消費者物価指数 3年4か月ぶりのマイナス 新型コロナ影響

消費者物価指数 3年4か月ぶりのマイナス 新型コロナ影響
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家庭で消費するモノやサービスの値動きを見る先月・4月の消費者物価指数は、去年の同じ月と比べて0.2%下落し、3年4か月ぶりにマイナスに転じました。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に需要が減るとして原油価格が下落しガソリンなどが値下がりしたためです。
総務省が発表した先月の生鮮食品を除いた消費者物価指数は2015年を100として101.6となりました。これは去年の同じ月と比べて0.2%下落し、3年4か月ぶりにマイナスに転じました。

新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を背景に需要が減るとして原油価格が下がったことで、ガソリンが9.6%、灯油が9.1%、それぞれ下落しました。

さらに外国人旅行者が大幅に減ったことでホテルなどの宿泊料が7.7%下落し、感染拡大による経済活動の低迷が物価にも影響を与えています。

一方、需要が高まっている「マスク」は去年の同じ月より5.4%上昇しました。

総務省は「5月の統計でもガソリンは下落する可能性が高いが、直近の国際的な原油価格は持ち直してきていて、今後の物価への影響を注視したい」と話しています。

西村経済再生相「デフレには戻さない決意で臨む」

先月・4月の消費者物価指数が3年4か月ぶりにマイナスに転じたことについて、西村経済再生担当大臣は、記者会見で「原油価格の下落に伴ってガソリン価格がかなり下落し、高等教育の実質無償化が4月から始まっている影響が大きい。物価の動向については、新型コロナウイルスの影響がどの程度出てくるか注視しないといけない」と述べました。

そのうえで、デフレへの懸念について、西村大臣は「絶対、デフレには戻さないという決意で臨んでいる。政府と日銀が連携してデフレ脱却、緩やかな物価上昇の目標に向けて共に取り組みたい。民間金融機関を通じた無利子無担保の融資を日銀の立場から支えていただけると思っている。政府としては2次補正予算の編成を急ぎ、1次補正予算は迅速に執行して下支えをしっかりしていきたい」と述べ、政府と日銀が連携して経済の下支えに全力をあげる考えを示しました。

ガソリン価格の推移

新型コロナウイルスの影響による世界経済の減速で原油の需要が減少し、4月にはニューヨーク市場で原油の先物価格が初めてマイナスとなるなど異例の安値水準となりました。

こうした状況を背景に、国内のガソリン価格も大きく値下がりしています。

石油情報センターの調査によりますと、レギュラーガソリン1リットル当たりの全国の平均小売価格は、ことし1月20日に151.6円でしたが、そのあと15週連続で値下がりし先週5月11日には124.8円となり、2割近く安くなっています。

ガソリン価格が120円台の半ばとなるのは3年7か月ぶりですが、緊急事態宣言で大型連休中も外出自粛などが続き、消費者にとっては恩恵を受けにくい形になっています。

今週のガソリン価格は各国の経済活動の制限が緩和される動きが出始めたこともあって値上がりし、125.5円となりました。

原油価格の値下がりが大きく影響

今回の消費者物価には、新型コロナウイルスの感染拡大が大きく影響しました。物価の下落には、特に原油価格が値下がりした影響が大きく、エネルギー関連の品目全体では去年の同じ月と比べてマイナス4.7%と大幅に下落しました。

中でもガソリンがマイナス9.6%、灯油がマイナス9.1%となったほか、原油価格の動きを数か月遅れて反映する電気代もマイナス2.7%、都市ガス代もマイナス3.6%となりました。

また切り花もマイナス1.9%となり、イベントや式典の自粛によって花の需要が低迷したことが影響したとみられています。

一方、感染拡大の影響が物価の上昇につながった品目もありました。需要が高まっているマスクがプラス5.4%となりました。

また外出自粛によって自炊の機会が増えたことで、キャベツが48.2%上昇するなど、生鮮野菜全体ではプラス11.2%となりました。

さらにりんごが24.9%上昇するなど生鮮果物全体ではプラス8.3%でした。このため先月の生鮮食品も含めた消費者物価の総合指数は去年の同じ月より0.1%上昇し、プラスを維持しています。