コロナで自主休業も… 中華料理店が弁当無料提供で“恩返し”

コロナで自主休業も… 中華料理店が弁当無料提供で“恩返し”
新型コロナウイルスの影響で自主的に休業している東京の中華料理店では、厳しい生活を送っている人たちのために毎日、1日500食以上の弁当を無料で提供する支援活動を続けています。
東京 墨田区にある中華料理店「三巴湯火鍋」は、店内での感染リスクを避けるために先月11日から自主的に休業しています。

厳しい経営が続いていますが、常連客や近所の住民などが厳しい生活を送っている状況を知り、先月14日から平日、1日、500食の弁当を無料で提供する支援活動を始めました。

食材や容器などは、店の取り組みに賛同してくれた業者から無料や格安で提供してもらい、店では、スタッフがボランティアで参加し、マーボー豆腐やホイコーローなど合わせて7種類の弁当を用意し、訪れた人に一つ一つ手渡ししていました。

弁当を受け取った50代の男性は「新型コロナウイルスの影響で、収入が8割まで減って生活が厳しく、家族もいるので助かっています。ありがたいです」と話していました。

また、この店の常連客で、息子と2人で訪れた50代の女性は「ママ友とランチで来ていました。お世話になっているので、給料が戻ったらお店を全面的に応援したい」と話していました。

毎日、赤字が続いているということですが、食材やマスクなどを寄付してくれる人も相次いでいて、店では通常の営業が再開できるまで無料での提供を続けたいとしています。

オーナーの李星海さん(44)は中国出身で、22年前に来日し日本語を勉強しながら、8年前に店を開店したということです。

李さんは「私たちも中国から日本に来ていままで助けてもらった。われわれはお弁当を配っているけど、人と人の心がつながっていることが本当にはっきり分かりました。力になります。お弁当の力で日本の社会に貢献したい」と話していました。

毎日赤字でも…

店はJR錦糸町駅近くの飲食店が建ち並ぶ一角にあるビルの2階にあります。22年前に中国から来日したオーナーの李星海さんは日本語を学びながら飲食店や貿易会社で働き、8年前に店を開きました。

李さんは常連客に支えられて店を続けられていると強く感じていて、今回の事態に、何か恩返しができないかと考え、弁当の無料での提供を考えました。

当初は200食を提供していましたが、仕事を失った人や収入が大幅に減り、生活に困っている人たちが多くいることを知り、500食に増やしました。

店には感染防止のために透明のシートを入り口に設置し、シートの下から弁当を手渡しています。

毎日、材料費だけで10万円近い赤字になりますが、この活動に賛同してくれる人たちも相次ぎ、支援の輪が広がっています。

店には、マスクや菓子をはじめ現金も寄付する人がいて中には「いつもおいしいお弁当をありがとうございます。コロナが終息したら食べに行きます」など感謝のメッセージが添えられていました。

また、近くで旅行会社を経営する男性は社員と共にタマネギや大根、それにトマトなどの野菜を差し入れていました。

この男性も新型コロナウイルスの影響で会社の経営が厳しくなっているということで「弁当だけでなくて、心の温かさをすごく感じています。みんなで力を合わせて乗り越えたい」と話していました。