あす宣言解除なるか 各地で準備 あの軍団も… 新型コロナ

あす宣言解除なるか 各地で準備 あの軍団も… 新型コロナ
栃木県日光市のテーマパーク、「日光さる軍団」では、東京などの緊急事態宣言の解除も見据えて、今後の集客につなげようと、インターネットで猿のショーなどの動画を配信しています。
猿とのふれあいやステージショーが楽しめるテーマパークの「日光さる軍団」は、先月8日から休業していて、東京や周辺の県の緊急事態宣言の解除も見据えて今月30日の営業再開を予定しています。

再開後の集客につなげようと行っている動画の配信では、猿の赤ちゃんやステージショーなどの映像を紹介しています。

24日は、猿の赤ちゃんが小さな手で瓶を持ちミルクを飲む様子を撮影し配信しました。新型コロナウイルスの感染を防ぐため、営業再開後は、劇場で来場者が座る間隔を広くするなどの対策をとるということです。

また、休業が続いている影響で、猿の餌代などに苦労していることから、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを始めています。

「日光さる軍団」の笈川剛支配人は「家で過ごしている人たちに楽しみや、癒やしを届けられたらと思います。営業を再開したら直接、お猿さんの芸やしぐさを楽しんでほしいです」と話していました。

神奈川 箱根では清掃活動

神奈川県有数の観光地、箱根町では、緊急事態宣言の解除を見据えて、地元の人たちが観光客を迎える案内所などの清掃活動を行いました。

清掃活動には、箱根の地元の商工会に所属する休業中のホテルの支配人や飲食店の経営者などおよそ20人が参加しました。

観光案内所にある駐車場の草むしりやトイレの掃除、それに国道沿いに生える樹木の枝を切って観光客を迎え入れる準備を進めました。

箱根町の観光施設や飲食店では、緊急事態宣言が解除されてからの営業再開に向けて、座席の間隔を広くとり、従業員の検温や消毒を徹底するなどの感染防止策を進めているということです。

活動に参加した飲食店を経営する男性は「感染症対策を万全にしていきたいです」と話していました。

清掃活動を主催した小田原箱根商工会議所青年部の中嶋順さんは「箱根の玄関口をきれいにしてお客様を迎える準備をしたいと清掃活動を行いました。受け入れ態勢を整え、お客様を再び迎えたいです」と話していました。

「人間ドック」でも準備進める

緊急事態宣言の解除後に向けて東京 文京区のクリニックでは、新型コロナウイルスの感染防止のために制限していた人間ドックを本格的に再開する準備を進めています。

緊急事態宣言が出されている地域の病院などでは、感染防止のため人間ドックの予約を制限したり、受診者が検査を控えたりする動きが広がっていました。

人間ドックを専門に行う東京 文京区の「春日クリニック」でも受診者が通常の一割ほどになっていましたが、宣言の解除後に向けて本格的に再開する準備を始めました。

クリニックでは「3密」を避けるため、入り口付近にあった喫茶スペースを新たに待合室として改装し人が密集しないようにしました。また、採血の際、使い回しができる止血用のバンドを使っていましたが、使い捨ての専用の包帯に切り替えました。

さらに、飛まつが多く飛ぶおそれがあるため、中止していた内視鏡の検査についても、空気の循環をよくしたり、医師らの防護服をゴミ袋で作ったりして行うことにしています。

宣言が解除されれば、来月から本格的に再開したいとしていて、クリニックを経営する医療法人社団「同友会」の高谷典秀理事長は「3密対策のため、多く施設では例年よりも受診者を抑制せざるをえない状況になっているので、健診の機会を逃す人が多くなることが心配になってきています。予定があった方は速やかに健診を受けてもらいたい」と話しています。

老舗のおでん屋さんも期待

政府が新型コロナウイルスの感染について、現在の改善傾向が確認できれば、25日にも東京に出されている緊急事態宣言を解除する方針の中、都内の老舗のおでん屋は解除への期待を込めて、25日の判断を注視しています。

東京 新橋にある創業昭和7年のおでん屋では、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、先月4日から1か月以上自主的に営業を休業してきました。しかし、その間収入が激減し、入居するビルの賃料が経営を圧迫する事態となったことから、今月18日から都の要請に従って、営業時間を午後8時までとし、客席を半分に減らして営業を再開しました。

ただ、客が最も入る時間に店を閉めなければならず、閉店時間を聞いて諦めて帰ってしまう客もいたということで、再開しても1日の売り上げは通常の1割程度にとどまってたということです。

店主の柿野幹成さんは、政府の緊急事態宣言が解除されれば、都の休業要請も第1段階の緩和で午後10時まで営業できることから、今後、客足も少しずつ戻ってくるのではないかと期待しています。

柿野さんは「1週間前までは、全く先が見えない状況で不安しかありませんでしたが、営業を再開して仕事ができるありがたさを感じています。100%元のように戻ることは難しいと思いますが、営業時間が2時間延びるだけでも気分的にも全然違いますし、精いっぱい仕事したい気持ちです」と話しています。

「不安残るが妥当」 街の声は

緊急事態宣言をめぐり、現在の改善傾向が確認できれば、25日にも解除されるという方針について、東京 渋谷では「感染が再び広がらないか不安は残るが、経済影響を考えれば妥当だ」と感染予防を続けながら経済活動の再開を望む声が聞かれました。

仕事で渋谷に来ていた不動産業の40代の会社員の男性は「妥当な判断ではないか。再び感染が広まるおそれもあるが、経済活動を考えたらいいことだと思う。景気がどうなるかこれからはっきりと見えてくるので注視したい」と話していました。

食料品を買いに訪れた会社経営者の50代男性は「人工透析を受けているので、解除はまだ早いのではないかと不安だ」と話す一方、「インテリア会社を経営しているが、新規開店や改装ができる状況ではなく、内装業の経営は深刻だ。あらゆる感染対策に注意しながら経済の再開はやらざるをえない」と話していました。

また、高齢者施設に勤める品川区の30代の女性は「近くの店は営業しておらず、日用品を買いに訪れましたが、きょうは人がたくさん出ていて驚いている。2か月自粛していたので早く解除してほしいが、一気に人出が増えるので感染者が増えないか心配」と話していました。

所用で渋谷を訪れた豊島区の80代の女性は「解除になるならうれしい反面、おそろしい。再び広まらないか心配だ。自分は肺を患ったことがあり、感染しないようにしばらく家から出ていなかったが、解除になってもしばらく外出は控えたい」と話していました。