香港 中国主導の“治安法”に抗議デモ 100人以上拘束か

香港 中国主導の“治安法”に抗議デモ 100人以上拘束か
中国の全人代=全国人民代表大会で、香港の治安維持のため、中国が直接、法律の制定に乗り出す方針を打ち出したことを受けて、香港では、大勢の市民がデモ行進を行い、抗議の声を上げました。
中国で22日に開幕した全人代で、抗議活動が続く香港について、国家の分裂行為の予防や処罰など、治安維持のための法律を中国政府主導で制定するとともに、中国の関係機関による取締りを認める方針が打ち出され、全人代最終日の今月28日に採決される見通しです。

これに抗議しようと、香港ではSNS上でデモ行進が呼びかけられました。香港では、新型コロナウイルスの影響で9人以上で集まることが禁止されていますが、香港島の繁華街にはマスク姿の大勢の市民が集まり、「香港の自由を守れ」などと声をあげながら大通りを行進しました。

警察は23日、デモの呼びかけに対し、「違法行為は絶対に容認しない」とする声明を出して警告し、デモ行進が始まると、催涙弾を発射して排除に乗り出しました。香港メディアは、100人以上が拘束されたと伝えています。

香港では、法律制定の動きを受けて、民主派の議員や団体などが市民の自由が大幅に制限されると強く批判しているほか、今月27日からは、議会にあたる立法会で中国の国歌を侮辱する行為を禁止する条例案の本格的な審議が行われることから、中国政府や香港政府に対する市民の激しい反発が続くとみられます。

デモ参加者から怒りの声

香港で行われたデモ行進に参加した市民からは、中国政府が直接、香港の治安維持のための法律を制定することに怒りの声が聞かれました。

このうち中年の男性は「言論の自由がなくなり、中国が罪だと言えば、誰でもテロリストにされてしまう。『一国二制度』の約束は守られるべきだ」と話していました。

また、20代の女性は「こんなやり方は『一国二制度』を壊してしまうことになり、ばかげている。私たちに何ができるでしょうか。声を上げるしかできないので、こうして出てきました」と話していました。

さらに別の20代の男性は「抗議活動には危険が伴うが、わたしたちは政府を恐れていない。むしろ、政府が市民を恐れるべきだと知らせたい」と話していました。

中国外相 米反対に「いかなる干渉も許さない」

中国の王毅外相は、北京で開かれている全人代=全国人民代表大会にあわせて24日、記者会見し、この中で、今回の全人代で中国が、直接香港の治安維持のための法律の制定に乗り出す方針を示し、アメリカが強く反対していることについて「中国の内政でありいかなる干渉も許さない」と反発しました。

そのうえで、抗議活動が続く香港について「暴力やテロ行為がエスカレートしており、外国勢力も違法に干渉し中国の国家の安全に重大な危害を加えている。法律の制定は一刻の猶予も許されず必ず実現しなければならない」と述べ、法整備を急ぐ姿勢を示しました。

法律の制定によって香港の金融センターとしての機能などにも影響が及ぶのではないかという懸念については、「香港の高度な自治や市民の権利や自由、外国の投資家の権利には影響しない」と強調しました。