緊急事態宣言 首都圏と北海道の解除は妥当との見解 諮問委員会

緊急事態宣言 首都圏と北海道の解除は妥当との見解 諮問委員会
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緊急事態宣言をめぐり、政府が専門家に意見を聴く「諮問委員会」が開かれ、東京など首都圏の1都3県と北海道で解除し、全国の解除宣言を行う方針は妥当だとする見解が示されました。
緊急事態宣言の解除に向けて、政府が感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」が午前9時半から開かれました。

冒頭、西村経済再生担当大臣は「感染状況等を改めて分析・評価し、総合的に判断した結果、すべての都道府県で、緊急事態宣言を実施する必要がなくなったと認められ、解除宣言を行うことを諮問したい」と述べました。

諮問委員会のあと、西村大臣は東京など首都圏の1都3県と北海道で解除し、全国の解除宣言を行う方針は妥当だとする見解が示されたことを明らかにしました。

これによって、先月7日に出された宣言は、およそ1か月半ぶりに全国で解除される見通しです。

一方、西村大臣は神奈川と北海道で、依然として直近1週間の新規感染者数が解除の目安を上回っていることや、東京の新規感染者数が24日、14人だったことを踏まえ、諮問委員会の尾身茂会長から、東京、神奈川、北海道の状況を引き続き調査・分析するよう求められたことを明らかにしました。

また、「感染の大きな波は収束させることができたが、このあとも、感染はところどころで起こる。引き続き感染防止策をしっかり講じ、新しい生活様式を定着させながら、段階的に経済活動を広げていくことが大事だ」と述べ、外出自粛の段階的な緩和などを基本的対処方針に盛り込むことも妥当と判断されたと説明しました。

これを受けて政府は午後、衆参両院の議院運営委員会で事前の報告と質疑を行うことにしています。

そして、安倍総理大臣が夕方記者会見し、解除の理由や今後の対応などを説明したうえで、対策本部を開いて、宣言の解除を正式に決定することにしています。

官房長官「国民の協力に感謝」

菅官房長官は、午前の記者会見で「先月、緊急事態を宣言した際と比較し、新規感染者の数は大幅に減少し医療提供体制のひっ迫状態も改善されている。欧米のような強制的な外出規制ができない中で、極力8割の接触削減に向けて国民に協力をいただいたことや感染リスクと隣り合わせの中で献身的な取り組みを続けていただいている医療従事者の努力のたまものだと考えており、改めて感謝したい」と述べました。

そのうえで「引き続き、3つの密を避けるなど、新しい生活様式の定着を図っていけるよう、政府としても周知、広報に努めたい。外出の自粛やイベントなどの開催制限などの今後の方針については、地域の感染状況を踏まえ、段階的に緩和したい」と述べました。

小池知事「緩和進めるも感染への備え重要」

東京など首都圏の1都3県と北海道で継続している緊急事態宣言が解除される見通しになったことについて、東京都の小池知事は記者団に対して「都としても専門家の意見を踏まえて、国の結論を受け止めたい。一方、きのうも陽性者が多く、大型連休明けの数字もこれから入ってくる。感染状況についてのモニタリングの結果を確認してステップを前に進めたい」と述べて、感染状況の確認を進めながら休業などの要請の段階的な緩和を進める考えを示しました。

そのうえで「感染症の拡大防止のため『ステイホーム』で1都3県の皆様に力を出していただいたことは本当にありがたい。第2波、第3波などもあるが、引き続き、都民の協力をお願いしないといけない。『ゼロリスク』はないが、いろいろ備えをしておくことで安心して日々の生活を送る環境づくりをやっていきたい」と述べ、次の感染拡大に備えることが重要だという考えを示しました。

経済の専門家「医療体制の充実で不安の軽減が経済に重要」

経済の専門家として諮問委員会の委員を務めている東京財団政策研究所の小林慶一郎研究主幹は、記者団に対し「この先、感染拡大の第2波、第3波が来て、インフルエンザが流行する時期に再び緊急事態が宣言される事態は避けたい。感染の不安が残ると、自発的な自粛が続く可能性があり、医療提供体制や検査体制を拡充して、不安を減らすことが経済にとっていちばん重要だ」と述べました。

経済の専門家「今は生活や企業を支える政策を」

経済の専門家で、諮問委員会の委員を務めている慶應義塾大学の竹森俊平教授は「全体としてみれば、赤信号から青信号に変わったというよりは、あとちょっとで黄色に変わるくらいの青信号という感覚で生活していただきたい」と述べました。

そのうえで「人出が増えて経済の歯車が回ると、感染のリスクが高まってしまうので、歯車が回り出すのをできるだけゆっくりコントロールする必要がある。今は、人出を増やすことになる景気刺激策ではなく、生活や企業の仕事を支える政策を行うべきだ」と指摘しました。