東京都ロードマップ 「段階的緩和」具体的には?

東京都ロードマップ 「段階的緩和」具体的には?
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東京都が取りまとめた「新型コロナウイルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」は、感染拡大を防止しながら社会経済活動を維持していくための考え方を提示しています。
緊急事態宣言が解除された後、休業要請などの緩和を段階的に進めていくことが柱で、現在の「ステップ0」から「ステップ3」まで段階があり、業種や施設の種類別に対象を広げていきます。

緩和にあたっては1新規の陽性者数、2新規の陽性者で接触歴が分からない割合、3週単位の陽性者増加比、3重症患者数、4入院患者数、5PCR検査の陽性率、6受診相談窓口における相談件数の7つの指標を用います。

都は新規陽性者数が1週間の平均で1日当たり20人未満になるなど、目安となる3つの数値とほかの指標の推移も踏まえて原則として2週間単位で状況を評価し、専門家の意見を聴いたうえで総合的に判断するとしています。

小池知事は22日の会見で、緊急事態宣言の解除後の対応ついて「速やかに『ステップ1』に進む。たとえば25日に解除されたら26日の午前0時ということになろうかと思う」と述べ、来週25日に解除された場合、翌・26日から緩和を始める考えを示しています。

また「感染者が少ない状況が続けば、次のステップへの移行を早めることも検討したい」と述べています。一方、感染状況が悪化した場合は再び休業要請を行うこともあるとしていて、感染の状況が目安の数値を超えた場合には、都独自で「東京アラート」を出して警戒を呼びかけることにしています。
東京都は業種や施設の種類別に休業要請を緩和していくことを明らかにしました。

ステップ1

緩和は段階的に行い緊急事態宣言が解除されたあと、最初の段階で対象となるのは博物館、美術館、図書館、観客席を除いた体育館や水泳場、ボーリング場などの「屋内の運動施設」です。

例えばドーム球場や体育館で、プロ野球やバスケットボールのBリーグの無観客試合を行うことや、ナショナルトレーニングセンターを利用したアスリートの練習などが可能となります。

さらに、宅配以外の居酒屋を含む飲食店、料理店喫茶店は現在、午後8時までの短縮を要請している営業時間を午後10時までとし、酒類の提供も午後10時までとします。

イベントについては50人までの規模のものは開催できるとしています。

ステップ2

次の段階で新たに緩和の対象となるのは、観客席を含めた「屋内外の運動施設」のほか、自動車教習所、学習塾、劇場、観覧場、映画館、演芸場、集会場、公会堂、展示場、商業施設で、生活必需物資の小売関係など以外の店舗、生活必需サービス以外のサービス業を営む店舗です。

イベントについては100人までの規模のものは開催できるとしています。

ステップ3

さらに次の段階では新たにネットカフェ、漫画喫茶、射的場、勝馬投票券発売所、場外車券売場、マージャン店、パチンコ店、ゲームセンター、遊園地などが対象となります。

また、宅配を除いた居酒屋を含む飲食店、料理店、喫茶店は翌日の午前0時まで営業できるようになります。

酒類の提供も翌日の午前0時までとなります。

イベントについては1000人までの規模のものは開催できるとしています。

一方、この段階でも、ナイトクラブなど接待を伴う飲食店のほか、ライブハウス、カラオケボックス、それにスポーツジムなどについては、これまでにクラスターが発生するなど感染のリスクが高いとして引き続き休業を要請します。

こうした業種の緩和については、今後の国の対処方針などを踏まえて、検討していくことにしています。

カラオケ店からは営業再開求める声

東京都が示した休業要請の緩和対象に含まれなかったカラオケ店を展開する会社からは営業の再開を求める声があがっています。

カラオケ店を全国展開する会社では、緊急事態宣言が継続されている東京都内の69店舗を含め、全体の7割を超えるおよそ340の店舗で休業が続いています。

東京都が22日示した段階的な休業要請の緩和対象にカラオケ店が含まれなかったことから会社では今後の経営の見通しが立たないとしています。

「カラオケBanBan」を展開する会社の加藤伸司社長は、「非常に残念な思いで、カラオケ文化そのものが衰退、存亡の危機にさらされていると考えている。国や東京都には、営業再開に向けて何が必要か、何が足りないかを示してもらい、1日も早い再開につなげさせていただきたい」と話していました。

会社では、換気設備を稼働して常時、室内の空気の入れ替えを行っているほか、マイクのアルコール消毒を継続するなど感染防止のための対策を講じて営業再開に備えたいとしています。

検査体制の拡充と医療体制

東京都のロードマップでは、今後予想される感染の第2波に備えて検査体制を拡充するとしています。

都内には、先月末の時点で、PCR検査を受けることができる専用の外来が80か所、PCR検査のセンターが16か所ありましたが、今後、都内全域で体制を拡充し、専用の外来を100か所、検査センターを38か所に増やすとしています。

また、これまで1日当たりの検査の処理能力は最大およそ3100件でしたが、今後、大学などの研究機関の活用で1日に最大およそ1万件の処理能力の確保を目指すとしています。

さらに、検査時間を短縮するため、これまでより簡単に検体を採取できるだ液でのPCR検査と、感染しているかどうかを30分ほどで調べられる「抗原検査」の検査キットを導入するとしています。

医療体制については、都立公社病院を中心に病床の確保を進め、重点的に患者を受け入れる医療機関を新たに指定し、軽症者については引き続き受け入れができるホテルなどの宿泊療養施設を確保するとしています。