されているのは、地域の平和と安定・繁栄に責任ある対応をとっていくことだ。中国がそういう対応をとってくれることを期待したい」と述べました。